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神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
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20/40

初戦闘&初勝利

「マナチャージ、キープコスト、ドローフェイズ!」


 デッキから2枚の札を引く。カードはユニットとスペルが一枚ずつだった。


 広くない室内だが、ユニットを呼ぶくらいはできるだろう。

 というか、呼ばなければ何も始まらない。


 幼女しか、呼ばない?

 ばかやろう、知ったことか。

 幼女を、子供を守るためなら大人を利用したって構わないだろ。

 オレは、自分を貫き、自分に納得するんだ。


 だから、手にした2枚のポーンを翳して叫ぶ。


「サモン、ポーン!」


 翳したカードから光が放たれ、眼前で2つの立体図形を形作った。

 逆円錐の身体に、球体の頭。オレと同じくらいの身長の、白一色の綺麗な立体ユニット、ポーン。それが2体だ。


『2マナ消費して、ユニットカード【ポーン】を2枚召喚しました』


 呼び出したカードは、デュエル用のスペースがあるかのごとく、オレの目の前で空中に浮いている。

 なるほど、これなら感覚的にもやりやすいな。


 ちなみに、よく見ればポーン達もほんの数センチだけ浮いているらしい。これなら床にまぁるい穴が開くことはなさそうだ。


「な、なんだぁ!?」

「こんなガキが魔法だと?」


 驚く盗賊は無視だ。

 呼び出したターンには攻撃できない、オレはターンエンドを宣言する。


「おいおい、ゴーレムを作るとか、上級の呪文じゃなかったか?」

「でもゴーレムってもっとでかいだろ、こいつは手足もないじゃねーか」

「そうだな、やっちまえば関係ねぇよな」


 確かに、ポーンには手足がない。○と▽を組み合わせただけの、ごくごくシンプルな形状だ。

 だが、ユニットカードとしては、攻撃力1、体力1。

 つまりは、ゴブリンやその他のカードと比べて同じ性能ということだ。


 盗賊たちが、それぞれ一体ずつ殴りかかってくる。

 迎えるポーンは―――


「ポーン2体で、敵攻撃をそれぞれブロック!」


 頭らしき球体が、まるで肘の関節であるかのごとく。

 胴体がぐりんと頭の前面に持ち上がり、尖った先端が盗賊に向けられた。


「な、なんじゃこりゃ!」

「おい、あいつ浮いてるじゃねーか!」


 慌てた盗賊に、浮いたポーンが迫り。


「貫け、ポーンランス!」


 ポーン達の先端が盗賊の胴体に突き刺さる!


『敵ユニットが攻撃を行わないため、ポーンが先制攻撃を行いました。

 2体の敵ユニットを撃破しました』


 胴体を貫かれたはずの盗賊たちは、なぜか血を流したりはせず、意識を失ったようにその場に倒れる。



 こうしてオレの初陣は、1レベルのポーン達の反撃だけで、あっさりと終了したのだった。

 盗賊たちが1レベルのユニットと考えればごく当然の結果なんだけどな。




「レベルアップ、おめでとうございまーす☆」


 傍らのローラが、笑顔で手にした筒から紐を引っ張る。

 ぽんっ、と軽快な音がして紙吹雪が飛び出した。


「何やってんの?」

「記念すべき初勝利をお祝いして、クラッカーをご用意してみました」


 得意げな笑顔で大きな胸を張るローラに、いらっとした……なんてことはないんだけれど。

 試しにちょっと聞いてみる。


「暇なんだな」


 冷めたオレの突っ込みに対し、しかしローラは笑顔を浮かべて


「はい、とっても暇です。

 説明カードなのに、主人である竜太様にチェンジされてしまったから、もう暇で暇で……」

「すいませんっしたー!」


 突っ込むんじゃなかった! 逆襲怖いし、まだ根に持ってるし!




 いかに悲しく切なく苦しかったかを少女漫画的にとうとうと語られるというお仕置きから解放され。

 ひといき、どころではなく疲れた身体を地面に投げ出した。

 ちょーつかれたー……

 まあ、それだけ酷い事をしたというべきなんだろう。


 改めて、すまなかった。

 と、心の中でだけ謝った。


 さて、辛さの後は喜びを。

 お楽しみのカードゲットでございます。


「今回のレベルアップを祝して、こちらのカードを差し上げましょう」

「ははー、ありがとうございます!」


【身代わり】 レベル1 リザーブ

 対象の2レベル以下のユニットへの攻撃ダメージを、同レベルの別ユニットが肩代わりする。


「やった、身代わりだ」


 同レベルユニットへの身代わりしかできないが、非常に使い勝手のいいレアカードだ。

 レベル2以下とは言え、攻撃を行いつつダメージは壁ユニットで受け持つなど使い道は幅広い。

 もっとも……1レベルユニットだけの状況では、有用性は薄れるけどね。


「喜んでいただけて、私も嬉しいです」

「うん、ありがとうローラ」


 笑顔のローラに頷いて、もらったカードをポーチへしまう。


「それではお時間ですので、続きはあちらに戻ってからにいたしましょう」

「続き―――

 まだ盗賊はいるし、デュエル続行中ってことになるのか?」


 そういえば、こっちに来てる間は時間が止まってるらしいが。

 戻ったら、まだ盗賊たちが村の中にいっぱい居るんだよな。


「戦闘を終わりにしたいなら終了することもできますが……」

「バカ言うなし。

 まだまだこれからだよ」


 お姉さんを助けただけでは満足―――納得できない。

 とことんやってやる!


「分かりました。私も全力でサポートしますね」

「ああ」



 満ちる光の中で、ふと思いつき。


「いこう。

 オレ達の戦いは、まだ始まったばかりだ!」


 オレは、お決まりのセリフを叫んだのだった。


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