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複数回転生した生きのいい魔王は、今回百合百合しい女学園を作りたいと思っていたとか?  作者: くるま
ものづくりのおはなし

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ヨウセイ

「我々は、蛮勇にはやるお前たちに警告をしに来たものである」


 それは、特に前触れもなく来た。




 海からコタツが歩いて酒を飲んだ日。

 そう書くと全くわからないが、その日から実に順調に。

 森を切り開く作業は進んでいった。

 ため池の数は増え。

 ミウノコタツが、粘液の網を使う手段で一手間協力してくれるようになり、水のろ過もするようになった。

 謎の呪霊樹の成分は、粘液でほぼ絡めとられ、最終的に全力で凝縮されて手のひらに乗る石だかカプセルだかわからないものになる。

 なお、ミウノコタツが作る割に持ち帰りたがらないので、適当に地下室にたまる一方だ。



 王都の家のほうも危なげもなく。

 あの日、家族総出で炭酸を瓶詰、さらに板とロウで封をして、自由に飲める甘い炭酸が量産開始。

 これで、トキトの満足度とミウノコタツの取引材料は、当分心配いらない。

 ユウリにも、呪い除けのお守りと、いつぞやの呪霊樹の売却報酬を渡して、薬液と謎のすごい粉を内緒で買う契約も締結。

 これで、そのうちアイスや冷蔵庫も可能性が見えてくる。

 楽しみだ。

 あとは、家の作業分担と、増加した人員の扱いと、トキトの勉強。


 ………そして、例の事件の決着に向けての進展度。




 雑用として、王都にはずっと戻さず監視下にあるクアヤの家の一人娘、レイ。

 極めて重要な役割をしてもらうつもりなので、身勝手な真似はしないようにさせつつ、親族あてに、無事と内情探りの手紙を書いてもらっているはずだったのだが。

 親への敵対や糾弾を絡めて書きなぐるため、リテイクがいまだに終わらない。

 誘拐に関して、動きが今止まっているようなのは伝え聞くが、クアヤ侯の現状に関しては接触した人間がいないのでわからないままである。

 今もたまに、状況を聞きに、誘拐されていた時に一緒にいた子たちにトキトも会いに行くが、最近は平和。

 学校できたら寄って行ってねと、気軽に挨拶する軽い友人関係も出来てきた。

 という、現状のさなか。



「警告…って、いきなり言うのは、なんか穏やかじゃないわね」


 トキトがエプロン姿と帽子という姿で、ちょっと迷惑そうに言う。

 今回、ここはどこかというと。

 呪霊樹のいつもの森の入り口。

 木を相変わらず水に放り込むついでに、あまりに溢れてくる実の保存と使い方にいよいよ苦慮し。

 今回ジャムの作成を試みたところに、これだ。


「…これ、こぼさないように持ってってねぇ…私、あの鍋に近寄るのイヤ」

「マカセルンダー!」

「オレタチーニ!」

「キミナラドースルー!」


「…あの、わたしを無視しているのではないでしょうね」


 微妙に不満そうな、または困惑している来客。

 やたらでかいおっぱいに、それをさらに水増しするような胸を主に覆う鎧。

 これで男だったら、判明の瞬間殴り倒すところだが、スカートだし長髪だし、まぁ、ないだろう。


「嫌いなんだよ、そのめっちゃめちゃ胸を見せびらかすの」


 ひでえ初対面の姿勢もあったものだ。


「話を聞く姿勢を、要求するのである!」


「だったら手伝えよぅ!」


「なら、今回だけであるからな!」


 するんだ?

