まさかの初恋 ②
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ん?
私は、落ち込むクリス様の手を握る。
「お兄様もクリス様を気に入ったかもしれませんわ」
私の言葉に、クリス様は眼をパチクリさせ、イオは私をさらに引き寄せ、耳元で囁く。
「どうしてだ?」
もう。なんで、耳元で囁く必要があるの!
イオを一度にらみつけ、クリス様に目線を戻す。
「ノア兄さまは昔から、好きなものにそっけない態度をとるのです、小さな頃に飼っていた、コーギーのポポなんて、お兄様は大好きでポポを抱きしめたいのに、意地悪したり、それにそれに~私とも、一時期ずーと、眼を合わせてくれなかったんですよ」
「やそれは、好きとかどうとかじゃなく」
イオが困ったように話し出す。
「えーだって、お母様が好きなものには、男子はそういう態度になるって、言ってたわ」
イオが声を出して笑う。
「はははっはは。まあ、男子はそんな時期もあるだよ」
むー。なによ!
膨らんだ私の頬をイオが指で潰す。
「ふふ。お二人はとても仲がいいのですね」
「そうでしょ。俺の大切な天使だからね」
イオが、私の手の甲にキスを落とす。
「もう。それよりお兄様に、クリス様はもう10年もお兄様を思っていること、伝えなきゃ!」
私は思いきり立ち上がる。
「そうと決まれば、すぐにお兄様の所に、行きましょう♪」
イオが大きなため息をつく。
「リノア、何も決まってないだろ~。とりあえず俺が兄上に探りを入れてみるから、二人はここで待ってて、アンナ。二人を頼むよ」
「はいイオ様、心得ました」
アンナの返事を聞くと、イオは手を振り部屋を出て行った。
「あー。お兄様も絶対、クリス様が好きだと思うわ私」
「そうでしょうか……私はイオ様とリー様が羨ましいです」
「直ぐにクリス様もラブラブになれるわよ~」
私達はその後、恋の話で大いに盛り上がった。
✿ ✿ ✿
ノア 視点
晩餐会の後、僕は部屋に戻り、チラチラと舞う雪を眺めていた。
「クリスタル様……あの子に似てたな」
僕は、11歳の時に父上と出席した園遊会で、かわいい女の子に出会った。
あの日僕は、園遊会が退屈で、王宮の中庭に降りようと、足早に大人達の間をぬいながら歩いていた。
すうると突然、右足にオレンジジュースが掛かり、驚いて振り向くと、ミルクティー色のふわふわのくせ毛に、水色の瞳がウルウルと揺れる、かわいい女の子が、空になったグラスを握りしめて立っていた。
「こ ごめんなさい…………躓いてしまって…。」
消え入りそうなかわいらしい声で、女の子僕には謝る。
「ドレスにもかかってしまったね」
三人のおてんばな、妹たちを思い出し、僕はハンカチを取り出して、女の子のドレスの裾を拭く。
「あの あなたの服、汚してしまってごめんなさい」
「僕は男子だ。このくらいの汚れ、気にしなくていいよ」
ハンカチを、ポケットに戻そうとすると、女の子はハンカチごと僕の手を握る。
かわいらしい両手に、思わず頬が熱くなる。
「あの、洗濯をしてお返ししたいので、このハンカチをお預かりしてもいいですか?」
弱弱しいと感じていたが、僕を見上げる水色の瞳の奥に、芯の強さが見える。
「いや、返してもらわなくてもいいよ」
僕は急に恥ずかしくなって、女の子から眼をそらす。
そして彼女から逃げる様にして離れた。
そのあとは、女の子が気になるけれど、素直になれなくて、父上にも相談できなくて、いろんなものに八つ当たりしたり……今思えば、僕の初恋だったのかも。
「そう言えば……リノアの眼も同じ芯の強さがあって、ちゃんと眼を合わせられない時期があったな…………。」
「リノアは誰と似てるんです?兄上様」
「わぁー。驚かさないでくれよ、イオ殿か…………。」
「ちゃんとノックして入ってきたんですよ」
「ああすまない、考え事をしていたんだ」
(≧▽≦)




