西へ
読んでいただきありがとうございます。
ハリル殿下とスカーレット様の婚姻式の一週間前に私とイオはウルーゾ王国に到着した。
王宮はほかの国より開けた感じで周りを広い砂漠が囲んでいるためか外壁もなく、デーツパームの木が周囲を取り囲み大きな湧き水でできた泉の畔に王宮があり、その外側に街が広がっている。
王宮の入り口に入ると直ぐにスカーレット様が抱き着いてきた。
「やー。待っていたのよリノア~。久しぶり!会えてうれしいわ」
スカーレット様は環境に慣れるため婚姻の半年前にはウルーゾ王国に入り暮らしている。
「スカーレット!リノアから離れろ!」
イオが私からスカーレット様を引きはがそうとするが、スカーレット様が着ているウルーゾ王国の正装は露出が多く、イオは触れることができない。
「バーンズ公爵令息殿、どうか多めに見てやってくれ、この国にはスカーレットが心を許せる友人が少ない、リノア殿に会うことをずっと楽しみに待っていたんだ」
「ハリル殿下。この度は婚姻おめでとうございます、そしてお招きいただき大変光栄です」
イオがハリス殿下に礼を取ると同時に私も礼を取る、隣で私の肩を抱くスカーレット様が私の耳元でささやいた。
「ハリルは、この国で一番まともで優しい人よ」
ん?一番まとも?
「ハリル、久しぶりにリノアと女子会してもいいかしら♪私がイオとリノアの婚姻式に出られなかった謝罪も受けないといけないし」
スカーレット様の満面の笑み怖すぎる!
「ハリル殿下、スカーレット様……あのイオと私から心ばかりのお祝いの品があるのですが」
モーガンがプレゼントを持って前に出てイオが受け取りハリル殿下に向く。
「お二人が快適に過ごせるように、リノアと2人で作りました、使っていただけると嬉しいです」
「なになにリノアの魔道具?」
スカーレット様は私と腕を組んだまま引きずる様にプレゼントに近づき覗き込む。
「開けさせていただいていいだろうか?」
「「もちろんです」」
イオと私の返事が重なる。
「相変わらず仲良しね」
スカーレット様がほほ笑む中、ハリル殿下が包みを開ける。
「美しい織物だ、これは私のマントですか?」
「これは私のストールね♪」
みんなで準備した贈り物だ、着けてもらえると嬉しい。
「ウルーゾ王国では魔道具は流通していないんだ、これはどのように使うものだろうか?」
「これはリノアと2人でウルーゾ王国の環境や文化に合わせて作ったオリジナルの魔道具です。ハリル殿下には、ウルーゾ王国のマントに昼と夜の気温差を調整でいる機能をつけました。スカーレット様のストールも同様の機能です」
「ほう。普通にマントとして着けるのだな」
ハリル殿下がマントを着ける。
この色合いは我が国とスカーレットを連想させる、そして肌触りがとてもいいな。
「ハリル殿下、胸元を失礼します、この留め具が魔道具で、暑い時にはこのアクアマリンのボタンを押すと冷風が、琥珀のボタンを押すと温風がマントにながれて、快適に過ごせる仕組みです」
「なんど、今は気温が高いからアクアマリンだな」
ハリル殿下がアクアマリンのボタンを押すと、ふわりとマントが揺れる。
「おおこれは涼しい、日中の炎天下も快適に過ごせそうだ」
「えぇ~私も早く試したい、リノア私のボタンは何処なの?」
「このブラックサファイアが冷風のボタンで、ペリドットが温風です」
私の説明を聞き終わる前にスカーレット様はボタンを押した。
「すごい涼しい。温風はどうかしら! わあ。暖かい。そしてデザインも素敵ね~これはデーツの実ね」
「イオがデザイン画を描いてくれたんです」
「イオがそんなことできるなんて知らなかったわ」
ハリル殿下が私達に向き直る。
「二人とも素敵な品をありがとう、これは今後魔道具の使用をウルーゾ王国に広げるチャンスかもしれない、この国はなかなか新しいものを受け入れるのに一苦労する国でね」
「その際は、ルアナ王国のバーンズ公爵家が全力でお力添えします」
(*^-^*)




