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複数回転生した生きのいい魔王は、今回百合百合しい女学園を作りたいと思っていたとか?  作者: くるま
ものづくりのおはなし

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みかるな

「これはガチで…やったかな」


 大地がめくれ上がり。

 大きな地鳴りが止まずにあたりを震わせる。

 呪霊樹の森は大きな穴が開いたように見えるが、その地を崩壊させて下のものが出る形には見えない。

 トキトが開けた空間に似た、さらに異質なものがそこにある。


 そう、見えた。


「トキトさん、逃げるべきでは、ないでしょうか」


「ちょっと離れたくらいで、これの影響なくなるもん?」


 マホが気遣ってくれているっぽいが、レベル的に、その考えで対応できる気がしない。


「これでは、怒られてしまうのである!!」


 それで済む事態かな?


「毒とか、その、呪いって…本当になんですの…私、死にますの?」


「そう簡単には死なないんじゃないかな、元気そうに見えるし」


 たまに急に弱くなるレイには、それなりにフォローも入れる。


「ま、たぶん何ともならんて」


 あとは、言葉もなく見つめるユウリとカナの頭を適当に撫でてやり。

 呪霊樹の森の何か大きな気配に、トキトが近寄って目を向ける。


「見てるよねえ?もう私は!」


「トキトサマ!!」

「ソレコワイヨ!!」

「タベラレル!」

「モウニホハナレテ!!」


 ヴェルグルがまともなこと言ってるように聞こえる。

 明日は雨だな。

 思いながら、森の上に、すでに、トキトは気配を感じていた。

 大きな爬虫類の顔に見下ろされている。


『王家の血を持つものよ、汝が我を呼ぶ日、待ちわびたり』


「エルフは、そういえば世界を壊すみたいな派手なこと言ってたけど、やるつもりなの?」


 タメ口である。

 他は、あらかた怯えている。


『盟約果たされる事のみがわが望也』


「おとなしく、ここにいてくれるってことでいいのかな?」


『盟約すなわち、始祖種の血を受けた人の血を繋げしものが、我を永遠から解放することなり』


「なにを、ミカルナは…いっているのであるか?」


「自分は殺せない、契約して子孫がミカルナを殺すから眠っていてくれと、古代の人間が言ってしまったのです」


 マホが、用意していたかのように説明する。


「目覚めさせたなら自分を殺せって、なかなかドMなこと言ってるってわけね…」


 やれやれである。

 余計な事に横入りして、絡んでしまった雰囲気がする。


『王家の血のものよ、汝は我が望みの元、我を眠りより覚ました…力は示しうるや、否や』


「…いや、私に言ってるなら、私はそんな御大層な血だの約束だのに縁がない世界の一般人だけど、この中にいるの?」


「と、トキトさま、ミカルナが……言ってることが、あってます」


「マホ、またなんか知らないこと言って私をハメようとか思ってないかあ!?」


『王家の血のものよ、覚悟なくば、我を苦しみの中に解き放った真意を我に示さねばならぬ』


「悪いけど、かみ合ってない情報が多すぎるからちょっと待っててよ!」


『よかろう』


 トキトが、頭が少しチリチリする感覚に緊張する。

 思考と記憶もどうせ読んでるんだろう、と思わせられた。

 こっちの話が整頓しないと先に進まないから、あえて余裕を与えたんだろう。



 そしてこいつも、完全に覚醒しないで強制的な制限していないと、会話しようとするだけで精神や物体を破壊する危険を考えて周囲に相対している。

 周りが怖がるのもわかる、かなりの化け物だ。

 そう、感覚でトキトは確信した。


 筒抜けなら、迷うことも特にはない。


「さて説明ちゃんとしてもらうぞマホう…頭の中確実に読まれてるから、正直に知ってること教えろよお」


「…で、しょうね…」


 マホがつくため息。


「まずですが、どうやら…お渡しした本、読まれてませんでしたね」


「読めなかったんだよ!この世界の文字勉強しないと読めないんだもん!」


「あ、そうでしたか…」


「そうでしたかじゃねえ!あの本お前が写本したのくらいは私だってわかったぞ」


 何度も読もうとはしたのだ。

 最初に書いているのは、図書館の空間をいじる説明書っぽいのは理解しかけていた。

 そして、憑依の方法など、怪しいものも一部書かれていることまでは、勉強した。


「ならば簡潔に、言ってしまいます…ミカルナの言うとおり、始祖種というエルフの血を引き、かつ、この国をはるか昔建国した王の血を引く方がトキト様です」


「厄介なところに転生したものだわ…」


「そしてですね、あの本をお渡しした理由です」


「聞こうじゃないの」


 ちゃんと本当のことを言う気なら、トキトもも今更拒まない。


「あの本には、王家の継承の秘儀を書いておりました…いわば、異世界の魂を引き寄せ王にするまでの手段です」


「…まてまてまてまてまて!!!!」


「魔力の極めて高い王家の血は、触媒として儀式に必須です…そして体も、引き寄せに成功したなら精神を憑依させるために」


「馬鹿なこと言ってんじゃないぞ!?」


 トキトが混乱して自制できなくなった勢いで叫ぶ。


「王になるためにそれを成功させるってんなら、何人もの歴代すべて転生で意図的に呼び込んだお客に王様させてたことになるぞ!まずいだろ!」


「やってきたんです」


 馬鹿じゃねえのかこの国!


「この国にも世界にも愛着がないものを王様ですって押し付けていくのを繰り返すとかさぁ、国も世界もどうなってもいいやつのやることじゃないかよ!?」


「そういうことです」


 あっさり言うなってば。

 国の人が言うならまだいいけど、話に聞けばマホ、お前は調査で他国から来てただけの奴だろう?