 キャラがつかめない。

 トキトも多少そのまま使っていいか困る程度に。


「なら…この丸いのいっぱいあるから、包丁入れて、種に当たったらこう転がして、そのあと広げて、こうしてこう」


「てや!!!」


 手持ちのナイフのようなものを、思い切り振り下ろす客の人。


「種がどうにかなるでしょうが!」


「すみません!!!」


 すっごい頭下げられた。

 本当になんだろうか、これ。


「取れたら皮ごとあっち持ってって、鍋に入れて、砂糖を追加」


「わかりました!」


 走っていく。

 下っ端のほうが性に合う生き物なのだろうか。


「え、誰!?」


 鍋の監視をしているカナが当然驚く。


「かき混ぜ、大変なら、まかせるのである!」

「タスカルゼー」

「アツイゼー」

「アツクテシヌゼー」


 砂糖投入、かき混ぜを多分交代でヴェルグルとカナでしていた鍋の仕事。

 レイも加わっているはずだが、まだ地下倉庫の片づけが終わっていないっぽい。

 今日は、ウブは王都のほうの家事を主に、ナインとヒメは忙しそうなので来そうにない。

 同様に忙しそうなはずのユウリだが、これは最近よく来る。

 たぶん今日も、もうすぐ来るだろう。

 水汲みなどの手間がないぶん、こっちのほうが最近快適なのでトキトのいる頻度が高いのを知ってしまったからである。

 風呂トイレだけは、しっかりしたのそろそろ作りたいのが悩みどころ。


「いや…え!?……このかた、エルフなんですが…!」


「そうっぽいなぁ」


 遠くのこっちを向いて、わざわざ言うことなのか?


「滅びた伝説の……?」


「始祖種は、この世界に適応できず、そう言われているが、我々は滅びるほど危うくないのである!」


「種類がいくつもいるっていうのは、たぶん人間に知られていないんだと思うなぁ」


「まことであるのか!!」


「……ご、ごめんなさい、詳しくなくて…」


「問題は、別にないのであるぞ獣の子よ!」


 仲良くなれない雰囲気では、ないな。

 自分の一族以外獣扱いの価値観は気に入らないがな!


「にしても、目に染みるのである!」


「…あ、メガネがないと…」


「おお!獣の子はこんなに高い知恵があることを知ったのである!」


 お前たちはもしかして田舎者なのか?


「私にはどうしたら完成なのかは、ちょっとわからないので、ひとまずお味見してみてください…記念に」


「!!…甘いのである!」


 ただでもグロいくらい甘いのに砂糖入れたしね。

 トキトの鍋にいきなり近寄りたくない理由の一つでもある。


「深淵の民が、ここは行くべきという理由も、わかるのである!」


 観光地にでもなっているのか?

