出張最終日
日本出張は1週間で今日が最終日だ。
試験は放置しておいて、出力された結果をsedとawkコマンドで整形して、Excelでグラフ化するだけだから、試験は簡単だ。
最後に試験結果をまとめて報告書を書いていると、勇人がやってくる。
「まだやっているのか? 呑みに行くぞ。チームのみんなが待ってるぞ」
「あっ。ごめん。報告書をメールするからちょっと待って」
「メールする相手は俺たちだろ?」
「ま、そうだけど… 出した。行こうか」
「あぁ」
俺がフロアに行くと、チームの5名が待っていた。
「すみません。遅くなりました」
「いいよ。行くか」
俺たちは近くの古民家風のお店に入った。
「長谷川、好きなものを注文しろ。アメリカじゃ食べられないだろ?」
「そうですね。なんちゃって日本食が多いですから」
「なんちゃって日本食ってどんなのだ?」
「例えば、天ぷら定食ではブロッコリーと瓜みたいにでかいかきゅうりを揚げるので… 多分手近にある食材なんだと思いますけど… 意外と美味しいので違うとも言いにくいのが難点ですね」
「確かに珍しいな」
「俺の地元じゃ、きゅうりの天ぷらは食べるぞ」
「そうなのか!? じゃ、なんちゃって日本食じゃないんだな。勇人の地元の人が教えたのかなぁ」
「俺の地元は超田舎だぜ。アメリカに行くわけないじゃん」
「はっはっ。確かに。勇人の地元は小中がまとまった学校が1つしなかない田舎だものな」
「本当だから、否定はできんなぁ。それより、美人は多いか? モテるか?」
「美人は多いかな。ま、170cmのアジア人なんて相手にされないよ。170cmって女性の平均だぜ」
「ふーん。じゃ、ゲイとエイズに気をつけろよ」
「何がじゃかわからんけど… カストロ地区はゲイタウンだけど行ったことがないなぁ。エイズといえばリスに気をつけろと芝浜Americaの人に言われたよ」
「リス? リスとエイズって何が関係するんだ?」
「リスは狂犬病やエイズに感染している可能性があるから、噛まれるなと聞いたよ」
「へぇ。でも、リスなんてそういないだろ?」
「いっぱいいるよ。俺のアパートで毎日見るよ。木にいっぱいいるよ」
「鳩みたいにか?」
「鳩というよりスズメかな。そういえば鳩もスズメも見かけないな。いるのかな? ハチドリは見たけど」
「ハチドリってあの羽をブンブンするハチドリか? 写真は撮ったか?」
「失敗した。それよりロードランナーが見たい」
「ロードランナーってアメリカのアニメに出てくる走る鳥だろ? 実在するのか!?」
「アメリカ南西部にいるらしい。駐車場にいたりするぐらいかなり見れる鳥みたい」
「へぇ。そんな自然がいっぱいなのかぁ。俺が行きたかったなぁー」
「俺の代わりに行くか? 俺は日本の方がいい」
「あっ、そうか。赤ちゃんが居るものな」
「かわいいぞ」
「俺も結婚するかなぁ」
「勇人、先に相手を探せ。それより、橋本、いや、奥さんは元気にしているか?」
「はい。おかげさまで元気にしております」
「そうか。育児休暇が終わったら、アメリカに一緒に行くのか?」
「来て欲しいとは思っています」
「橋本と長谷川が俺のチームから抜けて、戦力ダウンが酷いからな」
「すみません」
「赤ちゃんは授かりだからめでたいことだから… 長谷川をアメリカにやることは部長が決めたからなぁ。はぁ…」
「勇人がいますよ。なぁ勇人!」
「俺、頑張りますよ!」
「そうだな。期待している」
「あっ。頼りないと思いましたね?」
「まぁな」
リスのエイズは発見されていません。よって、人に感染することはありません。リスエイズはリス痘ウイルス(SQPV)の誤用が90年代にあったようです。
リスが狂犬病や腺ペストのキャリアの可能性はあります。
噛まれないように注意しましょう。




