帰社
翔のぐずりで目を覚ました。
「翔、お腹すいたのか? それともオシメか?」
「両方ね。私、ミルクの用意をするから、オシメを替えてくれる?」
「喜んで!」
俺がオシメを替えて、リビングに行く。
「はい」とミルクを渡される。
翔が手を伸ばすので、ミルクを飲ませる。
「あれ、前はもっと下手だったのに…」
「そう?」
「オシメも綺麗につけられているわ」
「前と同じだと思うけど…」
「そうかなぁ… 今日は会社でしょ? 何時に出るの?」
「もうちょっとしたら出るよ」
「晩ご飯はいらないでしょ?」
「どうして?」
「呑みに誘われるんじゃない?」
「そうかも… 呑み会ってあんまり好きじゃないんだよなぁ。呑み会になるなら連絡するよ」
「わかったわ」
俺は久々にスーツに着替え、家を出る。
毎日車での通勤していたが、電車か…
あれ? この車両は女性専用車両だったような気がするけど…
それにしても、混雑がすごいな。
はぁ。疲れる…
田町駅に降りた。
あれ? エスカレータがあったような気がするけど、こんな古い階段だったかな…
階段を降りたところにかなり古びたうどん屋がある。
うどん屋が回収させるために道に出している麺のケースに鳩が群がっている。
後で麺屋さんが洗浄するのかもしれないけど、衛生的にどうよ…
うどん屋はあったような気がするけど、もうちょっと綺麗だったような気がする。
あれ? EXCELSIOR CAFFÉが角にあったような気がするけど、ないな。
俺は、コンビニによって飲み物を買って、出社した。
俺の席はないので、会議卓に荷物を置き、上司への帰社の挨拶だ…
「おはようございます」
「おはよう。アメリカはどうだ? 満喫できたか?」
「開発を押し付けられましたから、日本と変わらないですよ」と言いながら、お土産のFERRERO ROCHERを渡す。
「そうか。夜にゆっくり聞かせてくれ。9時半に701会議室に来てくれ」
「はい。わかりました」
今日は呑み会が決定してしまった… 優佳に連絡しておかなきゃ。
内ポケットに手を伸ばしたが、スマホがない。
スマホ? 後で電話するか…
会議卓に戻る途中で同期にお土産を渡し、配ってくれをお願いする。
そして、総務に行き、元部署の担当の女性にお土産を渡す。
FERRERO ROCHERは大きな金の包みの丸いチョコなので豪勢に見えるからか、お土産の効果は大きく、経費精算について質問がしやすい。
ほのぼのとした時間が終わり、会議・会議・会議が続く。
タバコが吸えるからか会議が好きだよなぁ。
日本に戻ってきて会議の多さに辟易する。
タバコの匂い服につくと、翔が嫌がるんだよなぁ。
翔?
会議卓に戻って、ぐったりしていると同期の勇人が来て、「呑みに行こうぜ」と言う。
「部長に誘われている」
「そっか。じゃ近づかない方がいいな」と言い、離れていく。
俺が、ThinkPadで経費などの精算処理をしていると、部長が「行くぞ」と言う。
カバンを持っているので、呑みに行くということだろう…
俺は「はい」と答えながら、PCを閉じてカバンに入れ、後を追う。
ロビーには課長もチームリーダーが居て、連れ添って出る。
このメンバで呑むのか… はぁ。面倒…
呑み会では、部長が「現地の状況を確認しておく必要があるなぁ」とか、「現地では案内をしてくれ」とか言う。
課長も「私も確認が必要だと思っていました」と話を合わせるからたまったものじゃない。
ナパバレーにあるOpus Oneというワイナリーに行きたいだの、ロンバートストリートに行きたいだの、ゴールデンゲートブリッジに行きたいだの観光かよ!
自分の金で勝手に行けよ!と心の中では思うが、口に出せないので鬱憤がたまる。
はぁ。最悪のメンバの呑み会。
2G携帯はアナログで93年にサービスが開始されましたが高価でした。
95年から安価なPHSが普及し始めましたが、使えない場所が多い状況でした。
うーん。なかなか厳しい時代ですね。




