ルノアでの準備 ②
読んでいただきありがとうございます。
ルアナ王国の国王陛下は、セルお父様の実兄にあたる。
先々代のバーンズ公爵が子宝に恵まれず、セルお父様は降下し公爵家を継いだのだ。
こんな大切な事、さっき聞いた!
王宮に向かう馬車の中で、緊張して言葉数が減る私をイオが心配する。
「大丈夫、ルリッド侯爵と同じ叔父様だよ、緊張しなくていいよ」
「もー。イオは叔父様かもしれないけど、私は初対面のただの伯爵令嬢なんだからね!」
というか……。イオはもしかして王位継承権があるのでは?
イオが眉間にしわを寄せた私の顔を覗き込む。
「なんか難しい事考えているでしょ」
「もしかしてイオは王位継承権があるの?」
「ははは。あると言えばあるけど、現ルアナ国王陛下は子沢山でね、第一王子を筆頭に3人の王子と2人の王女がいる、だから僕の順番は6位。まず回ってくることはないだろうね」
はーよかった。
急にニコニコした私の肩をイオが抱く。
「父上も言っていたけど、リノアがこの国で、伸び伸び生きていける様に俺も頑張るよ、そしてたくさんお出かけもしよう」
「うん。私ね、まだまだ行ってみたい場所が沢山あるの」
そんな話をしているうちに馬車は王宮に到着した。
騎士様に案内され中庭に面したサロンに足を踏み入れる。
サロンにはすでに国王陛下夫妻と第一王子殿下のアルロ様、そして第二王女のスカーレット様が待っていた。アルロ様は25歳、スカーレット様は19歳ですでに西のウルーゾ王国の王太子殿下との婚姻が決っている。
「やあよく来たね。二人とも会えるのを楽しみにしていたよ」
やさしい笑顔で、国王陛下が出迎えてくれる。
「今日はお招きいただきありがとうございます。お眼にかかれて光栄です」
「まあ。イオもちゃんとした挨拶ができるのね」
王妃様がクスクスと可愛く笑う。
「もちろん挨拶くらいできますよ!王妃様。
本日は私の婚約者を紹介に参りました、10日後の婚約式にも参加いただけるとのこと幸甚に存じます」
イオに続き、私もカーテシーで挨拶をする。
「ルアナ王国の栄光ある国王陛下並びに王妃殿下。王太子殿下。王女殿下にお眼にかかれること光栄に存じます。
このたびご縁がありましてイオ様と婚約の運びとなりました、コアナ王国エバンス伯爵家が娘、リノアと申します」
「二人とも頭を上げなさい。今日はそんな堅苦しい会ではないのだから」
「そうよ。リノアちゃんと呼んでもいいかしら、私もコアナ王国の伯爵家の出なのよ、娘盛りの頃にね私グレース様の大ファンで、グレース様がバーンズ公爵と婚姻したことをしりどうしても私もルアナ王国に嫁ぎたくて、こちらの知り合いについて沢山夜会に参加して陛下に出会ったのよ~。
グレースさまの娘なら私の娘も同然よ、何かあったら頼って頂戴ね」
王妃殿下はとても朗らかでやさしい方だ。
「今のクレアも素敵だが、出会った頃は光り輝いていたからね~」
そして陛下と仲良し。
「お父様!お母様!もういい年をして惚気ないでくださいまし」
スカーレット様が話に加わる。
「リノアちゃん。こんな愛想のないイオで本当にいいの?
私ね兄三人に姉一人、姉は既にビクトル公爵家に嫁いでしまったし、ずっと妹が欲しかったの♪
来年にはウルーゾ王国に嫁ぐ予定だけど、わたしと一緒に行かない?」
「おい!スカーレットなに言ってるんだよ、リノアは俺の婚約者だぞ」
「おや」
「まあまあ」
「はっははは。こんなイオを始めてみたよ」
今まで話を聞いていた、アルロ様がお腹を抱えて笑っている。
「ほんとね。女性と……。いや!他人と眼を合わせる事のないイオが溺愛する婚約者ができたと聞いたけど、本当だったのね」
スカーレット様が私をまじまじと見つめる。
「イオのどこがいいの?」
「とっても優しいし、頼もしいですなにより一緒にいて楽しです」
私が笑顔で答えると、スカーレット様は大きく目を見開いた。
「えー。イオのこと、優しいなんて言ってくれるの、リノアちゃんだけだよ~きっと。
さらに楽しいって♪ で、どこでで出会ったの?」
スカーレット様の問いに応えようとするとイオが「俺が話す」と割って入り、私との出会いを滔々と語り始めた。
王家の皆様はにこやかにイオの話を聞いているが……。私は恥ずかしくて心臓が潰れそうだった。
でもなんだか暖かい。
こうして緊張して臨んだ王家への挨拶は楽しく穏やかな時間となった。
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