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EP48 <保毛坂48>エントリーナンバー2<チュウの儀>


______仮称デブーラ男爵領聖女様村構想。これは誰にとっても悪い話ではなく、アデリア冒険者組合長が強引に進める冒険者組合移転が、その第一歩として始まったのだ。


 この移転計画には、たくさんの貧困層の住人達が雇われる。アデリア組合長も中々考えてくれていて、あの三馬鹿トリオもアデリア組合長から働けと命じられて、肉体労働をする事になっていた。


「てめぇ等にゃ、頭脳労働は到底無理だからな。有難く働いてから飲むこった!」

「そりゃぁ、もちろんでさぁ」

 だったらしいけれど、冒険者組合の移転新築費用を、一体どこの誰が出すのかは、私には関係のない話なのだ。


______工事が始まれば、作業員用の簡単な宿舎が作られるので、これは後から貧困層の住人達に簡易な住居として、再利用して貰えばいい。

何もなくただ荒れ放題だった墓地を中心に、参拝観光村へと変貌していくのだ。


 ただし私は、無計画に施設を作らないよう、都市計画に秀でた者を最初に雇う必要がある。

聖母(にせもの)マリア様>参拝参道までを石畳のメインストリートとして、その両脇に施設を建築していく構想を任せたい。


 この辺りはジョーと娘達三人、デブーラ男爵、オイスター・ケチャップさん、バイソンの大将、モーリンさん、アデリア組合長も加わって、参拝観光村を目指した。

一つの村を興すのには巨額な費用が掛かるのだけれど、最初の青写真だけでもしっかりしておけば、それが二十年、三十年かかろうともそれでいいと思う。


◇都市計画主任イーノ・タダーカ◇

______その青写真を作るのには、私達が撮影した地上写真を、わざと絵のようにAI修正して渡しておいた。

アデリアの紹介で、都市計画原案作成を請け負ったドワーフ族のイーノ・タダーカは驚いた。

「おぉ! このような正確で美しい絵図をどこで?」


 衛星軌道から撮影したなどと言える訳もなく、もちろんそこは笑って誤魔化しておいた。

「なるほど、なるほど。これは企業秘密でしょうなぁ。ええ、わかりますとも」

イーノが、物分かりが良くて助かった。

地図の作成は、異世界では地上測量と合わせて、熱気球に乗った絵師の情報と組み合わせて作るのが一般的だったのだ。


 それまで見向きもされなかった墓地が、何やら美味しい事になって来たと、金に敏感に反応するのは商人達だ。

早くも人出の予想から、出店が是か非かのソロバンを弾き出す者も現れた。


 そう言った相談件数は増えるものの、私が村長になった訳でもないし、本業もある私では裁き切れないし、ここの所、私の数少ない人材は、それぞれ持ち場を離れる事も出来ないのだ。



