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神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
21/40

各個撃破&方針

 戻ったオレに向かって、放心から戻ってきたお姉さんがあれこれ詰め寄る。

 それを適当にいなし、ミーネちゃんが心配して待ってるとなかば無理やり台所に送り出した。

 二人……行き倒れさんをいれると3人か。3人には安全な所に隠れていてもらおう。

 オレが、負ける可能性だって、あるんだから。


 まあ、そんな考えたくない不幸な妄想はしない。

 妄想は、いつだって楽しくハッピーでないとな!



 マップを確認すると、多数の盗賊が家々を荒らしているようだった。

 屋外にいる赤い点は、だいたい10人ぐらい。一ヶ所に5,6人が集まり、他は辺りをぱらぱらと見回っている。

 戦闘―――獣人側の抵抗は、どうやらもう終了したようだ。


 赤い点と一緒に緑の点が多数集まっているのは、きっと盗賊に捕まったってことなんだろう。

 捕まったなら生きてるはずだ。最終的には、彼らの解放が目標だな。


「ローラ、どうしたらいいと思う?」

「私の役割は、カードの説明をすることなのですが……」

「全力でサポートしてくれるんだろ?」


 オレと一緒にマップを見ていたローラは、小さくためいきをつくと答えた。


「敵はすでに戦闘が終了したと思っているようですね。

 ですので、まずは家の中で単独行動している盗賊を各個撃破。

 その後は敵部隊をかく乱し、一気に殲滅というところでいかがでしょうか?

 ただし予定が変わったり危なくなったら、即座に逃げましょう」


 各個撃破で減らす。

 残りはまとめてやっつける。

 なるほど、実に分かりやすい。


「大したスペルもないし、シンプルなのが一番ってことか」

「そう思います」


 よし、それでいこう。


 まずはマップを見ながら、見回りに見つからないように他の家を回ろう。

 なぁに、見回りは多くないし、こっちにはマップがある。なんてことはないさ!




 調子に乗ったオレを裏切るように、家々の解放は順調に進んだ。

 倒した盗賊は5名。

 助けた獣人は、大人と子供とあわせても4人だけだ。


 子供一人くらいなら隠れられても、粗末な家に何人も隠れられる場所はなかったんだろう。

 倒れている人などは居なかったのが幸いだ。見つかった人は外の集合場所に連れてかれたんだろうな。

 生きてりゃなんとかなる。

 なんとかする、助けてみせようじゃないか。


 とりあえず、これで各個撃破は終了。

 残念ながらレベルは上がらなかったが、それは戦闘後のお楽しみってことでいいだろう。

 ポーン3体がやられたが、倒される端から召喚している。動きやすさも考えて、数は今のところ2体をキープだ。


 ここからは、外の見回りと集合場所の集団とやりあうことになる。

 ぐずぐずしてると仲間がやられた事に気づかれるかもしれない、さっさと次に移ろう。


「ローラって、オレ以外からは見えないんだよな?」

「はい、そうです」

「じゃあ、一人で行って、盗賊倒したり村人助けたりってできる?」

「各個撃破が終わったら、いきなり他力本願になりましたね……」

「やだなぁ、安全で成功率が高い方法を考えただけだし」


 もし出来るなら確実だと思うし、使える手はなんでも使うべきだろう。


「この世界の私には、実体もさしたる魔力もありませんので。

 何かに触れることも、竜太様から離れて行動することもできません」

「なるほど。あんまり役に立たないわけだな」

「……カードの説明をするのが役割の精霊に、あんまり酷い事言わないで下さいね。

 泣いちゃいますから」

「わかったわかった。

 まあ通りを覗き込むくらいはできそうだな。頼りにしてるよ」

「はい、できる範囲で頑張りますね!」


 やる気なんだか落ち込み気質なんだか、よく分からないやつだなぁ。

 でも、今は唯一の味方だし。期待はしないが、頼りにしておこう。


「じゃあ、まずは見回り達を倒すとして。

 そいつらと戦ってる最中に、本隊に気づかれるかもしれないよな。そしたら、どうしたらいいと思う?」

「そうですね……

 遭遇してしまった場合、正面から戦って人質を取られると困ることになりますね。

 いっそ、村の外まで一度逃げてしまいますか?」

「逃げてから、向かってきた奴を各個撃破?」

「はい」


 手札を見る。

 どう考えても、盗賊をまとめて倒す手段はない。

 人質を取られたら……困るなぁ。


「消極的だけど、ばれたらそうするか」

「はい」


 よし、次の方針も決定だ。

 見回りを倒す。

 気づかれなかったら、攪乱して本隊と戦う。

 気づかれたら村の外へ逃げてゲリラ戦。


「じゃあ行くぞ。まずはこの敵だ」

「竜太様」


 マップを示して家を出ようとするオレに向かって、ローラが真っ直ぐ見つめて告げてくる。


「絶対に、死なないでくださいね?」

「もちろんだ。

 まだまだオープニングでチュートリアルだ、こんなとこでやられるわけないさ」




『村人を見捨ててでも』と、聞こえた気がしたが。


 その条件は音に聞こえなかったから、聞かなかったことにして答えた。



 見捨ててでも―――どうなんだろう。

 まだ、オレ自身、よくわからないよ。


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