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EP13 ボケとイボ痔が世界を救っていた!OH MY Gaa- !


______私達二人と三体が、冒険者登録をしようとしていた頃、2054年1月18日の地球では______


   オォォォ 

ウォ 

ウォン

ロケットの噴射音は、船体を伝わってこんな反響で伝わって来る。

やがてその音に解放されると、男達は次の行動に移行する準備に入った。


_____この音とは、ジョーの発信電波の痕跡を追って、ハメリア合衆国のエージェント追跡部隊五名を乗せたロケットが、月軌道からその進路を火星に向けようとしていた音だ。


「そのまま傾聴。我々は電波が途切れた宙域まで向かう。発信座標はちゃんとSPLL(スペース・フェイズロックド・ループ)メモリーはしてあるだろうな?」

「はッ、問題なく!」


「よろしい。本作戦はここから長い旅になるが、土産は必ず持って帰らねばならん。火星着陸シャトルの点検整備を万全にするのだ」

「我がハメリア合衆国の為に!」


 本作戦部隊長のオルガ・スミスの手がかりは、ジョーが消えた最終発信座標点たったそれだけだ。


 一方、ジャーブラ島を急襲しながらも、空振りに終わったルルシア帝国のロケット部隊も動いた。手がかりの無い帝国は密かにハメリア合衆国の後を追って行くのだ。


「同志諸君!最悪でも火星一番乗りは、我がルルシア帝国でなければならん。我ら帝国の威信と誇りにかけ、火星を帝国皇帝陛下に捧げるのだ」

 да!


 隊長アレクサイ・ケツノアナコフの忠誠心は見上げたものだが、誰も本心までは分からない。アレクサイの本音は間違いなく地位と金にあった。


 2054年、ロケット建造技術は急速に進歩して、単なる円柱型多段ロケットなどは、機能的にも時代遅れとなっていた。

最新型は、大きなドーナツ状の居住区がゆっくり回転して人工重力を生み出し、地上と変わらない1Gを確保するもので、これらは勿論月面基地で建造されている。


 加えて体内時計が狂わないよう、24時間を基準に朝と夜の照明を工夫し、本国と同じ時間で任務に就く。その結果、ハメリア合衆国とルルシア帝国の活動時間には、約10時間の時差が生じる事になった。


 解決すべき問題はまだ数多く残されているが、それでも1968年製作のSF映画、S・キューブリックの描いた宇宙ステーションや、全長150mもある宇宙船が、2050年代にやっと実現したのである。


 しかしこの方法でも有人では火星航行程度が限界となる。ハイパージャンプ、コールドスリープなど、まだまだSF夢物語ではあるのだが、人類はいづれそれを克服する事だろう。


______その英知の源とは......一つの仮説だが、人間とは神の一部であって、故に持って与えられた才能なのかもしれない。

天才とは、天が与えたギフト。それが選ばれたある者に受け継がれているらしい。


 多くの人間が天才でなくても、何故と思わざるを得ないのは、人類はその英知の使い方を捻じ曲げ続けて来た。それは負の力=私欲の為にである。


 負の力が増大すれば、やがて正の力が均衡を保とうと働く。

ラノベで例えるなら、魔王に対抗する勇者の存在だと思えば分かりやすい。

しかし今はその時ではないのだろう。何者かがあたかもAi-myuの成長を待っているかのように。



______太陽系で火星以外の惑星は、距離と環境に大きな課題がある。仮に有人ロケットで到達しても、現在の技術では片道切符で帰還は絶望的に不可能となるのだ。


 その解決策が、寿命の長い高性能なAiを搭載したアンドロイドを乗せる事であり、レイジー博士の両親が開発中の新型Aiへの期待が大きくなったのは必然だった。


しかし、レイジー博士の両親は何かの啓示を受けて平和目的ではないと知ると、理由を付けてハメリア合衆国ハイパーAi研究所を逃げ出したのが事の始まりとなったのだ。

その理由を訊いて、よく考えたものだと幼い私は真剣に驚いたものだ。


「マイダーリンがついにボケました。ミーもヘレン・ケラーも真っ青のイボ痔と切れ痔と脱肛の三重苦のデッド・エンド。トリプル効果でもう研究どころではありません。もはやオロオロナインは出番なし。悲惨、災難 待ったなしOh My Gaa-」

 退職理由がそれだった。


 レイジー博士の両親が、そのままAiと新型エンジンの研究を続けていて、その成果がハメリア合衆国の物になっていたとしたら、世界の勢力バランスが崩壊、最悪核戦争に発展していた事だろう。

 核戦争は負と負がぶつかりあって、全てをフラット(0に戻す)にしてしまうのである。


 あの時、両親に神の啓示でもあったのか、それは辛うじて回避出来たのであるけれど、それも次のステージへの幕開けに過ぎなかった。それでもボケとイボ痔、切れ痔と脱肛が世界を救ったのだ。


______さてロケットエンジンなど、レイジー博士の両親が、Reno達48体=保毛坂48を駆使して建造したレティキュラム号には遠く及ばない。


 レティキュラム号は、画期的なGフィールドエンジンで人工重力を発生し、更に亜光速で航行出来るのだから。

これにバニラ・アイスのAi-myu96が、航行システムと連動する事により、太陽系外の居住可能な惑星までの有人航行が可能となるポテンシャルを誇っている。


 とは言えエネルギーが無限に供給されようが、亜光速ではやはり片道切符になるのだが、人間の寿命の範囲で地球に似た惑星に到達出来る可能性は残されている。


☆☆

 話を戻そう。

 レイジー博士達二人と三体は、まさか追跡されているなどケツの穴程にも思ってもいなかったが、例え知っていたとしても異世界まで彼等は追って来られないのだ。


 ここはレティキュラム号船内の博士の部屋______

 ボーン 

  ボーン

   うぐ?


