閑話:記憶? 記録?
遥翔が長谷川さんの記録と同じ夢?を見ているのではないか?というのは寝言からわかるけど、それをいつ知ったのかは謎のままなのよね。
遥翔、いつ知ったの?と思って遥翔を見ると、呑気にスヌーピー?がどうのとか英語らしき言葉も寝言で喋っている…
「糸井先生、遥翔がスヌーピーとか言っていますけど…」
「…そのようですね」
糸井先生が考え込んでいる。
「何か遥翔に良くない症状が出ているのでしょうか?」
「症状ではないですが、スヌーピーはちょっと…」
「そうですね」と長谷川さんも理解している。
「あのう、スヌーピーの何が問題なのですか?」
「スヌーピーは健一の記録の最後の方なのです」
「え! ということは…」
糸井先生も長谷川さんも遥翔の顔を見ていて、私を見ない。
私は遥翔の腕を掴み、「ねぇ、遥翔!」と揺らそうとしたが、糸井先生に止められた。
「佐藤さん! 止めてください。落ちつて!」
そんなこと言われても、落ち着けるわけないじゃない!
「佐藤さん! 私が遥翔さんが衝撃を受けると言いましたが、それほど大きな衝撃ではないはずです」
「え!? どういうことでしょうか?」
「佐藤さん、私もそう思います」と長谷川さんが私の肩を触る。
「どうしてでしょうか?」
「健一が佐藤さんに翔の事故のことを話したとしても、『あのときは落ち込んだよ』ぐらいは言うかもしれませんが、その程度でしょ?」
長谷川さんの話はなんとなく想像がつく…
「そうですね」
「その話で佐藤さんは共感してくださるかもしれませんが、当時の健一と同じ程度の衝撃は受けないと、思いませんか?」
「はい」
「遥翔さんが健一の記録を読んでいたとしても、事故のことは書いていません。その場合は、衝撃は受けようがないと思います…」
「そっ、そうですね」
「佐藤さん、落ち着いたようですね」
「すみません… 翔君の事故と同じことが翔に起こったらと考えたら怖くなってしまいました」
私は大きく深呼吸をした。
たぶん、冷静になったと思う。
冷静に考えると、長谷川さんが遥翔に話したというのが引っかかる。
「…長谷川さんが遥翔に話したとは思えないのです」
「会議の録音にないからですか?」
「はい。遥翔はこれほど重要な記録を残さないはずがないです」
「では、車の中での会話ではないですか?」
「土地の下見などで車を利用しますが、今回が初めてのはずです」
「健一からもそう聞いていました…」
「長谷川さん、何か気づかれましたか? どこかに行かれたのですか?」
「いいえ、下見などはないはずです… 先ほど、私は健一が書いた記録を佐藤さんが読んだとしたらと言う話をしたのですが、それも可能性はありません」
「そうなのですか?」
「健一が書いた記録はMacのノートにしかないのです。Macは起動できなかったので取り出すことはできないのです」
「では、遥翔の寝言は…」
私たちは遥翔を顔を見た。
遥翔は呑気に寝言を言っている…
遥翔のバカ! 早く起きて説明してよ! 翔が待っているんだから…