 ここは。


「水じゃなく、ある程度固まってきてるならたぶん成功だから、フタして火を止めてねぇ」


 離れたところから、トキトが指示する。

 するとさらに後方から。


「アンなのもう、どう整理しても入るはずがないですわ!どうしてあそこまでしなくてはいけませんの!!」


「おまえがあの部屋に、いろいろ液体流し放題したからだよ」


「縛り付けられただけでしょう!!」


 レイが相変わらず力仕事と雑用にこき使われている。

 が、最近はひそかに、炭酸を汲みについていかされるのを楽しみにしている気配も感じられる。

 何気にトキトの温泉仲間の一番の理解者は彼女なのだ。

 今回は、有り余る呪霊樹の実を地下室に何とか入れようと棚を持って行ったりして整理していたが…。


「あとでちゃんとまた温泉行かせてやるからなぁ…それとも、頭撫でてほしいか?」


「だっ…誰が!そんなことで喜びますか!!」


 まんざらでもない様子。

 それにしても、いつに増して、あちこちうるさい。


「ト~っキ~っトっ様ぁ~!ほ~ら!特製のお薬のお時間ですよお?大量ですよお?」


「やったぁユウリ待ってた!!」


「ほらほらすぐ抱き着かないでくださいましぃ」


「と、言うかですわ!そろそろまともに食べられるもの、いただけませんの!」


「ちゃんと食べてるだろう、そこの木の実が食べ放題で!」


「料理というものは、この世界にちゃんとあるものなんです!どれほどの間甘いものしか食べてないと思っているんですの!」


「世の女の理想じゃねえの、そんな生活」


 抱き着いたまま、トキトがじとっとした目を向ける。

 何か不満なのかと言いたげな顔。


「理想の前に、なんで私が何の変化もないのかが自分で不思議ですわ!野菜スープすら口にしてないのに!」


「でも、チョコは好きだって言ったろ」


「好きです!!」


 まだ余ってるから、たまーには、チョコもどきを与えているトキト。

 ムガコレカの名前を出していないから、他になく素直に食べてくれる。


「わたしも、直接食べさせてほしいですわ…」


「あとで、あとでな」


「楽しみですぅ!」


 これが知っている奴の反応。

 味と別の何かに反応して、ヨダレが垂れていてちょっとこわい。



「…ヒトはあんなに毎度、ああも騒がしくべたべたし続けるものなのであるか?」


「…まぁ、毎回…あんな…です…」


 また、遠くの客にさっそく引かれてた。


「て!その怖そうな動く物体はなんである!!?」


「ほら、やっぱり怖いんだよアレ」


「かわいいんですよ?」


 毎度言ってるが、人造生物はやっぱりみんな怖いんだなと。




 そのまま、来客をいいことにヴェルグルがお祭りのような騒ぎをはじめ。

 毎度のようにやってきたコタツが乱入し。

 この場は完全に宴会に突入した。

 意外と頑丈だったログハウスの前で、持ち込まれた肉や酒を堪能しながら輪になってバーベキュー状態。

 ヴェルグルが相変わらずよく作る、具のないピザみたいなのにジャムを乗せたものも初披露される。

 当然のようにいるコタツどもはただ食ってるだけだが、そもも用があるのかこいつら。


「……す、少し失礼」


 やっとお望みの肉やらなにやら、いろいろ食べられたレイ。

 うれしすぎて食べすぎたんだろうか。

 いや、このみんな楽しそうな雰囲気に、入り切れてなかったとか、そっちか?


「と!!こんなことしている場合ではなかったのである!!」


 客のエルフがいきなり立ち上がる。

 お前さっきまで酒あおって焚火の火の粉かかったと大騒ぎしながら裸踊りしてたが。

 あの時にそのセリフは言うべきだったんじゃないかな。


「ヒトよ、けーきょくをするのであるっ!!」


「酔っぱらって噛みかみでいっても欠片も言葉の重みも迫力もないなぁ!?」


「そんなことを言ってる場合ではないのである!」

「アルー!」

「アルミカンノー!」

「ウエニー!」


 ヴェルグルも酔っぱらって完全にお笑いの宴席会場じゃないか。



「あまりその、動く呪いの木を切ってはいけないのである!」



「…はい?」


 目的が森を切り開くことなので、前提からの大否定である。

 今更。


「この地は厄災を封じた地であるのである!始祖種の遺した光の古文書にこれはあるのである!」


 あるがおおい!


「でも、今日だけで8本くらいお前の見ている前で抜いたが」


「我々は、この地を見張るために始祖種の意思を受け、近くに住んでいたのである!」


「その割にずっと来なかったな…見にも来なかったな」


「我々も忙しいんである!!」


 祖先だかの意思より忙しいほう取ってるわけだよなあ。


「…あぁ、なんでですのかしら…お肉食べたら、今度は急に喉が…」


「むむ??」


 ふらふらと戻ってきたレイに、声のでかいエルフが寄って行って、べたべた顔を触る。


「ちょちょ!?ちょっと」


「かわいそうである…遅かったである、龍の毒にもうやられているのである…」


「は、は!?」


 なんか言い出したぞ?


「この地は、始祖種が創世記の龍、ミカルナを倒し、眠らせたトコロなのである!!」


「事実です」


「うわ!?」


 トキトの横に、いきなり語りだすやつがいる。

 不意で驚いたが、見るともっと驚く。

 マホだ。


「何でいるんだマホ」


「歩いてきたんです、獣人たちが変な噂をしていて…この地が聖地になりつつあるって広まってるって」


「…あっちもこっちも、なんなんだ…」


「光の古文書は伝えたのである!この地は永遠の眠りのため、龍の力をいつまでも戻らぬよう抜き続けねばならないと!」


「つまりこういうことです…呪霊樹はこの世界で育成可能な生物ではなく、実ひとつで魂一つが必要というほど生命と魔力が集まり、吸わせて出来るもの、それがここでは、いくつも森になるほど生えているのです」


「伝説の嘘っぽい話じゃないって?」


「私もうっかりしてました…森そのものに手を付けられる力は誰にもないと思い込んでいたのです」


「じゃあ、その…私が悪いの?」


「正確にはそこのエルフの監視者のほうがずっと悪いですね」


「悪くはないのである!!」


「伝承ですと、ここに創世記から生きている生物がいると書かれてはいます…そしてそれのせいで魔力が漏れ出しまくるので木を植えて、それに呪いや魔力を吸わせてこの地は安定したと」


「まさにここか」


「命が実になる、という伝説のため、後になって死ぬならここでと自殺の名所になったりもしまして、実にあっさりこの地に留まると死ぬもので、王が直々にここを所有したとして立ち入りは禁じられました」


「それ、私に言わなかったよねお前?」


「あのお守りを見れば、言わなくても危険の前に気付くっておもいますよ!」


 思ってなかったよ。


「だからこの木、特に実は人の命そのものより価値があると伝わり、命の取引と揶揄され、まともな取引もありません」


「……そ、そっか大変だね、それは」


 適当に売ったわ。


「この森が失われ、魔力がミカルナに戻るとき、天は裂け大地の生物は滅びるのである!!この森に触れるのはやめるのである!」


「かなり言うの遅かったな!」


 しかもコタツに言われて観光しに来てだよ!

