ノアの告白 ① (まだノア 視点)
読んでいただきありがとうございます。
「何を考えていたんですか?温めて飲むと、美味しいお酒を持ってきたんです、兄弟の親睦を深めませんか?」
「ああ。僕も飲みたい気分だ、いただくよ」
「ノアナ王国で、作られているワインですが、こちらでは温めて飲むみたいです、クリスタル様に教えていただきました」
イオ殿が大きなカップを僕に差し出す。
「クリスタル様に!」
突然出た彼女の名前に、思わず声が大きくなる。
「はい。リノアと年が一緒なので、仲良くなりたいと、晩餐会のあと、部屋を訪ねて来たんです。今頃は、楽しく女子会してると思います」
「はー。女子たちは、集まるとどんな話をするのかな?母上は、ご婦人方と集まると、子供の自慢話か、縁談の話ばかりだが……。」
「ああ。あの年頃なら、やっぱり恋の話じゃないですかね?」
「こ 恋の話?リノアは魔道具作りばかりで、そんな経験ないんじゃないかな?」
「兄上、酷いですね、俺とリノアは恋愛して、結婚したんですよ、俺もリノアに出会うまでは、周りの人間に、興味なんてありませんでしたが、今思えば、リノアと出会った瞬間に恋に落ちていたのだと思います」
僕は思わず、前のめりになる。
「会った瞬間、恋に落ちることがあるのだろうか」
「少なくとも俺はそうでした、リノアは……違ったかも」
「…………。」
「まあ俺自身も、自分の感情に、うまく気づけなかったり、年上として、男として!かっこよく見せたくて空回りして、いろいろとあがいた結果、自分の気持ちを素直に表現するのがいいのだと、今は思っていますけど」
イオ殿がニッコリと笑う。
「イオ殿でも、うまくいかないことがあったのか!」
「はい。自分も初めてでしたから。」
「イオ殿…………。その相談してもいいだろうか」
僕は、11歳の時に園遊会で、出会った女の子の話を、イオ殿に話した。
「今回、ノアナ王国の王女から婚姻の打診を貰い、どうせリノアの七光りに、眼がくらんだ王族だろうと思って、この話は断るつもりでいた。
断るにしても、お会いしてからでないと、許さない!と言う、あの母に押し負けて、渋々ノアナ王国に来てみたが、その時の女の子に、クリスタル様は似ているんだ…………。」
「もしかして兄上、その女の子に」
「ああ。イオ殿の話を聞いて確信した、僕の初恋だ……。あのあとずっと彼女のことが気になっていたんだ」
「兄上、その女の子に渡したハンカチは、エバンズ伯爵家の家紋と、Nのアルファベットが刺繍された、青いハンカチではないですか?」
「イオ殿、どうしてそれを?」
「さっき見たんです、クリスタル様が持ていましたよ……大事そうに」
僕は、思わず立ち上がる。
「それは、本当ですか!」
「はい。見間違えは無いかと」
「今すぐ、イオ殿の部屋に、お邪魔してもいいだろうか」
「もちろん。 行きましょうか!兄上!」
イオ殿がゆっくり立ちあがり、僕の肩を叩いた。
部屋を出て、廊下を進むと、リノアとクリスタル様の楽しそうな、笑い声が聞こえる。
僕の心臓は締め付けられ、潰れてしまいそうになりながら、一歩一歩足を進めた。
思った以上に長くなり、②へ続きます。
(^_^)v




