ついに完成
読んでいただきありがとうございます。
次の日の朝、ロッドさんが完成したストールとマントを持ってきてくれた。
「どちらも素晴らしいわ、繊細な柄……腕のいい職人さんがいるのね」
「どちらも兄の手掛けたものですよ」
アンナが照れるロッドさんの横で穏やかにほほ笑む。
「ロッドさんすごい!」
褒めるとロッドさんは顔を真っ赤にして微笑んだ。ほほ笑んだ顔は良く見るとアンナに似ている。
「あとこれは私達からお二人への婚姻のお祝いです本当はお披露目が済んだら渡そうと思っていたのですが」
ロッドさんからイオに大きな包みが渡された。
「ありがとう。開けてみてもいいか?」
「わあ。大きい」
イオと私で端を持って広げるとかなりの大きさの織物。
「ベッドスプレッドです。お渡しはしましたが、私が大切な日に整えますからね」
スプレッドはクローバーとテントウ虫の柄が織り込まれている。
「こんな大きなサイズ、大変だったんじゃないですか?」
「お二人のためですから」
ロッドさんはニコニコしながら頭を掻いた。
「これはなんだ?」
少し小さめの包みも一緒に出て来た、開けると膝に掛けるのにちょうどいいサイズ。
「バーンズ公爵家の守護であるフェニックスの羽をイメージしました」
「お二人は魔道具を作り始めると、あの涼しい作業場で夢中になりますからね、体が冷えてしまいます」
イオのひざ掛けは青がベースで、いろんな色の羽が一面に織り込まれ、私のひざ掛けはピンクと紫がベースで同じ柄。
「なんだか、ふわふわの触り心地であたたかい」
「特殊な製法で織り込んでいます」
「二人ともありがとう」
私とイオは二人に頭を下げる。
「頭をお上げください、ほんの気持ちですから、それとこれも使ってください」
ロッドさんが端切れを何枚か私に差し出す。
「魔道具の調整の際に使えるかと思いまして持ってきました」
「ありがとう♪」
私達はさっそく魔道具の最終調整に取り掛かる。
✿ ✿ ✿
昼過ぎには注文した宝石も届き、イオと2人で作業を進めて何とか形になった。
「さあ。使用試験してみましょう」
「ここでするのか?二階の広い部屋にした方がいいんじゃないか?」
私は作業場を見回す……。
「確かにここは危ないわね……。」
エバンス伯爵家の壁のない作業場を思い出す。
「二階の広間で試しましょう」
ロッドさんに貰った端切れを使い、スカーレット様に渡すストールに見たたててお試ししてみる。
部屋の中心にドレスフォームを置いて、試作品を掛ける。
「よし、イオ 試すよ」
「リノアがボタン押すのでいいのか?俺がやろうか?」
「大丈夫、失敗すると少し離れたところの方が危険だと思うから、イオは壁の向こうに居て」
「おう。無理するなよ」
イオが壁に隠れぴょこりと顔を出すのを確認してから、私は温風のスイッチを押した。
ボンッ!一気に温かな風が流れてストールは大きく広がってふわふわと温風に吹かれてなびいている。
「わあ。風魔法が強いな~」
「リノア大丈夫か?怪我は無いか?」
イオが走り寄り私の顔を両手で挟む。
「ん~大丈夫。暖かさは丁度いい感じだから、風の量だけ調整するね」
私達はハリル殿下のマントも含めて何度も調整を繰り返し、漸くプレゼントの魔道具が完成した。
「うーん。なんて名前が良いかな」
「快適くん」
「ふふ。かわいいね」
「じゃあこっちは快適ちゃん」
「俺達単純だな……。」
私達は声を出して笑った。
(>_<)