______お気に入りのゼンマイ式の掛け時計が午前7時を鳴らした。起床すると、まずコーヒータイムの時間だ。


『バニラアイスはもう準備しているのだろう。あいつ等寝ないし』

しかし、私は金縛りに会ったのか身動きが出来ないのだ。

そろそろ起きなければと思っても、動かせるのは首と指くらいだ。

 ん~


「何だよ、こんな経験は始めて......いや確か昨日もあったな」

そーっと私が目を開けると、白いヘッドセットが目に飛び込んで来た。

「ゲッ、Reno お前もか!」


「ジョーもか! 65deburaは重いぞ。早く離れろ!お前太っただろ」

 ダン 

   バイン


 腕力が無くとも私は、Renoとジョーを同じように蹴り飛ばしてやった。

「主様、私のお尻が......」

「割れたって言うんだろうが! そんなもん知るか!ガムテープでも貼っておけ!」

 ひえぇ~


「レイジー博士酷い! ボクは太ってないし、今度は新妻になるボクにDVですか!」

「こうなると、もう相手にするのも馬鹿馬鹿しい。これでは、今日も碌な事がなさそうな予感しかないぞ」

 ガチャ


「ここでバニラちゃん参上! ご主人様、おはようございますぅ」

「御屋形様、桔梗、只今戻りました」


 どうりで静かだと思っていたら、バニラと桔梗は森の奥に出かけていたと言う。

「どうぞお納めを。ゴブよりいくらかお金になるのではと、糞ウサギと狩ってまいりました」

「トドメは私だからね。ガーンと一発」


「ほう、これは大きいな。Bossゴブの耳か! それと棍棒まで」

 私は二体の行為が嬉しかった。

恐らくBossなら単純に手下ゴブのざっと10倍以上の報奨金が出ると思ったからだ。(20Gx10=200G)


 冒険者登録料で500Gを使い果たしても、200Gが手に残る。昨日食べれなかった露店の串焼きが食えるかもと内心、私は喜んだ。

『異世界の串焼きって、どんな味だろう。肉はモンスターかな?』


 その時、ドスンとバニラが持って来た棍棒を落とし、手を消毒しだした。


「ところでバニラ、その棍棒はお前が使えば?」

 い~やぁ 絶対にい~やぁ。金ダライがいい。

 即答だった。


「そのなんだ、じゃぁ棍棒も売れるかも。バニラ、冒険者組合にそれ持って行こうか」

「これ臭いから私はい~やぁ」

『Aiってこんなに我儘になるものなのか?』


 アンドロイドの臭覚回路はもう人間と同じレベルになった。私はAi-myu96の完成度の高さに驚くばかりだ。

『私でも、もう人間の少女と見分けが付かない。但し心臓は無いけど、異世界にもアンドロイドだと見抜ける者はいないだろう』


そもそも、この異世界にはモンスターはいても機械人間は存在していないと思う。ラノベの知識で言うなら、きっとストーンゴーレムのようなモンスターなのだろう。


「さてさて、ゴブリンとエルフの存在は確認出来たけど、他にどんな種族がいるのやら。それはそれは楽しみな事だ」


 依頼書にはXXXとかOOOモンスターの名が上がっているが、私達はまだ見た事がない。

「ルチアにモンスター図鑑でもあれば見せて貰うか。それと魔法の種類もだな。しかし魔法と科学は何が違うのだろう?」


 魔法にも仕組みがあって発動する。レイジー博士なら、やがてその秘密の一端を解明するかもしれない。



______私達は冒険者として知る事が沢山ある。その手始めが冒険者登録なのだが、私はどうにも不安で仕方がない。

『あの魔道具(体重計)が故障じゃなかったとしたら......そら恐ろしい事が起きそうな予感がする』

私の予感は結構、的中していたりするのだ。


☆☆

 午前9時前。

「さて、ケツが二つに割れたバニラとReno、太ったジョーに変態武士道の桔梗、出かけるぞ」

「「「あんまりです!!」」」


 私はギャーギャー騒ぐ一人と三体を引き連れて、城下の門を潜ろうとして気づいた。

「やべ! 昨日の門番だ」

「壁には......手配書が貼ってありますよ。ご主人様」

「WANTEDだな」

「あれは主様の崇高な御顔(かんばせ)!」

「ほぇ? WANTEDってどこの誰の事なのよさ?」

「ふん幸せな奴だ。かぶら」



 白装束で目立った私達は、直ぐに門番達の目に留まってしまった。

「いたぞあいつ等だ! ひっ捕らえろ!」

私達はあっと言う間に門番と、三人の警備隊に囲まれてしまった。




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