ドラゴン憑き + 1
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伯爵家に戻ると、作業場の庭でイオとお父様、ノア兄さまが仁王立ちで待っていた。
お父様は私を見て直ぐに遮蔽と防音の魔法を張る。
「リノア……。お前と言う娘はドラゴンが二頭に増えているじゃないか!」
お父様無茶苦茶怒ってる……。頭から湯気が出ています。
もう怒られることは覚悟しているから努めて明るく!
「この子はラノ。女の子でアルトの双子の妹です、たぶん……。」
にっこり笑う私の返事に、倒れそうになるお父様をノア兄さまが支える。
イオは眉間にしわを寄せて近づいてきたが、ラノが「クワ-」と鳴いて瞳をキラキラさせて見上げると口角が上がる。
「アルトより一回り小さいね」
イオはラノに手を伸ばす。
「はじめましてラノ、俺はリノアの婚約者でイオと申します。よろしくね」
「クワ-」
ラノは返事をするとイオの頭の上に乗りなぜかガシガシと噛みついた。
「わあぁ。ラノまでイオに噛みつかないの」
慌ててラノに手を伸ばすが、ラノはイオの頭に張り付いて離れない。
アルトが小さくなって私の頭に乗る……ん?
イオとしばらく向かい合いお互いドラゴンを頭に乗せた姿を眺めていたら……。
なんだか可笑しくなって、二人ともお腹を抱えて笑った。
その様子を見てお父様が声をかけて来た。
「リノアもなかなかだが、イオくんも凄いな。この子をイオくんに任せて正解だったよ」
「まあ。お父様、一頭も二頭も同じです。何とかなりますよ」
イオが頭からラノを下ろして抱っこする。
アルトも私の腕の中に降りて来た。
「ああ。ドラゴンを二人で抱く姿を見ていると、変わった孫が早めにできたと思って頑張るよ」
お父様はガシガシと頭を掻いている。
「父上、とりあえず明日はどういたしましょう」
「あぁ急に予定の変更もできないし、ドラゴン達はうまく姿を隠せるのだろう?」
アルトとラノがくるりと腕の中で回転すると私にはだいぶ透けて見えているけれど、みんなには見えなくなったようだ。
「あぁ。私にも見えないなら大丈夫だろう、ただ気配と言うか力は感じるな……。」
「もし尋ねられたら、その力は私のものだと話すのはどうでしょう。私は常にリノアのそばに居ますし、アルトとラノが同じようにそばに居れば、私の力だと話しても問題ないかと」
「そうしてもらえると助かるよ。明日はサロンでお茶会だ。
ノアはもちろんルナとマナも参加する。
ルナとマナは第二王子と同じクラスだし騎士団長の息子はノアと同じクラスだったから何とかはぐらかせるだろう。
ルナとマナには詳しい事情は話していないが賢い子たちだ、妹と婚約者の間に横やりが入ることは防いでくれるだろう」
お父様が深いため息をつく。
私にはノア兄さまのほかに双子の姉がいる。私はなぜか父に似てすっきり、がっちり、サバサバした感じだが、姉たちは本当に実の姉妹か疑うくらいに、小さくてかわいらしく可憐だ。
誰に似たのか性格はおっとりしている。
うらやましい……。
「母上がルナとマナの嫁ぎ先を決めると張り切っているから明日は大変だぞ」
ノア兄さまが肩を落とす。
「そう言えばマエルも来るんでしょ。なんだか久しぶりだなぁ。楽しみ」
「マエルって誰?」
イオの声が急に低くなる。
「幼馴染のブラン子爵令息よ、同じ年なの」
「ふ~ん」
なんだかイオの機嫌が悪い。
「イオ。お茶でも飲もうか……。」
「そうだね、どうしてこんなに遅くなったかも聞きたいし寝る前にゆっくりお茶にしようね」
イオがガシリと私の腕を掴む。
「ではお父様、ノア様、私達はこれで」
イオに引きずられるようにサロンに向かう。
うぅ~。イオ目が笑ってないよ。怖いよ。また噛みつかれたりしないよね~。
その後リノアは、イオ様のバックハグのまま、根掘り葉掘り聞かれて、夕食を全部あ~んで食べるの刑に処されました。




