第十九話 悪魔の封印
『…悪魔…ふう…封じる?』
僕は魔導具が解析した文字を読み上げる。
悪魔、封じる?
悪魔なんて種族いたかなぁ?
何かの固有名詞?
『おぉ!
それじゃ、やっぱり中に何か入っているんだな!?
ノイマン、さっさと開けようぜ!』
ガクンと揺れた。
背中に熱くて柔らかい物が密着して、耳元で開けろ開けろと騒ぎ出す。
突然の暖かくて気持ちいい感覚に思わず、手に持っていた魔導具を落としそうになった。
『ディ、ディーダ!
ちょっと待って!
当たってるから!
少し離れて!』
男勝りで好奇心旺盛な彼女はこの謎のなにかの中身が気になるようだ。
魔導具で解析した文字も彼女には難しくて読めないだろうに僕の肩越しから覗こうとする。
偶然、見つけた穴に探検だと叫んで穴の中にいつものように僕を引っ張って突撃してあっちこっちを壊して辿り着いたのが、この明るい場所だ。
そこには巨大な、小さな家が一つ入ってしまいそうな何かが鎮座していた。
ここにこんなモノがあるとは知らなかった。
僕らは発見した謎のモノに近寄って文字のようなモノを見つけたディーダにお願いされて解析を始めたのだ。
うぅ、男の子が女の子にペタペタ触れてはいけないと母さんに言われているのに。
ディーダだってこの前、男の子と一緒にいちゃダメだとおばさんに怒られていた事をもう忘れてしまったのだろうか。
それとも僕の事を男の子として見ていない?
毎回、引っ張り回されているのもそのせいなの?
彼女の声からは期待しているという事がとてもよく分かる。
僕がこれを開けられるとディーダが信じている事に嬉しく思う反面、僕を男の子として見てくれていないのは悲しい。
僕の言葉に素直に離れていく彼女。
背中の感触が離れていく事を少し残念に思いながら彼女に向き合う。
…ここは寒いから、触れていた時は暖かったからだ。
決して、彼女の柔らかい体が触れていたからじゃない。
うん、本当に違うんだ。
向き合った彼女の顔を見るのがなんだか気不味い。
顔が燃えてしまうかのように熱くて、少しうつむいてしまう。
チラリと見えた彼女の目はキラキラと輝いていつ見ても綺麗だと思う。
だから、僕も彼女の期待に応えてあげたくなるんだ。
『うん、何か入っているのは確かだと思うけど…
ディーダ、悪魔って何の事だろ?』
少なくとも僕は聞いた事がない単語。
分からない事は人に聞いてみる事が大切なんだ。
『そんなの開ければ分かる事だろ!
あんなに厳重に隠されてたんだ。
きっと凄いお宝に違いないぞ!
さっさと開けろっての!』
『アイタッ!
分かったよ、開ければいいんでしょ?
…もう、叩く事ないじゃないか』
彼女はすぐに手を出す。
長い付き合いだから予想はしてたけど、やっぱり叩かれてしまった。
見た目はとても可愛い彼女はこの前も男の子から告白されていた。
何故か、喧嘩と勘違いした彼女はその男の子をボコボコにしてたけど。
うん、彼女は可愛くて喧嘩が強いのだ。
とはいえ、僕もこれを初めて見た。
魔力を感じるから魔導具なのは確かだと思うけど、とりあえず試してみよう。
僕は魔導具の魔線を伸ばして謎の物に貼り付けて繋いでみる。
どうやら、防御機能が無いらしくすんなり干渉できた。
とはいえ、だいぶ古い魔導具なのか、あまり上手く干渉が進まない。
僕は魔導具を通して根気よく干渉を続けた。
『なぁ、まだ開かないのか?』
『…うん、もうちょっと待って』
何度目かの彼女の声に応えながら干渉を進める。
時間はかかったけど、防御機能が無いおかげか、もうすぐ動かせそうだ。
『よし、開くよ!』
最後の一押しをすると鈍い音を立てながらそれは動き出した。
縦に横にグルグルと回って謎の物は動いていく。
…保管されていたのはとても小さいらしい。
どんどん、開いていって最後には小さくなった。
それでも僕かディーダがすっぽり入ってしまうだろうの大きさだけど。
『やけに小さくなったな』
『うん、そうだね』
ディーダの声が少し沈んでいた。
入っていた物が小さくてガッカリしたのかな?
それでもこれだけ厳重に保管されていたのは凄い物が入ってると思うけど…悪魔ってなんなんだろう?
もしかしたら、昔に使われていた、恐ろしい兵器なのかもしれない。
今更怖くなった僕はディーダには悪いけど急いで魔導具で謎の物を閉まってしまおうとした。
『これがアクマってやつなのか?』
『あ!
ディーダ、ダメだよ!』
しかし、魔導具を動かす前にディーダがそれに近付いて触れてしまった。
それがきっかけか分からないけど、それは聞いた事もない音を立てながら上の部分が開いていく。
『な、なんだ!』
『ディーダ!』
僕は持っていた魔導具を放り投げてディーダの腕を掴んで引っ張る。
ダメだ、逆にディーダの方に引っ張られる!
『うわっ!?』
ディーダは開いた部分から目を離さずに僕を隣まで引っ張って抱き締めてきた。
僕の頭を彼女の胸に押し付ける形で。
ふわっと心地良い香りに包まれ…
待って、色々と待って!
当たってる、顔の目の前がディーダの柔らかい部分に埋もれてる!
早く離して…いや、それよりも逃げないと!
僕は彼女を少しでも音が鳴っている物から離そうとそのままの体勢で押す…押したらディーダが倒れちゃう!?
ど、どうしよ、なんとかしないと!
せめてディーダに逃げるように伝えないと!
『ディーダ、早く逃げよ!』
『ちょっと動くな』
『ぐぇ』
ディーダが力を強めて首が締まる。
い、息が…
あれから何かが出てきてのか開いていく音とは別の音が聞こえた。
それに…女の人の声?
「あら、子供が二人だけ?
てっきり、また実験でも始めるのかと思ったのだけれど…まぁ、良いわ。
この箱を開けて…」
綺麗な声が聞こえる。
でも、その話している内容が分からない。
『誰だ、あんた!』
「…私、話している途中よ?
まぁ、仕方のない事でしょう。
言葉が通じないのは以前から分かっていた事ですし。
…でもその言葉は久しぶりだわ。
アディは元気かしら」
ディーダ、どんどん力が強くなってるよ。
僕、頭の中がフワフワして、目がチカチカし出したよ。
『…ノイマン、こいつ、何、話してんだ?
…ノイマン?』
「…まずはその子を離したらどうかしら?
それ、呼吸を止めてるわよ?」
ディーダと女の人が言い合っているなか、僕は意識が遠のいでいった。
アカリ
Lv2(189/200)
HP79/79
【ヒールタッチ】
【救済の手】
【物理無効】(1/10000)
【無属性耐性】(3/1000)
【火属性耐性】(1/1000)
【水属性弱点】(59/100)
【風属性弱点】(9/100)
【雷属性弱点】(1/100)
【土属性弱点】(10/100)
【光属性耐性】(90/1000)
【闇属性弱点】(1/100)




