まさかの初恋 ①
読んでいただきありがとうございます。
円満に晩餐会は終わり、私達はそおれぞれ客室に戻ってきた。
少しすると、小さなノック音が聞こえた。
「あの、クリスタルです」
私はドアを開けて、クリスタル様を招き入れる。
「夜分にお邪魔してすみません」
「大丈夫ですよ、クリスタル様は、私と同じ年だと聞いて、仲良くしたいと思っていたのです」
「本当ですか!嬉しいです」
クリスタル様は私の手を掴み、ぶんぶんとふる。
「クリスタル様、こちらにお茶を準備しますのでどうぞ」
アンナが、ローテーブルにお茶を準備し、ソファーに掛ける様に促す。
「はあ。ありがとうございます、嬉しくて、ついはしゃぎすぎてしまいました」
ソファーに移動すると、どうしてか私はイオと、クリスタル様に挟まれる。
「…………。クリスタル様、イオも一緒に聞いていいお話ですか?」
「えーと……。」
近距離で、クリスタル様に見上げられる、ウルウルした瞳が可愛すぎる。
「あのあの。恥ずかしいのですけれど、聞いていただいていても大丈夫です」
「良かった。じゃあ一緒に聞くね」
そう言ってイオが私の腰を抱き寄せる。
もう。ぷくりと頬を膨らめて、イオを見上げたが……逆効果。
しっかりと私の腰に、イオの両腕が巻き付いた。
「えっと、こんな体制でごめんなさい、クリスタル様のお話を、聞いてもいいですか?」
「はい。あの私の名前、長くて呼びにくいですよね、友達のしるしにクリスと呼んでください。そしてそして私は、リー様と呼んでもいいですか?」
「はい。もちろんです。クリス様」
クリス様は、バラがつぼみを開くみたいにほほ笑んだ。
か かわいい。
「あの私。8歳の時に、両親とコアナ王国の園遊会に、出たことがあるんです」
「そうなのですね」
「そこで、ノア様をお見掛けしまして……。」
「お兄様を?」
確かにお兄様が、10歳を過ぎた頃から、お父様は社交を学ばせるためだと、昼間に開催されるパーティーに、よくノア兄様を連れて出かけて行った。
「あの、サラサラなシルバーの髪と、紫色の瞳。ノアナ王国はブラウンの髪ばかりですから、ついつい見惚れてしまって」
も もしかして、クリス様はノア兄様のことを……!
「どうしてもノア様に話しかけたくて、近づいたら私、躓いて持っていたオレンジジュースを、ノア様に掛けてしまってし……。なのにノア様は自分のハーフパンツの裾と、靴下がしっかりオレンジジュースで汚れてしまったのを気にもせず、ポケットからハンカチを取り出して、私のドレスの裾に、少しだけかかった、ジュースを拭いてくれたのです」
ノア兄さま素敵。
「その時のスマートな動きと、優しい言葉!私は直ぐに、心を奪われました」
んー恋する乙女の顔と早口。
「その時のハンカチが、これです」
クリス様が差し出した、青いハンカチには、エバンス伯爵の家門とNの文字。
「これは、お母様の刺繍ですね」
「そうなのです!その時は何処の誰かっもわからず、繋がりが欲しくてハンカチを譲っていただいたのです。直ぐにお父様とお母様に相談して、コアナ王国のエバンズ伯爵家嫡男、ノア様だと言うことは分かりましたが……婚約したいと懇願する私を、お父様はまだ8歳の子供だと笑い飛ばし、まったく話を聞いてくれませんでした」
んー。そうでしょうね、あの頃は事業がようやく軌道に乗り始めたところで、伯爵家はさほど裕福でもなかったし。王家から嫁がせる先に、家が選ばれるはずがない。
「その後も、ずっとノア様と婚約したいとお願いしていたのですが、まったく相手にされず……最近になり、妹が二人産まれて王女が三人になったことで、私は自由にしてもいいと言われ婚姻の申し込みをエバンス伯爵家に打診したのと、お二人の婚姻と加護の発表は、同時くらいでした」
「あー。タイミングが悪かったな」
イオがガシガシと頭を掻く。
「そうなんです、まるでお二人の加護を、欲するようなタイミングに、なってしまい」
クリス様が肩を落とす。
「今回、ノア兄様とは、話が出来た?」
「晩餐の時に、少しだけ……でもあまり私のことを、見て下さらなくて、目を合わせていただけないのです」
ん?
(#^^#)




