ロン男爵の娘
読んでいただきありがとうございます。
「おねーちゃん」
しがみつく二人の肩を守る様に女の子が抱きしめる。
私は三人の前にしゃがみ込んで声をかけた。
「こんにちは。私はリノアと言います、お腹すいてない?」
私はポシェットからドーナツを三個取り出した。
「お嬢。なんでドーナツなんか持ってるだよ」
テオールがあきれ顔で頭を掻く。
三人はドーナツを見つめて唾をのんだ。
「くれるの?」
小さな女の子が手を伸ばす。
「うん。いっぱいあるからどうぞ」
ポシェットからサンドイッチのバスケットも出す。
「わあ。お姉ちゃんありがとう」
小さな女の子は私に抱きついてお礼を言ってからサンドイッチをパクリと頬張る。
「美味しい」
「僕も、僕も食べていい?」
「もちろんどうぞ」
「ありがとう」
男の子は頭を下げて食べ始める。
「あなたもどうぞ、私たくさん持ってるからおすそ分けよ」
私はもう一つバスケットを出した。
女の子がようやく笑顔になる。
「すごい。お姉さんは何者なの?ふたりにご飯をくれてありがとう、そしてさっきはごめんなさい」
「いいのよ。お腹いっぱい食べたらお名前と困ってることを教えてくれる?私で助けられることがあれば力になるよ」
女の子はこくりと頷いてサンドイッチを食べ始めた。
「まだまだ甘いものもあるし、冷たいのも物もあるよ~」
次々とポシェットから食べるものを取り出す私に三人とも声を出して笑った。さながら道端でピクニックしてるみたいだ。
「リノア!どうしたんだ?」
部屋に来ない私を心配してイオが飛んでくる。
「今ねお友達になったの、お腹がすいてるからお茶にしてるのよ」
✿ ✿ ✿
落ち着いてところで、三人をホテルの部屋に招待して話を聞いた。
「私はイルーゾ王国 ロン男爵の娘 エミリーと言います。13歳です。
この子はヒューゴ、7歳 こっちの子はポピー 5歳です」
「お前達貴族なのかよ」
「テオール」
乱暴な言葉のテオールをたしなめる。
「親御さんはどうしたの?」
「お父様の借金で首が回らなくなっていたみたいで、10日前に金目の物全部持って二人でいなくなった。使用人は少し前から少しずつ少なくなって最後に残った私の乳母が少しだけお金を置いて行ってくれたけど……一日分のご飯を買ったらなくなってしまって、男爵家に残っていた食材も3日前にはなくなってしまって……」
私はそっとエミリーを抱きしめて背中をさする。
「頑張ったね……さっきみたいなことは初めて?」
エミリーはこくりと頷いた。
「じゃあ。大丈夫!これからのこと相談しよう」
私はさらに手を広げ、ヒューゴとポピーも抱きしめる。
「イオ、モーガン、アンナ。力を貸して」
「おい。俺も力になるぞ」
テオールはどうも三人がすごく気になるみたい。
アンナがパチンと手を叩いた。
「それでは、まずはみんなをきれいにしたいと思います。
さあ。三人ともついてきて」
アンナが三人を連れて出ていく。
「それにしても酷い親ですね、それにイルーゾ王国は子供の保護制度は無いんですかね」
モーガンがイライラした様子で話し出す。
「イルーゾ王国のシエナ侯爵家はバーンズ公爵家の遠縁なんだ、少し事情を聴いてみよう。子供を疑いたくないがロン男爵家の子供かどうかの確認も必要だ」
「あいつらこれからどうするんだ、見捨てたりしないでくれよ」
テオールがモーガンの服を掴み懇願している。
「どうしてあげることがいいのか、みんなでいい道を考えましょう」
(>_<)