◇Renoの提案◇

______「下衆様、アレを一体を起動して、相談の専属にしては如何でしょう?」

<保毛坂48>は47体が未起動で眠っている。AIが優秀なので、相談を任せるには最高だと私も納得の案だった。


「有難うReno、お前って最高だよ」

 でへ......そうでしゅか。

『はぅぅ好感度ぶっちぎりア~ップぅ!』

Renoが、我が生涯に一片のみたいなドヤ顔を決めると、早速クレームが飛んでくる。


「なんでぇ~なんでぇさぁ! Renoばっかし褒めて贔屓、贔屓ぃ」

高性能だけど、遊んでいるバニラ・アイスでもいいのだが、バニラは私には不安があるからだ。

「左様、御屋形様は何かとRenoを重用なさる。家臣(正妻)として、これは如何なものかと」

 私としては最善策を考えているだけなのに、出番の少ないバニラ・アイスと桔梗は面白くないのだ。


「いやいや、キミ達には立派な仕事があるだろう? だからさ、Renoの提案は最高にいいと思わないかい?」

私はこう言って、自分の役割を確認させて納得させるのだ。


「そうだねぇ、バニラ・アイスちゃんは、金ダライの整備と森の見回りが.......」

「この身は、亀頭流抜刀術の鍛錬が......」

「ボクはアテレコと薬の生産で忙しいし.......」

「もちろん私、Renoは主様の護衛で手が回らないのですから」


「ほ~ら、皆忙しいんだから、これで決まりだろ?」

 ううっ

 不満は有ったけれど、一応の了承は得た。


◇<保毛坂48>◇

______新しく起動する<保毛坂48>エントリーナンバー2は、雇い入れたとしておけば問題は無いし、私は名前とコスプレも既に考えていた。

『よし、あれで行くか』


 ジョーと娘三人を前にして、私は高らかに宣言するのだった。

「みんな、新しい家族の名は<kanna>、コスは黒のスーツ上下にインテリ眼鏡である!」


 私の出来る秘書をイメージしてのコスプレなのだ。

「まぁ、家族が増えるのはいいけれどさぁ~」

「まだ46体も残っているのか......この身は不安だが」

「でもさ兄貴ぃ、これから48体に増えたらさ、どうすんのよさ。きっと大変だよ?」


 ジョーの心配は妥当な話だけれど、私は48体も作った父陽介の意図までは知らされていないのだ。

 「ま、時が来れば分かるだろうさ」

分からないものは仕方がない。私はこの件を先送りにしたのだ。


◇仮称XXX村都市計画事務所◇

______仕方がないので、事務所はレイジー・ドラッグストア内の隅に、テーブルと椅子を並べただけで設置完了とした。


 その後、 レティキュラム号に向かい、格納してある<保毛坂48>エントリーナンバー2は、静かに起動を待っているように見えた。

起動に必要なシーケンスとパラメーター、プラズマ重核子エネルギー充填を終えると、私は最後のスイッチを入れた。

 カコン


◇Kanna◇

 =エントリーナンバー2 起動に成功しました=

 船内AI<孔明>が最終点検を終えると、作業服姿のナンバー2はその場に(かしず)いた。

 バッ

48体は全て身長も体形も同じではなくそれぞれに個性がある。基本的に量産型ではあるけれどAI-myu48はとても優秀なのだ。


「やぁ、会うのはこれが初めてじゃ無いけれど、子供の頃の私以来だね」

「は、はい、お坊ちゃまは大きくおなりに」

『おっ、この個体はいいかも!』

 落ち着いた仕草に、私は安心したのだ。


「さて君の名は今からKannaだよ。Kannaには頼みたい事があってね、それで起動したんだ」

最初にRenoが起動した事をKannaは知っている。それでも二番目と言うのは、主様の片腕と言う嬉しい位置にあるのだ。

 『四天王のNo2......ふふ』


 そのKannaに不服がある訳はなかった。

「謹んでその大役を承りましょう。では改めまして主様、私が主様の所有物である事を、Ai-myuに刻む重大な<認証のチュウの儀>を」

 げぇ

 忘れていたけれど、Ai-myuシリーズには揃ってこうした欠陥かバグがあったのだ。

 一年前のバニラ・アイスにも同じ事があった事が脳裏を過った。


______それはバニラが動悸がすると言ったので、自己診断させた時にいきなり吸い付いて来たのだった。それにチューはアデリア組合長とも、事故とは言えやってしまっていた。

『拙い、桔梗はまだじゃないか! 忘れている?』


◇必殺スッポンラバーカップ◇

______「Kanna、ちょっと目を閉じなさい」

私は同行したRenoに何か秘策があると見た。


『こんな事もあろうかと、用意しておいて良かった』

どこから取り出したのか、Renoの手にはトイレのスッポンラバーカップが。

 次の瞬間だった。

 チュゥ~チュポン

 はひぃぃ~♡

   クラァ~


 小気味よい音がした後、恍惚の表情をしたKannaが、蕩けるような顔をして股間を震わせていた。

「下衆様、<保毛坂48>が考える事など、Renoは何でも丸っとお見通しなのです」

「あ、そうなの?」

『じゃぁ桔梗もこの手で。後でスッポンラバーカップ借りておこう』



_______「Kanna、認証は終わったよ。これからよろしく」

 ひよよ 

  へよよ

「どうしたKanna?」

「ふふ、Kannaは感激して泣いているのです下衆様」

『Reno、お前って結構、腹黒いよね』

 私は心静かに呟いていた。


<コスプレセット>

______ところで私の両親は、重度のコスプレマニアだった。

衣装クローゼットの中には、Kannaにピッタリのオフィスレディ用スーツまで揃えてあったのだ。

小道具のインテリ眼鏡、ハイヒールなどがコンプリートセットされていて、翌日から即出勤が可能な程だ。


 他にもプレイセットがいろいろあった。

「何だよこれ.....仮面と蝋燭と......」

両親のコスプレプレイを想像してしまうと、私のメンタルがやられそうなので見なかった事にした方がいいだろう。


______その夜、新しい家族Kannaを紹介して、今迄のデータをAi-myuに読み込ませるだけで、Kannaも娘達と同じに状態になるのは有難い。


「社長とは<認証のチュウの儀>を済ませたKannaです」

「兄貴ぃ<認証の忠儀>ってなんなのよさ?」

「心配しなくていい。かぶら、私達アンドロイドだけに関係した事だから」

「へぇ~なんか怪しいのよさ」


 Renoが仕出かした<認証のチュウの儀>は、既にバニラは完結していたからこそ穏やか? 本当にそうだったのだろうか。

『待てよ、この身はまだ<チュウの儀未認証>ではないか! これでは真の忠義とは言えないし、私の場合は<愛の忠義>!』

桔梗の腕が、ワナワナと震え出した。


◇桔梗とKannaの微笑み◇

______「それで社長、これからの村の計画について相談された場合、Kannaが全て答えて良いと......そう言う事でよろしいのですか?」

『お坊ちゃまから主様、今度は社長か』

しかし何か、非常に何か不安を覚えたのは、私の気のせいだろうか。

 二マぁ~

 不敵な笑顔は桔梗とKannaだ。

Kannaは社長専属秘書で何やら妄想し、桔梗は私の唇にロックオンして口角を上げていた。

 ムフ


「重要な事は、私とイーノ・タダーカに訊いてからだよ。いいね」

「畏まりました社長」

 私は念を押したつもりで言ったのだけれど、桔梗もKannaも<あの事>以上に重要な事はない。


 当たり前な話として、残った<保毛坂48>46体のAi-myu48全てにバグがある。その時、私はどうなるのだろうか。

「起動しなきゃいいんだ。うん、それがいい」


 <保毛坂48>48体は、父、陽介がレティキュラム号を作る為だと思っていた。

しかし私の両親の本当の目的は、それだけではなかったのである。





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