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アメリカに戻る

 この週末は翔とショッピングだ。

 ドラッグストアで愛さんのお土産の植物物語の石鹸と自分用のシャンプー。なぜか紬用のシャンプー、コンディショナーも買った。

「家にあるだろ?」と言ったら、「私がアメリカに行った時にないと不便じゃん」と言われた。

 それって、アメリカに戻る時に運んでおけってことだよね?


「アメリカ人が好みそうなお土産って何かなぁ?」

「うーん。日本ぽいものだよね?」


「そうだね」

「扇子や手拭い和菓子?」


「扇子や手拭いは趣味があるからなぁ。避けた方がよさそうだね」

「じゃ、和菓子」


「和菓子かぁ。日持ちがするものがいいよね。このスティックの小さな羊羹とか?」

「黒いものって食べ物と思われないとか聞いたけど… 大丈夫?」


「変なものの方が話が弾むから、これにするよ」

「話が弾むかどうかが基準なんだぁ。羊羹って重くない?」


「そうか… 選ぶのが面倒だし、ここで買えるからこれでいいや」

「翔のミルクやおむつも買うから、もっと重いわよ」


「…問題ない。あっ。翔の写真! フィルムを買わなくちゃ」

 俺は、発売されたばかりのアドバンスドフォトシステムのフィルムを買う。

 これで、翔の写真を撮りまくる。


「ちょっと高くない?」

「これだと、パノラマの写真も撮れるんだぜ」


「パノラマってあの横長の写真? いつ撮るの?」

「いつって、雄大な景色…」


「翔は雄大な景色があるような場所なんて、まだ行けないわよ」

「…この前買ったキャノンIXYはアドバンスドフォトシステムしか入らないんだよ」


「ふーん」

「あっ。無駄遣いと思っているだろ?」


「まぁね」


 翔と紬との時間はあっという間に過ぎ、アメリカに戻る。

 日本に来る時は座席はかなり空いていたので、期待してカウンターに行き、チケットを渡し、荷物を預ける。


「座席の希望はありますか?」

「空いていますか?」


「予約状況から見ると混んでいます」

「そうですか… では、窓側をお願いします」


「わかりました」

 渡されたチケットは2階の窓側だった。

 2階? 2階はビジネスとかのいい席じゃないのか?

 俺はウキウキしながら飛行機に乗り、2階に上がる。


 うーん。エコノミーだな。

 外を見ると、確かに見える高さはいつもより高いが、天気が悪く、風も強い…


 飛行が出発するが、手違いがあったのか地上を走る時間が長い。

 そして、右に左に回るが、そのたびに2階席だからか、ゆーっくり大きく揺さぶられる。

 気持ち悪!

 2階最悪じゃん!


 やっと加速して離陸するが、すぐに旋回する。

 これも気持ち悪!


 気圧のせいで鼻水が出たと思い、ティッシュを取り出し鼻に当てると、鼻血だ…

 みるみるティッシュが真っ赤になる。

 隣の女性が俺に気づき、「大丈夫ですか?」とティッシュをくれる。


 俺は鼻声で礼を言うが、ティッシュで押さえておくしかない。

 シートベルトサインが消えた時にはポケットティッシュ2つが真っ赤になっていた。


 俺は、鼻を押さえながら通路に出ると、スチュワーデスが俺の手が赤いのに気づき「大丈夫ですか?」と聞いてくれるが、「気圧で鼻血が出たようです」と答えながらトイレに入る。

 俺は、血のティッシュを捨て、手を洗う。

 はぁ。最悪…


 トイレを出ると、スチュワーデスが「何かあればお声をかけください」と言いながらJALのマークが入った箱ティッシュをくれる。

 ありがたいけど、箱ティッシュ分の鼻血が出たら死ぬぞ。

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