設計
各部屋にBluetoothビーコンを設定し、ブレスレットとの接続を確認した。
そして、ブレスレットは優希さん、裕香、孝也さんにつけてもらった。
次の日、リビングでパソコンの操作をしていると、裕香が起きてきた。
「遥翔、おはよう」
「おはよう… 裕香の昨日の行動は日常に近いか?」
「そうね。こんなものね。で、孝也と優希は?」
「紬がワイナリーを見たいというというので、優希さんが案内してくれている。孝也さんは知らない」
「ふーん。じゃ、私の朝食は?」
「もうすぐ昼だから、ちょっと待てばいいじゃないか?」
「ま、いいわ」というと、キッチンに行ったと思ったら、ガチャガチャと音が聞こえる。
「はぁ。何もないわね。で、何をしているの?」
「今までの動きのデータで部屋構成案をAIに出させて、そのコンセプトも書かせている」
「へぇ、見せて」
俺は、リビングのテレビに表示した。
「どれも家の大きさは同じだけど、どうして?」
「この家をリフォームした方がいいと思ったからだよ」
「この家、他の建築家に再生は無理と言われたのよ」
「カリフォルニアは日本ほど地震はないわけじゃないけど、地震はあるからこのままじゃ危険だ。だが、家の石の感じは景観に合っていていいじゃないか?」
「それを気に入って買ったんだけど、できるの?」
「家を少し移動させて、内側に耐震壁面を入れる必要がある」
「移動?」
「この家、北側に少し傾いている。これを見ろ」
俺はこの家の写真を見せた。
「航空写真?」
「優希さんがドローンで撮った映像をつなぎ合わせて加工した」
「そういえば、ここを買う時に飛ばしていたわね」
「北側に筋が見えるだろ? たぶん地下水の流れか何かだと思う。この筋のあたりの道路や畑はよく補修しているんじゃないか?」
「しているわ…」
「やっぱりな。南に10Mほど動かし方がいい」
「わかったわ」
「簡単に言うが、金がかかるぞ」
「いいわよ」
「遥翔、俺たちと組まないか?」と後ろからの孝也さんの声に驚いて振り返った。
「孝也、いいわね。店舗改装なんかもできるし、私の周りはリゾートを持っている人も多いから、仕事はたっぷりよ」
仕事が増えるのはありがたい。
「紬と相談するよ」
「そうね」
2日間、翔はワイナリーの自然を楽しんでいる。
俺は、その時間を利用してAIが出す案に対して、変更指示を与えながら改善を続ける。
アメリカ滞在最終日になり、俺は全員をリビングに集めた。
そして、リビングのテレビに見取り図を見せた。
「これが見取り図案です。左のグラフは今の見取り図で人毎の移動距離、右のグラフは新案の移動距離です。25%の低減されています。それに、水回りがまとまっており、今後のメンテナンスも問題ないはずです。いかがですか?」
「ねぇ、優希の移動距離はものすごく改善されているのに、私の移動距離は改善されていないじゃない?」
「裕香は引きこもりに近いから、変わらん」
「ふん。孝也どう?」
「入り口で靴を脱ぐのか?」と孝也さんが言う。
「あっ。そうだ。そこはどうなっているの?」
俺はCGを見せた。
「フラットにしているが、タイルの部分で靴を脱いでもらうが段差は設けていない。シューズクロークを玄関に配置した」
「なるほどぉ。で、優希はどう?」
「石の家は寒いですが、寒さの対策はどうなりますか?」
「アメリカは集中暖房が多いし、今もそうでしょ?」
「ここも集中暖房を入れていますが寒いです。昔は暖炉が使えたので問題ないですが、今は禁止です」
「なるほど…」
今の暖炉は飾りか…
「じゃ、床暖がいいわ。靴を脱ぐなら暖かいほうがいいでしょ? 今の暖房は上が暑くて足元が寒いのが嫌だったの」
「床暖ね。床暖にするなら給湯設備の増強が必要だな。変更を考えるよ」




