国境沿いの宿
読んでいただきありがとうございます。
私達は一日かけて、コアナ王国と、ノアナ王国の国境沿いにある宿にたどり着いた。
「夕方になると、少し冷えるわね」
私はイオに少し身を寄せる。
「ああ、宿の中なのに少し寒いな」
イオは自分の上着を脱いで、私の肩にかける。
上着から暖かさがじんわり広がり、イオの香水の匂い。
「あったかい。でもイオは寒くないの?」
「俺はリノアを抱きしめるから大丈夫」
イオが、私をぎゅっと抱きしめる。
「はいはい、イオ様、今薪を足しますからね」
アンナがあきれたように暖炉の薪を追加する。
「しかし、まだリノア様のことを、あの第二王子はあきらめきれていない様子でしたね」
モーガンが腕組みをし、低い声で話す。
「ああ。食事が部屋に、運ばれてくる宿で良かったよ、食事を一緒にするのは厄介だ」
皆が大きく肯く。
私とイオの部屋は、リビングのようなお部屋を挟んで、モーガンとアンナの部屋とつながっている。
食事は、リビングに運ばれてきて、4人で食べた。
まだコアナ王国なのに、国境沿いのためか、今まで食べたことのない、しっかりと煮込まれた肉料理が出てきてとても美味しかった。
「あの肉と野菜が煮込まれた、お料理は美味しかったね」
「ああ。肉が柔らかくてとろとろだったな」
アンナがホットミルクを私の前に置く。
「温まりますよ。肉料理のレシピは聞いておきましょう、公爵家に戻ったら、作ってみるのもいいですね」
私はホットミルクをフーフーしながらコクリと飲んだ。
そう言えば、このところアンナは果実水やミルク、ハーブティーを準備してくれる。
コンコン!
少しのんびりしていると、ドアがノックされた。
モーガンが対応に向かう。
ドアを開けると、ルーカス殿下が茶色の瓶を手に持ち立っている。
「イオ殿、リノア嬢、お祝いのお酒を持ってきたのだが、一緒に飲まないか?」
「…………。」
「リノア嬢も成人したから、お酒を飲んでみてもいいと思ってね」
なんだか、ルーカス殿下は得意満面の笑み。
「ルーカス殿下、私は先日バーンズ公爵家で、両親達とお酒を飲んだのですが、私には合わないようで…………もうお酒は飲まないと決めたのです、せっかくお誘いいただいたのにすみません」
「やあ、お酒は徐々に飲めるようになっていくものだよ、大丈夫」
モーガンが一歩も引かず、ドアの前に立っているため、すき間から覗くように、ルーカス様が訴える。
すると、廊下からガチャリとドアが開く音がした。
「やー。いいお酒があるのかい?ルーカス殿下」
真向いの部屋にいるアルロ殿下が、声を聞きつけ出てきてくれた。
「そうなんです、アルロ殿下、コアナ王国で一番いい酒です。みんなでどうです?」
「それなら私の部屋に、干し肉がある、あれはつまみにちょうどいい、さあこちらに」
「私もご一緒します」
そう言ってモーガンが廊下に出て、ドアを閉める。
「…………大丈夫かしら」
「大丈夫大丈夫!モーガンは酒に強いんだ」
イオが楽しそうに笑う。
「はい、私もモーガンが、お酒に酔った姿を一度も見たことがありません、どんなに飲んでも全く変わらないのです、なんだかお酒を出すのがもったいないくらいに」
アンナがクスクスと笑う。
「そうなの、モーガンはそんなにお酒に強いのね」
「ちなみにアルロも相当強いぞ」
「あら。じゃあ心配なのはルーカス殿下ね」
「そうだな、どのくらい飲めるか知らないが、あの二人にはかなわないだろうな」
「さあ、あきらめの悪い、ルーカス殿下は置いておいて、明日も馬車での移動です、お二人は早くお休みください」
アンナに促され、私とイオは寝室に戻る。
疲れていいたのか、私達は直ぐに眠りについた。
(-_-)zzz




