第三十六話 戦果の数値
「…やはり、これで打ち止めでしょうか?」
空中に飛ばしていたドローンを消して空を見上げると雲一つない清々しい青空が広がっていた。
対して地面は金一色。
カバを口元を虫に近付けて足を伸ばして増やしたようなエネミー、金蜂の群れで覆い尽くされている。
どれもスリープタッチで夢の世界へ旅立った後だ。
そのうちの一体の背中に座って足をブラブラさせる。
周囲は日の光を浴びてキラキラと眩い限りだ。
…へへ、日が三回落ちてからは数えてないけど不眠不休の成果だ。
あっちから私に寄ってきては、スリープタッチで眠らせる作業を繰り返してたからこの辺り一帯でちょっとした小山になってる。
不思議なのは目や鼻、耳も見当たらないのに正確に私の居場所が分かっていた事。
なんだよ、どういう感覚器官を持っているんだか。
…もしかして蛇みたいに熱感知でも持っていたのだろうか?
しかし、結構な数が居たな。
レベルが二回も上がったから相当な数が居たのは間違いない。
軽く四桁を超えてたんじゃないだろうか。
空を飛ぶ、鎧の如き皮膚を持ち、再生能力あり、その上で数も膨大。
しかも、攻撃したら電撃で反撃してくるし。
こんな恐ろしいエネミーが大挙して襲ってくるってんなら確かに恐ろしい。
何気に静かだったしな。
翼で飛んでるわけじゃないから無音で近付いて頭からパクリ、なんて何度あったことか。
死なない私だから今はこうして気楽にしているのだけれどね。
狩りの最中はゲームの感覚を思い出して楽しかったよ。
救済の手を駆使して罠に嵌めたり、怪力ならぬパワースーツもどきで鉄塊を振り回したり…
いやぁ、久しぶりに体を動かして遊んだわ。
でも、反撃の電撃は結構なダメージだったから焦ったよ。
弱点から耐性に上がってたにも関わらず一度の反撃で残り一割まで削られたからね。
私が死んだらスリープタッチも強制解除されて今まで眠らせた金蜂が全部起きちゃう、かもしれなかったから、慌てた。
その無謀な一撃から反省して、耐性から無効になるまで接近戦は控えようって決めたもん。
無効に上がっても接近戦では喰われる事が多かったから遠距離攻撃に徹したけどね。
変身能力で出した巨大剣や鈍器をハンマー投げみたいに投げたり、鉄線ネットを放って雁字搦めにしたり。
反撃が広範囲への放電じゃなくて良かった。
遠距離攻撃に徹しても服はビリビリに破けるのはどうしようもなかったけど。
そういや、この首に巻かれてるモノ。
変身能力を使うと私の体にくっついているモノは全部消えてしまうはずなんだけど、消えないんだよね。
手鏡で見たら肉スライムと同じ色合いだし。
というか十中八九、肉スライムだろ!?
ヒールタッチでカケラと魔力が手に入ったし!
監視付きの外出って事だったのかな?
まぁ、話しかけても無言だし、無反応だから外すのは諦めたけど。
さて…どうしよっかな。
私の役目、つまりは最前線で敵を倒す、って事だと思うんだけど…結論からしてせいぜい足止めが精一杯。
このエネミーを眠らせる事はできたけど、倒すのは無理って事は狩りの最中で理解してる。
パワースーツと鈍器のコンボ、なんちゃって砲弾で大地に落とす事はできても、その輝かしき黄金の鎧には傷一つ付けられなかった。
動きもどこか怪我した様子もなく平気そうに飛んで私に向かって来たし。
救済の手で挟んで両方向から引っ張っても外骨格の一部を剥ぐ事はできたけど、瞬きする間に治ってるときた。
要は私の攻撃力不足って事なんだよね。
これがアカラスタの呪いだったら再生する暇も与えずに体内をグチャグチャにして倒すんだろうか。
攻撃方法かぁ。
今の所、ゴリ押しで鈍器による打撃か、救済の手で千切っていくだけなんだよね。
これは戦力増強した方が良さげかな?
レベルが上がったおかげで新しいスキル候補も増えたし、嬉しい誤算でステータス画面のスキル空欄が五つある。
ゲームの経験を頼りに考えるなら…レベル五から新しく得られるスキルは二つづつって事なのかな。
増えていくスキル候補の数は変わらないみたいだけど。
…まぁ、少しだけ、気になる点が増えてるんだけど。
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57-19
アカリ388 432
Lv6(708/3200)
HP5/80
【ヒールタッチ】
【スリープタッチ】《選択中》
【救済の手】
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【物理無効】(1/10000)
【無属性耐性】(609/1000)
【火属性耐性】(68/1000)
【水属性耐性】(122/1000)
【風属性耐性】(28/1000)
【雷属性無効】(6983/10000)
【土属性耐性】(16/1000)
【光属性耐性】(100/1000)
【闇属性無効】(3/10000)
【力属性無効】(1/10000)
【状態異常無効】(1/10000)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの箱に閉じ込められていた時はステータス画面を飽きるまで見ていたから覚えている。
レベル三の時は名前の上と右に数字なんてなかった。
という事は四、五、六のどれかで追加されてた訳で…
正直、耐性スキルや新しく増えたスキル候補しか確認してなかったからいつ追加されたのか分からない。
分からないけど、きっとこの数字は大切な何かを表しているんだと思う。
だってステータス画面だし。
ゲーム内に置いてステータス程、重要なデータなんてごく僅かしか無い。
それにこれは神様が関わっているのは確実。
つまり、神の啓示?
この数字の羅列は一体何を表しているのだろうか。
五、七の一、九。
三、八、八とんで四、三、二。
語呂合わせか何かかな?
それ以外で思いつくのは…識別ナンバー?
ゲームでネームが重複した時に後ろに番号を振ったりするのもあるけど。
でもそれだとアカリが何人も居るって話になる訳で…
…あぁ、いや、ゲームの進行具合を数字で表す事もあるか。
一章一節目を1-1、二章三節目を2-3みたいに進行したステージ毎に変わる?
…57-19ステージって長くね?
あり得なくもないけど、本当ならめっちゃロングストーリーなゲームだな。
リアルだからそれでも否定できないのがなんとも言えないのだけれど。
…よし、この数字は見なかった事にしよう!
考えても分かんないし!
変化したらまた考えよう!
さてさて、新しいスキル候補はなっにっかなー?
「ほぅ、すでに終えていたか」
「ゔぇ!?」
急に首がブルブルと震えたかと思ったら何処からか、それも聞き覚えのある声が聞こえた。
鶴さん!?
もしかして、この肉スライムは鶴さんなの!?
それか連絡用の肉スライムだったの、この肉スライムの首輪は!?
てか、首がギュギュと締めつけられているんですが?
使用時に首を締める連絡形式は辞めた方が良いですよ、マジで。
57-19
アカリ388 432
Lv6(708/3200)
HP5/80
【ヒールタッチ】
【スリープタッチ】《選択中》
【救済の手】
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【物理無効】(1/10000)
【無属性耐性】(609/1000)
【火属性耐性】(68/1000)
【水属性耐性】(122/1000)
【風属性耐性】(28/1000)
【雷属性無効】(6983/10000)
【土属性耐性】(16/1000)
【光属性耐性】(100/1000)
【闇属性無効】(3/10000)
【力属性無効】(1/10000)
【状態異常無効】(1/10000)




