帰還
読んでいただきありがとうございます。
今回は少し長くなってしまいました。
ん?
誰か、私の頬をつつく人が居る。
私は重い瞼を落ち上げ、眼を開ける。
イオが、私の横にごろりと寝転び、頬をまたつつく。
「リノアのほっぺかわいい」
「んー。かわいい」
「うん。食べたい」
気がつけば、アルトとラノが、私の腕の中に居て、見上げながらイオに同意した。
あれ? 私…………どうしたんだっけ?
見回すと、ノアナ王国の客室。
ぽかんとする私の頭をイオが撫でる。
「リノア、貧血で倒れたんだよ」
「ええ!そうなの、ブドウ園で?私みんな迷惑かけた?」
「全然、リノアは迷惑かけてないよ」
「うん。イオが、クルクルして大変だった」
「そうイオ悪い子、リノア大変なのに」
ん?
「貧血で倒れたなんて私、初めて。長旅で疲れていたのかしら」
「違うよ、違う」
「ピンクと水色だよ」
アルトとラノが急に私の腕から飛び出して、ベッドの周りを飛び回る。
「ピンクと水色って何?」
イオが私を抱き寄せ、耳元で囁く。
「どうやら俺達の子供のことらしい」
「えーーーー。 私、赤ちゃんが出来たの?」
思わず、大きな声が出た。
「うん、ピンクと水色まだ小さい」
「うん。小さい、プロテア様が、大事大事にするようにって 言ってた」
私の叫び声が、聞こえたのか、ドタバタと廊下から複数の足音が聞こえる。
ドンドン。
大きな音で、ドアがノックされる。
「リー様、入ってもいいですか?」
「クリス様!ちょっと待って下さい」
イオがベッドから降りてドアを開ける。
同時に、ノア兄様、クリス様、ルナ姉様にマナ姉様、ラーシュ殿下とフレイア様、アルロ殿下がなだれ込んでくる。
おおい…………。
集団の中から、女性陣が私に駆け寄り、口々に話し始める。
「リノア、大丈夫なの、あなたは本当に直ぐ、無理するんだから」
「そうよ、体調が悪いなら私達を頼りなさい」
「お姉さま方、私が近くに居たのに、気がつかなくてすみません」
「私こそ、馬車の中で、はしゃぎすぎたから」
ふふ。みんな姦しい。
「体調は、大丈夫かい?」
アルロ殿下が、気遣って声をかけてくれる。
「ところで、イオ殿。リノアへの話は済みましたか?」
ノア兄さまが、イオの肩を叩く。
「はい。それで先ほど大声を…………ふふ」
イオが思い出したように笑う。
「では、本当ですのね、素敵だわ、私、叔母さまになるのね」
クリス様が眩しい笑顔で、ノア兄様を見上げる。
「気が早いよ」
ノア兄様も優しい、笑顔。
なによ、お兄様、すっかり仲良しじゃない。
クリス様が私の手を取る。
「でわでわ♪今は、大事な時期なのでしょ、安定するまで、わが国で過ごされてはどうかしら」
「いいわね。きっと馬車の揺れも長旅となると、母体に悪いわ、是非そうしてリノア様、私もっとリノア様とお話しする時間が欲しいわ」
フレイア様も、クリス様の意見に同意する。
「リノアは、ずっといていいぞ」
いつの間にか、バルドル様が小さくなって、私の横にちょこんと座っていた。
「ダメダメ、リノアは僕が連れてかえるの」
「そうよ、アルトできる子」
イオが手を伸ばし、アルトを抱っこする。
「アルト、気持ちはわかるけど、背中に乗るのは危ないから、他の方法を考えよう、魔道具付きの馬車は揺れないだろ、だから無理せずゆっくり戻ろう」
「むー。アルトできるもん。 リノア、あのお家出して」
「ん?お家ってツリーハウスのこと?」
「そうだよ、木のやつ」
ラノが、なんでもポシェットを掴んで運んでくる。
「リノア、僕の背中にお家投げて」
アルトが大きくなって、私に背中を向ける。
「おい。アルト、部屋から出られなくなるぞ」
イオがアルトの首を撫でる。
「むー。」
アルトは少し不満げに、大きな窓からベランダに出でた。
「はい。リノア、ポンして」
私はアルトの言う通り、ツリーハウスをアルトの背中に投げる。
「わあ凄い、ツリーハウス、アルトの背中に付いたね」
「いいでしょ、これならリノア、ふかふかお布団で、帰れるよ」
「アルト、頭いいな」
イオに褒められて、アルトは自慢げに胸を張る。
「リノア、お家に入って、イオはラノ」
「おい、何で、俺は入れてもらえないんだよ、リノアに何かあった時、俺が助けるから入れてくれよ」
「むー。仕方ないな」
「ラノ様」
部屋の隅に居た、アンナがラノに手を伸ばす。
「なーに、アンナ」
「私を、ラノ様の背中に、乗せていただくことは、できますでしょうか?」
「アンナも、直ぐに帰りたいの?」
「はい。私はグレース奥様より、お子様方の乳母の務めを命じられています、是非一緒に帰還させてください」
「ラノ様、私も是非、アルト様とラノ様が居れば不要ですが、私はお二人の護衛ですので」
「いいよ、乗せてあげる」
ラノも二人を連れて、ベランダに出る。
アンナが、イオに大きなバックを渡す。
「イオ様、必要なものは、すべてこの中に準備しております」
「他の荷物は、僕がゆっくり運んであげるから」
アルロ殿下がみんなの後ろから手を振る。
私はイオと、みんなへの挨拶を済ませてツリーハウスの中に入る。
「わあ。リノア様の魔道具は、本当に凄いわね」
クリス様が感心したようにつぶやく。
アルトとラノが空高く舞い上がる。
「おい。お前達!リノアを頼んだぞ」
バルドル様が声を上げる。
「うん。バルドル様、またね~」
私達は、ノアナ王国を慌ただしく、後にした。
いつも誤字脱字などありがとうございます。
(≧▽≦)




