ツリーハウスと嫉妬心①
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私達はルリッド侯爵様への挨拶をして、ルアナ王国へ戻ることになった。
「イオ。リノア。もう戻るのか 寂しいな」
「はい。叔父様、サーシャ様。暇の挨拶に参りました」
「本当に寂しいわ。リノアちゃんともせっかく仲良くなれたのに。
そう言えばね。ルーカスだけど、まだリノアちゃんのことあきらめていないみたいよ、この間二人が侯爵家に来てくれた時も、どこで聞きつけたのか同席したいとしつこくて……。
でもまあお兄様のめくらサインもたまには役に立つわね。ふふ。
熱病にかかってるみたいなものでルーカスもこれで少し離れれば落ちつくでしょ」
にこやかに笑うサーシャ様は、現国王の妹君でルリッド侯爵に嫁がれた。
今回のことも国王にかなり厳しく進言されたようだが、昔からの兄妹パワーバランスのようだ。
「来月にはルアナ王国で婚約式だね、その時には私達もお祝いに伺うよ」
「お待ちしております」
「まあまあ結局足を停めさせてしまっているわね。
ごめんなさい、道中気を付けてね。
それとリノアちゃん、これをグレース様に渡してもらってもいいかしら」
緑色の綺麗な封筒を渡される。
「はい。必ず」
「それではこれで失礼します」
2人で挨拶をして侯爵家を後にした。
今回はお目付け役?としてエバンズ伯爵家から従者のテオールがついてきてくれる。
テオールは男爵家の三男でまだ13歳だが、伯爵家に家令の仕事を学びに来ていところ、おてんばな私の追いかけ役に任命されて、私にいつも振り回されている。
いままでテオと愛称で呼んでいたが、イオと似てるから……名前を呼ぶことにした。
公爵家の皆にいっぱいお土産を積んで出発。
いつもの宿場町のホテルを目指す。
テオールはモーガンに懐いて既に兄弟のようだ。
帰路は順調で、予定どうりにホテルに到着。
「お嬢様、俺こんなに遠くまで来たの、初めてですよ」
テオールの顔がキラキラしてる。
「さあ。テオール荷物を運んでくれ、イオ様はリノア様と部屋にあがってください。
湯あみの準備ができているはずです」
モーガンとテオールで荷物を運ぶ。
「リノア行こう」
イオと手をつなぎ3階に上がる。
少し前にモーガンの後について上がったことを思い出す。
短い間にいろんなことがあった。
「横に並ぶイオを見上げる」
「どうしたリノア、疲れた?」
イオは優しい。
こんなに人を好きになるなんて思ってなかった。私はイオの腕にぎゅっと抱きつく。
「イオと一緒で嬉しい」
イオは真っ赤になりながら部屋までエスコートしてくれた。
部屋に着くと、イオが出かけると言い出した。
「夕飯までの間、少しモーガンと下のバーに行ってきてもいいか?」
「いいよ。ご飯の前だし、飲みすぎないでね」
モーガンと飲むなんて珍しい。
私の頭に?が出ていたのか、イオはちょっと話したいことがあるだけだよ!とかなんとか言って足早に出て行く。
一人になった私は、夕飯までの少しの時間にイオの羽リックを直すことにした。
この間遊ぶのに夢中で、木にひっかかり羽が少し曲がってしまっている。
作業の道具はポシェットにあるし、直ぐに治せる。
✿ ✿ ✿
イオ 視点
婚約してからのリノアは素直に気持ちを伝えてくれる。
さっきだってあんな上目遣いで、一緒が嬉しいなんて言われたら……俺の理性は崩壊寸前だった。
俺はもともと、女性が苦手で避けてきたから、好きな女性にどう接していいかわからない。
いい歳なのに情けない。
モーガンは俺より4年上の25歳だが、もう結婚して2歳になる子供もいる。
ちょっとだけ相談に乗ってもらいたいんだ。
俺とモーガンはそんな話をしながらホテルの一階にあるカウンターでビールを飲んでいた。
「イオ様と飲みながらこんな話ができると思っていませんでした。うれしいです」
「からかわないで教えてくれよ」
「リノア様と同じで、素直に話せばいいのではないですか?」
「かっこ悪いと思われたくないんだよ、ルーカス王子殿下にも狙われてるんだぞ……リノアはモテるんだ、あの幼馴染の子爵令息も絶対にリノアが好きだ」
俺がふてくされてカウンターにうつぶせていると、外からにぎやかな集団がホテルに入ってくる。
「相当飲んでそうですよ、引き揚げますか?」
「ああ」返事をして体を起こしたと同時に、集団の女性が一人俺達に絡んできた。
「まー。いい男が二人もいる」
俺とモーガンに倒れこむように抱きついて来る。
「きゃー。いい匂い。 キスしちゃおー」
酔っ払いの女は俺の頬に唇を寄せる。
顔をそらした目線の先に、リノアがリックを持って立っていた。
目が合うとリノアはリックを投げ出し走り出す。
「リノア!待ってくれリノア!」
((+_+))




