ツリーハウスと嫉妬心②
読んでいただきありがとうございます。
「完成!」
修理は直ぐにできたけど、リックの背中にフェニックスの簡単な刺繍を入れたら少し時間がかかっちゃった。イオ遅いな~迎えに行こう。
私は階段を急いで駆け下りる。
「きゃー。いい匂い。 キスしちゃおー」
女性の声に眼を向けると、イオが女性と抱き合いキスしてた。
さっきなんか慌ててたのは女性もいたから?
私みたいなおこちゃまは嫌になった?
イオと目が合う。
私はどうしていいかわからずにホテルを飛び出した。
後ろでイオの呼ぶ声がする。
なんだか嫌だ!どうしていいかわからないけど嫌だ!
「クワ-」「クワ-」
アルトとラノが鳴いている。
イオが私に追いつき腕を掴む。
「触らないで!」
イオが私の声にひるんで手を離した。
私は風魔法の風力でぐっとイオを押して距離を取る。
後ろによろめいたイオの肩をアルトとラノが掴んでそのまま飛んでいき、だいぶ先にある川に落とすのが見えた。
凄いスピードでアルトとラノが戻ってきた。
「私、イオに嫌われたみたい」
二頭をぎゅっと抱きしめて私は町を出た。
少し道を外れた大きな木の枝に、ポシェットからツリーハウスを取り出して投げる。
ツリーハウスは枝にぶつかり膨らんだ。
私はその中に入って膝を抱いて丸くなる。
「私だってイオにキスしたこと無いのに!イオのバカバカバカ」
胸が焼けるような感じがした。
アルトが私の頬をぺろりと舐める。
反対の頬をラノが舐める。
私はいつの間にか泣いていたんだ。
やりきれない気持ちを抱えて、ポシェットから毛布を出して二頭とくるまる。
当分誰にも会いたくない……。
私はいつの間にか眠りについていた。
その頃ツリーハウスの下にはテオールとモーガン、そしてずぶ濡れのイオがツリーハウスを見上げている。
「あーこれ久しぶりに見ました。
俺が伯爵家に来たた頃だから、4年くらい前かなぁ。
お嬢様が小さいころから飼っていたコーギー犬のポポがなくなって、ボロボロ泣きながらこのツリーハウスに入って……あの時は10日間くらい出てきませんでしたね」
「この大きな花のつぼみみたいなツリーハウスに10日間も?」
「お嬢様いわく、ポシェットと一緒で広くて快適なんだとか……」
「長期戦になりそうですね、私が離れても大丈夫でしょうか?まずは公爵家に早馬を」
「モーガン様、俺が行けます。実家の男爵家は馬の育成牧場をしていて馬の扱いは得意です」
「では、これを持って行け、バーンズ公爵家はルアナ王国の王都に入ってバーンズ通りを見つければ直ぐにわかる」
モーガンはテオールに、紋章の入った短剣を差し出す。
「よし、行ってきます」
イオは力なく大きなつぼみ型のツリーハウスを見上げて、木の根元に腰を下ろした。
✿ ✿ ✿
どれくらい寝ていたのか……ツリーハウスの中で目覚めると、胸が焼けるような気持ちは落ち着いたが、なんだかイライラする。
「アルト、ラノ。どれくらい時間が経ったのかしら。お腹すかない?」
ポシェットからサンドイッチを出してみんなでほおばる。
お腹がいっぱいになったら、なんだかイライラも無くなって逃げた自分が恥ずかしくなってきた。
「どんな顔してイオに会えばいいの……。」
んー。こんな時は気晴らしよ、私はポシェットからトランプを出した。
「ジャジャーン。簡単なものならアルトとラノもできるかな?ドラゴンはおりこうさんだものね」
ババ抜きを教えてあげると二頭はさらりと覚え、器用に札も扱える。
「すごいね、今度他の遊びも教えてあげる」
ババ抜きで盛り上がっていると、下からテオールの声がする。
「お嬢様―。いつまでひきこもっているんです?早く出てこないとイオ様が干乾びちゃいますよ~」
ん?イオ様が干乾びる?
ツリーハウスの花びらをかき分けて外を覗くと、木の下にモーガンとテオール。
その足元に木に寄りかかり座るイオがいた。
「イオ様もう三日三晩何も口にせずここに座ってるんですよ~。お嬢様が出てくるまでこのままみたいですよ~」
!!なんと。
私は慌ててツリーハウスから飛び降りた。
イオに駆け寄るとイオは眼を閉じたまま動かない。
「イオ。イオ!」
呼びながら体をゆすると、イオがうっすら眼を開ける。
「リノア……。」
私はポシェットから冷えた水を取り出しイオの口に当てる。
イオはごくりと水を飲み大きく目を開けた。
「リノアごめん。本当にごめん」
イオが私を抱きしめる。
モーガンが二人でしっかり話す様にと言い残し、テオールと去っていく。
「イオ」
イオの腕に力が入る。
「リノアごめん。俺、恋人ができるなんて初めてで、リノアにかっこいいと思ってほしくて、年上なのに余裕なんてなくて。
どうっしたらいいかわからなくてあの日、モーガンに相談してたんだ、そしたら酔っ払いに絡まれて、抱きつかれたけどキスなんてしてないからね!そういうことしたいのはリノアだけだから!
でもリノアを悲しませた……。ごめん」
私はイオから体を離し、イオの眼を覗き込む。
「私、イオがすごく好きみたい。女性に抱きつかれているイオを見て、胸が痛くて焼けるみたいにジンジンした。こんな気持ち初めてでどうしていいかわからなくて……。」
私は思い切ってイオのほっぺにキスをした。
イオは驚いて頬に触れている。
「女性にキスされたの初めて?」
イオがコクコクと大きく肯く。
「リノアがいないとダメなんだ。愛してる!」
そして私達は初めての口づけを交わした。
心が焼けたり痛んだ時はいっぱい寝てもりもり食べる(*^-^*)




