エバンズ伯爵家
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馬車の旅は順調に進み、二日目の夕方にはエバンズ伯爵家に到着した。
今日は伯爵家に泊る予定だ。
「御父上、今日はお世話になります」
父と母の出迎えに、イオが挨拶する。
「馬車での旅、お疲れ様です。アルロ殿下に置かれましては、このような屋敷での滞在、ご不便をおかけするかとおみますが、精一杯のおもてなしを準備しておりますので、ご容赦ください」
「エバンス伯爵、お気遣いなく、リノア夫人のご実家に来るのを、楽しみにしておりました」
お父様の挨拶に殿下が答える。
「まあまあ。アルロ殿下、特に面白いところなどないのですよ」
わあ。お母様がご機嫌で怖い。
「いやいや是非、リノア夫人の実験室を見せてもらいたくて」
「まあ!半壊しているあの小屋を?」
私は驚いてイオを見上げる。
「やだイオ!アルロ殿下に作業部屋の話をしたの?」
お父様が豪快に笑い声をあげる。
「はははは、今更だろリノア、殿下のご所望だ!案内して差し上げなさい。そのあとはゆっくり旅の疲れを癒していただき、食事としましょう」
父がみんなを屋敷の中に招く。
✿ ✿ ✿
私はイオと一緒に、殿下を作業部屋に案内する。
「アルロ殿下、お恥ずかしいのですが、こちらが、私の使っていた作業部屋です」
裏庭の奥にある作業部屋は、私が留守にして使われていない為か、前よりも蔦が生い茂っている。
「凄いな、本当に壁が一面ないね」
殿下が口を押え笑いをこらえているのか、肩が小刻みに揺れる。
「はは、掃除機魔道具の試作でぶち抜いたんだっけ?」
イオが私をからかう様に話す。
「もう、イオ!魔道具作りは失敗も付きものなの!」
「リノア夫人は魔道作りが好きなんだね」
「はい、学院に通っている頃は楽しくて楽しくて、ほとんど、魔道作り担当教授の部屋に、入り浸っていました」
「リノア!その教授は男性か?」
「そうだけど」
イオが私の両手を掴む。
「はっはははは!もう我慢できない、イオはほんとに嫉妬深いね、学生時代の教授にまで、嫉妬するなんて」
殿下がお腹を抱えて笑っている。
「みなさ~ん。お風呂の準備が整いましたので、是非お入りください」
ミラが屋敷から手を振り、呼んでいる。
「さあさあ、二人とも屋敷の中へ」
私はなんだか恥ずかしくて、二人を急かし足早に作業部屋を後にした。
✿ ✿ ✿
そのあとは旅の疲れを洗い流し、ノア兄さまとお姉さま達もそろってみんなで夕食。
「まあまあアルロ殿下、こちらの席にどうぞ」
母上はちゃっかり、アルロ殿下をマナお姉さまの隣に誘導した。
アルロ殿下には、心に決めた方がいらっしゃるのに。
ルアナ王国のもう一つの公爵家である、プレスコット公爵令嬢ビアンカ様だ。
一度お会いしたけれど、ものすごく清楚で、可憐な方。
もう。お母様は遠慮なく、マナ姉さまをアルロ殿下にゴリゴリと勧めている。
殿下もやや困り顔だ。
「もう。お母様!」
私がお母さまをいさめようとすると、イオが声を上げた。
「それにしても、エバンズ伯爵家のミートパイは、何度食べても美味しいですね」
「まあ!さすがイオ様、よくわかってらっしゃる。そのパイは私が焼いたんですのよ~」
お母さまは、自分のパイを褒められ、話題ががらりと変わる。
イオが私にパチンとウインクをした。
さすが私の旦那様。
そのあとは楽しく夕食の時間を過ごすことが出来た。
(*^-^*)