 なめとんのか!


「エルフが怒るほど、その…やっちゃったんですか?」


「いやだってさぁ、ここに学校作るなら、この土地の中に広場作らないとって……思うじゃない?」


「魔力をたまに得たりするのに必要なんだろうかと思っていた私も、かなり感覚ずれてましたねえ」


「その、それより…龍の毒って……なんですの…なんですの!?」


 レイの、怯えが混じった目と言葉に誰かが答えるのより早く。

 

 地面が揺れだすのを、その場のものは感じた。


「怖いのである!!!」


「えっ、そんな都合よく言ったそばから、ある!?」


「近寄っている途中から気配はおかしかった気は、しましたがまさか、そんなことは起きませんよ…ねえ」


「呪いってなにぃぃぃぃ!?」


 怯えるものと、迷うものと、疑うもの。

 それら、この場のそれぞれの者たちの意見が統一されるのは。

 

 そこに、巨大な何かの姿を確認した、その時であった。

【登場人物紹介】


トキト


異世界から転生して、その名で呼ばれている女の子

だいたい二歳か三歳と思われるが、魔法により基本は年頃の女性に変化をしている

前世は「近藤 まる」、さらにその前は「ナノ」という名であった



ヒメ


国王の実子ながら、王家のとある儀式に失敗したためか幼くして国外追放

その後唐突に連れ戻された末に継承権放棄の書面にサインさせられ国政から永久追放

あげく拉致されて国外に奴隷としてさばかれる直前まで来ていた王女

という何気に重い過去を持つ女性

当人はそれをさほど気にしていないので割と明るい

トキトと何気なくかわした「約束」がヒメにもトキトにも大きな転機を生む

刷り込みのようにトキトが懐くのは、トキトの肉体の記憶にはヒメに育てられた記憶が大半のためらしい

トキトに手を出したり傷つけるものは何人たりとも許さない構え。



ナイン


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

ヒメより見た目は少し年上

ヒメのサポートをよく行っていて「ですので」が専らの口癖

警戒心が強く、よく他人を怪しんでいるが、怪しいのは常にお前だ



カナ・シーナ


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

安易な鬱設定!の宝庫

当人の性格そのものはさほど暗い性格ではないが、トキトによく殴られる

ただ、常に控えめで、下手に出る性格ではある

妹がいて、名前はタノ



ウブ・キツカ


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

正義感が強いが粗暴で、さらにそれを表にはあまり出さないのが持ち味

いわゆるツンデレ

傭兵家業の血筋を自称していて、武器の扱いにたけている



レイ・イバヤク・クアヤ


誘拐事件の実質首謀者とされクアヤ侯の元から拉致された一人娘

上流階級のプライドと作法、顔の広さでは誰にも負けない自信を持っているらしい

数々の恨みとばかりに人災天災を問わず襲い掛かる苦難の果てに彼女の明日はあるのか



マホ


国営大図書館の司書

趣味は防犯トラップである疑似空間の静かな環境で本を読むこと

トキトやヒメと出会ったことで自堕落なお役所仕事を改める気になっていくらしい



ユウリ


貴族令嬢誘拐の一連の事件で最初にトキトに魔力を吸われたのが彼女である

それによって何かに目覚めた

らしい

基本的にレイとの仲は悪い



ミウノコタツ


海中に王国を作り特殊な文明を築いている知性体種族

触手のようなものが頭から生えている以外はすこし身長が違うくらいで人間と見間違う容姿をしている

ただ、乾燥に弱く、水中でしか発声ができず、性別は存在しないという身体特徴を持つ

トキトが川に流す工業排水によって人間と遠巻きのスタンスを転換することとなる


地上には団長プラナルフ

続いてデハイナ、トゥーマ、ノテスデとクハスデの姉妹?を主に使節として派遣している



ヴェルグル


謎の多い小人の種族

繁殖期になるとおおよそどんな動物とでも繁殖できるが女性のヴェルグルしか子供は生まれないという

その一代だけ強く親の能力の影響を受ける特性と生物としての特殊さからお互い人と距離を置くことが多いようだ

トキトたちのそばには十二人の集団が一緒に生活している

全員が同じ集落から人間にさらわれ、トキトとヒメに助けられたことで、それなりの恩を感じているようだ

食べ物の誘惑(とくに呪霊樹の実)にはとにかく弱い


リーダーの名前はシタニ


以下 ノマニ タコビ テイ イツ ワレ チデ ラハ カテ トタ ナッ スヨ の順に群れの地位が高い

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