検証
今日もマッサージ? ストレッチ? 拷問?をうけてぐったりだ。
徐々に動けるようになってきているので、必要なのはわかる。
それに、看護師さんに「今日も頑張りましょうね」と笑顔で言われると、子供じゃないんだから、手加減をお願いもできない…
拷問が終わってやっと一息というところで、糸井先生が女性を2名連れて来た。
「おはようございます…」
「おはようございます。今日はパソコンをお持ちしました」
後ろの女性の一人は前回に来た人だ。
どうして毎回?
もう一人は写真を見せられた人物の中にいた。
ということは、俺の関係者? 知っているような気がするけど…
で、2人とも、どうして何も話さない?
会話は一対一で話すルールがいつの間にか決まったのか?と考えているうちに、女性がテーブルに薄いAppleのロゴが入った薄いノートPCを置き、なにやら操作する。
あんなAppleの端末は見たことがない。
やたら、薄くないか? 閉じた状態でも1cmよりはるかに薄い。
そのためか、見たことがない端子がついている。
それにマウスだが… ケーブルがない。
確かにあれだけ薄いノートPCでは、MacのADB端子は繋がらないからだろうが、どういう仕組みで繋がっている?
マウスは2つボタンで、真ん中に何かへんな歯車?がついている。
2つボタンということはWindows用か?と考えていると、セッティングが終わったのか俺の前にノートPCを開けて置く。
画面にはSolarisのロゴが表示されているが、ちょっと違う。
Appleのロゴが入ったノートPCなのに、MacOSが起動していないのか…
「ユーザ名とパスワードはこれです」とスティッキーノート? ポストイットが置かれた。
俺が、ノートPCとマウスを眺めていると、「使えますか?」と糸井先生が言う。
「ログインすればいいのでしょうか?」
「はい。できれば操作もしてみてください」
ユーザ名とパスワードを入力するために、キーボードを見る。
おっ。英語キーボード。いいねぇ。CapsLockの位置が気に入らないけど…
俺は、ユーザ名、パスワードを入れてエンターキーをポチッと押す。
Common Desktop Environmentの画面が表示される。ダサいねぇ。
ん? 改装度高くないか?20インチディスプレイぐらいあるぞ。
こんな薄い端末でSolarisが動いているのか? 信じられないな。
ということはX端末で画面だけ表示しているのか。
マウスを動かすと、ケーブルがないのに正確に動く。
マウスの裏を見ると、レーザーのようだが、レーザーを反射させる銀のマウスパッドがない。
うーん。なんだこれは…
俺はターミナルを開いて、コマンドをホームディレクトリの内容や環境変数を見る。
bash? korn shellじゃないのか。
うーん。操作しろと言われたけど、何をすればいいんだろう?
「糸井先生、何の操作をすればいいのでしょうか?」
「そうですね… 今の気分を文章で書いてみてください」
「文章? エディタを起動しろということですか?」
俺は、emacsは入っていないだろうから、viを起動する。
日本語を入力しようとしたが、かな漢字変換が起動しない。
viを終了し、日本語パッケージが入っているか調べようとしていると「難しいですか?」と糸井先生が言う。
「あっ、いえ…」
そうじゃないんだけど、素人に説明が難しいなぁと思っていると、「終わりにしましょう」と糸井先生が言い、ノートPCを閉じて、ノートPCを女性に渡した。
え? 持って行っちゃうの?
あのノートPCは置いて行って欲しい。
あれだけの解像度で薄い端末は高いから、置いていけないのはわかるけど、面白そうなおもちゃを見せびらかして、取り上げるのはどういうこと?
そういえば、X端末だとすると、イーサネットのケーブルもシリアルケーブルもなかった。
どういうこと?
糸井先生が持っていたディスプレイだけの端末もすごかったし、あんな薄いノートPCを用意できるなんて、ものすごい高級な病院?
事故で入院していると思っていたが、何かの事件に巻き込まれている?
今回はちょっと古い技術が多く出てきます。
わからないと思いますので、補足です。
X端末はUnixなどで動作しているXWindowの画面と操作だけできるダム端末で、本体は別の場所にあります。
今のクラウド上でOSが動いていて、ローカル端末で画面操作しているようなものです。
ADB(Apple Desktop Bus)端子はMacのキーボードやマウスの端子です。
Sun社のマウスはレーザー式ですが、専用の銀色のマウスパット上でなければ動かすことができない仕様でした。




