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新生ゲーマー アカリ  作者: ゴーレム
25/43

第二十五話 異界の文化

『ふぁ〜』


爬虫類のような鱗を持つ幼い子供が大きく口を開けて空気を吸い込む。

ギザギザの歯に先端が二股に分かれたトカゲのような舌がゆっくりチロチロと動いている。


目は既にトロンとして、いつ目蓋が塞がってもおかしくない様子だ。


「大きな欠伸ね。

さぁ、夢の世界へ行きなさい」


私は相手に伝わらないと分かっていながら構わず小さな声で言う。

そっと子供の顔に手を置いて周囲の明かりを遮る。

ツルツルとした鱗と幼子特有の暖かい感触が手に伝わる。

それが最後の一押しになったのだろう。

数秒も経たずに子供は眠った。


《魂のカケラを入手しました》

《土属性の魔力を入手しました》


さて、私が何をしているか。

一言で表すならばベビーシッターかな。


私の周囲には大勢の幼い子供達が特大マットの上でスヤスヤと寝ている。

もちろん、マットは私の変身能力で出した清潔で柔らかい代物だ。

爬虫類の特徴を持った今の子で最後だ。


ノイマンから聞き出した事なのだが、このゴミ山に居るのは過半数は子供だ。

うん、確かに会う人会う人は全員、子供である。


なんなら、大人と会うのは朝食と夕食の時間だけだし。

このゴミ山は保育園と小学校を一緒くたに合体させたような役割も担っているようだ。

どうやら、少人数の大人が子供の見守りとして残って大部分は働きに出ているようだ。


子供ばかりしか居ないとは私にとって好都合だ。

無垢な子供ほど、騙し…協力してくれるだろう。

なんなら、珍しさ故か向こうから寄って来るからね。

私は触り放題だ。


ノイマンは大人達がどこに行っているかまでは知らないようだけれど、これだけの数の子供を養うにはお金が掛かる。

…この世界にお金、あるんだっけ?

今も配給制かな。


まぁ、食べ物は全部広場の大きな魔導具から出ているが材料なり、燃料なりは必要だろう。

服はボロ布を巻きつけているだけの状態だけど、みんな着ている。


大人達はこれらを得る為に働きに出ているのだと容易に考えられる。


この情報から私の最初のターゲットは子供達にした。


ここでは年上が年下の面倒を見る構図が出来ており、見守りの大人が直接出るのは子供が大怪我をした時などの緊急時のみ。

それ以外は基本、決まった部屋に居る事が多いらしい。


子供達はゴミ山で好き勝手に過ごしている。

大半は朝食を食べたら夕食まで家の中で遊んでいるようだ。

少数だが、ディーダ達のようにゴミ山で遊ぶ子もいるようだが、危ないから幼い子は外に出ないように最年長組が対応しているらしい。


しかし、手伝いも勉強もしなくて良いなんて、羨ましい。

私なら一日中ゲームをしているだろう。

この世界にゲーム機なんて存在しないけど。


冗談はさておき、勉強をしないのではなく、できないのかもしれないな。

教える人が居ない、もしくは教えるモノが無いのかもしれない。

箱に閉じ込められる前の帝国の様子だと情報規制とかされてそうだ。

民に知識は限定されるべき、って考え方をしていても私は一向に驚かない。


ちなみに私の外見年齢では子供とみなされるらしい。

確かに日本人をベースにしているから幼く見えるかもしれない。

私、モデルは高校生から大学生辺りなんだけれど。


それでも最年長組として扱われないのは不服だ。

私は年下から子供扱いされるほど幼く見えるのだろうか。

これはあまりの可愛さぶりに大人として見られないのか、単に小さいから子供として見られているのか悩むな。


子供達は室内でかけっこをしたり、ゴミ山から持ってきたゴミを玩具にしていたりと各自で好きなように遊んでいる。


ただ、話す内にノイマンが凄い事をしていた事が分かった。

ノイマンが持っていたあの板状の魔導具は彼がゴミ山から部品を集めて自作したようだ。

…それって、ゴミ捨て場の物からパソコンを組み立てるようなもんじゃない?