「それと、失敗すれば継承できるとは認められません…生まれてすぐ儀式が行われ、適性があり成功すれば王であるとして育てられる…」


「じゃあ、つまりヒメ…」


 トキトは真っ先に思い浮かぶ。

 そりゃわかる。

 それに失敗したから、王家として直系ですらヒメは…。

 異世界の知識の何かのほうが、王に必要だとされたのか。


 そんな優先度だけで、ヒメは…。


「戦争の後、王族の血が薄くても引いているものには残らず儀式を行う、私から見ると狂気の拡散が行われました」


「聞きたくねえ…その先、聞きたくねえなぁほんと」


「その中でただ一人、儀式に成功したお方を、ヒメ様は12まで秘匿し育て、公に出るまで見守り、立ち去ると私に打ち明け、私は見ぬふりをすると約束したんです」


 そうだと思ったさ。

 私ってわけだ。


「ヒメが、私が大きくなっても、ただ喜んでたわけもわかったよ」


「でしょうね…きっと、その時には自分がそばにいるのはあり得ないと思っていた年齢のトキト様と、隣にいて話せる…きっとそれだけで夢のようだったのでしょう」


「こりゃ、楽に死ねないわ」


「トキト様が成人した時、代理として他国に管理されたこの国は国王を得てやっと戦後を終えます、ですから、どうあっても生きてもらわなくては……」


「わかってるよ」


 手首を振って、もういいよというアクションをトキトがした。


「トキト様…黙っていて…」


 ユウリが、すまなそうに口をはさんでくる。

 言いたいこともあるのは、そうだろうな。


「知ってたなら言ってほしいよなぁ、まったく意地が悪い話さぁ」


 口ぶりは明るい。


「あの無差別の儀式は、私も認めていない派閥です」


 立場上、か。

 結局そっちは、わかっても人任せになるだろうな。


「ですから、ヒメ様のお子様がお生まれになるまで、あれをないものとして、私はあくまでトキト様を愛して、このまま、いたかっ…」


 言い切れない。

 もう終盤は言葉には、なっていなかった。


「今泣くと私がなんかかわいそうみたいだろう」


「…すいません…」


「もし生きて帰ったら、一緒に風呂入って、一緒に寝てやるよ…たっぷりさ」


「ありがとうございます…」


 声も出ないで見ているのもいっぱいいる。

 これが本気で暴れれば、ここにいる全員が死ぬかも、というのは、みんな思っていることなわけだ。


「…じゃ、やるだけやるから、みんなは近寄んないでね」


「お一人で?」


「いないだろ私より戦えそうなの!特に変に割って入るなよヴェルグルどもさぁ」


「トキト様、ワタシタチは…」


「この人数がもし非常事態になったときフォローできるの、たぶんシタニだけだろ」


「オ、おまかせヲ」


「じゃ、終わったよそっちのでっかいの!」




『いい見世物であったぞ、王家の血のもの』


「盟約っての、ちゃんと付き合ってあげるから、絶対この子たちに手を出すんじゃないわよ!」


 足を踏ん張り、誰よりも森の近くに身構えるトキト。

 気配だけのそれは、みるみる周りにも見えるように姿を現し。



 恐怖させた。

【登場人物紹介】


トキト


異世界から転生して、その名で呼ばれている女の子

だいたい二歳か三歳と思われるが、魔法により基本は年頃の女性に変化をしている

前世は「近藤 まる」、さらにその前は「ナノ」という名であった



ヒメ


国王の実子ながら、王家のとある儀式に失敗したためか幼くして国外追放

その後唐突に連れ戻された末に継承権放棄の書面にサインさせられ国政から永久追放

あげく拉致されて国外に奴隷としてさばかれる直前まで来ていた王女

