忙しい日常
孝也さんに送った設計案を現地の設計者に設計をしてもらうため、配管のパイプの周りに防音材を入れるなど、細かな注意を入れた。
「遥翔、どうして配管の防音を気にするんだ?」
「車は孝也さんが要望したんだろ?」
「あぁ。それとどう関係するんだ?」
「孝也さんは何度も夜に目覚めているだろ?」
「目覚めているのはブレスレットでわかったと思うが、車とどう関係する?」
「日本でも、アメリカでも音が静粛な車だったから、そうじゃないかと思ったんだ」
「おっ。気づいていたか。車にアクティブノイズキャンセルを入れたからな」
「へぇ。そんなもの入っていたのか。家を静音にするため壁や窓に注意するが、配管の水の音が結構気になる人がいるんだよ。だから、配管の位置も工夫している」
「なるほど。よく見ているな。遥翔に頼んで正解だったよ」
「建って住んでみたら、不満点は出てくると思うよ」
「かもな」
孝也さんとの接続を切って、俺は時計を見た。
夜の3時…
次は、長谷川さんかぁ。長谷川さんの旦那さんは亡くなったから、もう一度練り直しが必要だな。
俺は、長谷川さんに設計について再検討を行うため、ヒアリングできる日の問い合わせるメールをした。
そろそろ寝るか…
俺は書斎を出て、翔と紬を起こさないように、寝室をそっと開ける。
そして、俺はゆっくりベットに滑り込む。
「遥翔…」
「ごめん、起こしたね」
「それはいいけど、こんを詰めすぎよ。もしかして、事務所の経営を気にしているの?」
「休んで顧客が離れたから… 翔のためにも頑張るよ」
「翔のことを考えるなら」と紬が言いかけたら、翔が「うーん」と言って起きた。
「ごめんねぇ。うるさかったね」と紬は翔の頭を撫でる。
紬が翔を寝かそうとしているのを見ていると、俺の方が寝てしまった。
目を覚ましてリビングに行くと、翔が歩き回らないように設置した柵に掴んで『出せ』と怒っていた。
俺は、翔を抱き上げると翔はキャッキャと喜ぶ。
「足、大丈夫?」
「あぁ。大丈夫」
「長谷川さんからメール来ているわよ」
「確認する」
俺は翔を柵の中に戻し、メールを確認するとオンライン会議で一度話したいとのことだった。
俺は書斎で長谷川さんにつないだ。
「おはようございます。長谷川さん」
「おはようございます…」
俺の顔を見て表情が曇った気がした。
「どうしました? もしかして建築は辞めたいということでしょうか?」
「え? 違います」
何か言いたげだったので、長谷川さんが何か言うのを待つ。
「…建築はお願いしますが、一つお願いがあります」
「はい。何でしょうか?」
「私、現地を見ていないので、現地を見たいです」
「えっと… 車での移動になりますし、事故のあった場所を通ることになりますがよろしいですか?」
「はい。問題ないです。できれば、後ろの紬さんと翔君も御一緒に来てくださると嬉しいのですが…」
俺は、後ろを振り返ると、翔を抱っこした紬がいた。
紬が書斎に来るのは珍しい…
「どうだ?」と俺は紬に言った。
「翔がいると迷惑では?」
「とんでもない。翔君と会えるのが楽しみなんですから」
俺は、長谷川さんと日程を調整した。