スゴくない?


ふふ、そんな天才を味方につけるなんて私の観察力も凄い。


ここで話は戻るが、寝る子は育つ、という言葉もある通り、遊び疲れると子供は寝る。


そして、子供はじっと待つ事が苦手だ。

元気がある子ほど、落ち着きなく走り回ったり転げ回る。

そんな元気が有り余っている子供を私が何分も触れ続けるのは至難の業だ。


中には大人に甘えたいのか私によじ登って動かなくなる子やとても大人しい子も居るが大抵は動き回る。

大人の魅力が分かるのは良いがあんなに大勢で登られたら倒れるのは必至だと思うぞ。


そんな元気いっぱいな子達でも、当たり前だが寝ると動かなくなる。

触り続けるには格好のチャンスだ。


そして、私には相手を眠らせるであろう能力を得られる機会があった。

レベルが三に上がって候補に出たスリープタッチ。

これは神様からの天啓だってすぐに気が付いたね。

子供達を眠らせてレベル上げに勤しみなさいって訳さ。


やる事が決まれば後は早かった。


まず、子供達を寄せ集める為にシアタールームを変身能力で作った。

シアタールームと言ってもゴミ山、家から引っ張り出してもらった予備のボロ布で隅っこに暗がりを作ってもらい、そこに大きな白い板を変身能力で出す。

床には寝心地が良い柔らかフワフワマット。

体に掛けるタオルケットも人数分完備。


覚えているだろうか。

初めてディーダ達に会った時にやった、紙の上で動く絵。


私は異世界でアニメーションを再現できるという事を!

さらに動力源や構造なんかを一切無視して音も出せる。


私、ゲームは好きだけど…アニメも大好物です!

なんならアニメ見ながらゲームで周回や素材集めをしてたからね。


最年長組でもあるノイマンとディーダに説明をしたら二人とも興味深々な様子だった為、二人に先に見せたら…大反響でした。

ただし、アニメじゃなくて音楽が。


もちろん、日本語が分かるのが二人だけなのでセリフのないモノを選んだ。

なのにおまけで出したミュージックビデオに大興奮。


二人は、というかディーダが興奮気味に面白そうに話してくれていたおかげで大勢の子供達にシアタールームの事が知れ渡った。


その次の日から満員御礼。

音楽が、まぁウケるウケる。

…いつか長編アニメ映画を見てもらいたい。

でも、ネックは言葉なんだよね。

それに前世の常識、知識がないと楽しめない物も多い。


それは、ともかく。

暗い所に集めた子供を新しく習得したスリープタッチで寝かせる。

するとどうだろうか。

子供がスリープタッチで眠りに落ちるとヒールタッチと同じように魂のカケラと魔力が手に入った。


これをきっかけに私はベビーシッターの役割を買って出た訳だ。

もちろん、昼寝だけでなく、夜に寝る際も私は積極的に働いている。


短期間に魔力がどんどん増える。

弱点スキルが無くなるのも時間の問題だな。


ちなみに、ヒールタッチとスリープタッチは同時に扱えないらしい。

ステータス画面で確認すると右側に選択中という文字が出るのだ。

さらにヒールタッチよりも発動が早い。

触れて1分もしない内に子供は寝る。

子供だから早いかもしれないけど…

そして効果は私が解除するまで、スキルの選択をヒールタッチに替えるまで続く。


…うん、決してイタズラ目的で使わない事をここに誓おう。

アカリ

Lv3(203/400)

HP79/79

【ヒールタッチ】

【スリープタッチ】《選択中》

【救済の手】

【物理無効】(1/10000)

【無属性耐性】(129/1000)

【火属性耐性】(36/1000)

【水属性耐性】(1/1000)

【風属性弱点】(23/100)

【雷属性弱点】(1/100)

【土属性弱点】(47/100)

【光属性耐性】(90/1000)

【闇属性弱点】(8/100)


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