という何気に重い過去を持つ女性

当人はそれをさほど気にしていないので割と明るい

トキトと何気なくかわした「約束」がヒメにもトキトにも大きな転機を生む

刷り込みのようにトキトが懐くのは、トキトの肉体の記憶にはヒメに育てられた記憶が大半のためらしい

トキトに手を出したり傷つけるものは何人たりとも許さない構え。



ナイン


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

ヒメより見た目は少し年上

ヒメのサポートをよく行っていて「ですので」が専らの口癖

警戒心が強く、よく他人を怪しんでいるが、怪しいのは常にお前だ



カナ・シーナ


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

安易な鬱設定!の宝庫

当人の性格そのものはさほど暗い性格ではないが、トキトによく殴られる

ただ、常に控えめで、下手に出る性格ではある

妹がいて、名前はタノ



ウブ・キツカ


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

正義感が強いが粗暴で、さらにそれを表にはあまり出さないのが持ち味

いわゆるツンデレ

傭兵家業の血筋を自称していて、武器の扱いにたけている



レイ・イバヤク・クアヤ


誘拐事件の実質首謀者とされクアヤ侯の元から拉致された一人娘

上流階級のプライドと作法、顔の広さでは誰にも負けない自信を持っているらしい

数々の恨みとばかりに人災天災を問わず襲い掛かる苦難の果てに彼女の明日はあるのか



マホ


国営大図書館の司書

趣味は防犯トラップである疑似空間の静かな環境で本を読むこと

トキトやヒメと出会ったことで自堕落なお役所仕事を改める気になっていくらしい



ユウリ


貴族令嬢誘拐の一連の事件で最初にトキトに魔力を吸われたのが彼女である

それによって何かに目覚めた

らしい

基本的にレイとの仲は悪い



ミウノコタツ


海中に王国を作り特殊な文明を築いている知性体種族

触手のようなものが頭から生えている以外はすこし身長が違うくらいで人間と見間違う容姿をしている

ただ、乾燥に弱く、水中でしか発声ができず、性別は存在しないという身体特徴を持つ

トキトが川に流す工業排水によって人間と遠巻きのスタンスを転換することとなる


地上には団長プラナルフ

続いてデハイナ、トゥーマ、ノテスデとクハスデの姉妹?を主に使節として派遣している



ヴェルグル


謎の多い小人の種族

繁殖期になるとおおよそどんな動物とでも繁殖できるが女性のヴェルグルしか子供は生まれないという

その一代だけ強く親の能力の影響を受ける特性と生物としての特殊さからお互い人と距離を置くことが多いようだ

トキトたちのそばには十二人の集団が一緒に生活している

全員が同じ集落から人間にさらわれ、トキトとヒメに助けられたことで、それなりの恩を感じているようだ

食べ物の誘惑(とくに呪霊樹の実)にはとにかく弱い


リーダーの名前はシタニ


以下 ノマニ タコビ テイ イツ ワレ チデ ラハ カテ トタ ナッ スヨ の順に群れの地位が高い



ミカルナ


この世界が生まれた時には既に存在していたという伝説の巨大な龍

呪霊樹の森の力で、力が回復しないよう処置をされたうえで眠らされていた

この世界で生きること、動くことに問題がありすぎるらしく、いつしか自らの消滅を願っていた

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