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複数回転生した生きのいい魔王は、今回百合百合しい女学園を作りたいと思っていたとか?  作者: くるま
ものづくりのおはなし

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びんづめ

「な、な…なんですの、この、余計なこと言ったな風の空気は……」


 はい、そのままです。


「目が覚めてばっかりで悪いんだけど、ちょっとこっち来ようか、お嬢様」


 ヒメがにっこにこで、なおかつ有無を言わせずレイお嬢様を運んでいく。

 ぱたん。

 扉が閉じるそんな音がして、即時。


「トキトちゃんに権力や戦争やの話は教育に悪いからって、ナインちゃんと内緒にしてるのに、なんてこと言うの!」


 聞こえてるよう。

 ドアの真後ろで大声出してると、聞こえてるよう。


「あ、マジなんだ…」


 人違いってごまかす手も、もう使えんぞ、お前ら。

 いや、つか、ヒメって、こっちの言葉でもヒメなんだね。


「ヒメさまの内情を話しますと、この国の内情が絶対関わりますし長いですので…そして、暗い話です」


「……せ、戦争がつい四年ほど前まであって、首都は戦場になりませんでしたが、国としては解体が一度決まったような…状態でした……」


 やっぱりお前が言うと、暗さが倍になるな、カナ。

 でもまあ、必要な説明だから、ここでは手は出すまい。


「…ですので、元々の事情もありますが、国の中枢をしばらく他国の推薦による代行者が行い、周辺国家のいいエサになるのと、ヒメが継承権を公に放棄することで、他国の領地として国家が消滅するのは避けられる誓約書類ができました」


「百兵門緩衝地条約、と、今は言われてるようで…」


 戦争の話が笑ってできるわけはないか。


「むぅ、話しちゃったのか」


 戻ったヒメが、そこで参加。


「すみません…」


「いいよ、いつかはヒメの話は聞くものだったはずだし」


 聞く気もなかったとはいえ、一応のフォロー。


「私は別にいいんだ…元々継承の儀式みたいのに失敗したのを、顔も見たことないような兄がみんないなくなったからって、無理やり担ぎ出す人が出ないよう約束しただけだからね」


 権力だなんだを、今まで振りかざすそぶりもなかったのは、トキトがよく知っている。


「それに10歳まで国内にもいなかったし、親のも兄のも顔知らないしだから、あの誓約に参加した関係者と数人の愛国心が過ぎる諸侯しか私の存在も知らなかったはずだし…なんだけどねぇ…」


 ずっと隠し子のような状態で戦争が終わったから生き延びていた、という感じだろうか。


「だから私はさ、最初からないものが後から手に取れるようになるかもなんて思わず、好きに普通に生きりゃいいとしか思ってないわけでして!トキトちゃんと今いて幸せだし!」


「私は国政どころかあらゆる痕跡すらも消すかのようにして追放され、それで、なお国の形があるように救ってくれた姫様を今からでも盛り立てるのに、迷いはありませんでしてよ!」


「はい君はこっち来ようねえ……」


「…えっ…あっ…」


 引っ張られていく。

 乱入してまだ主張が足りないレイを、ヒメがずるずると引っ張ってどこかに連れていく。

 話によると、そののち汚した地下室をすべてきれいに一人で掃除するよう、言いつけられたのだとか。


「ああいった過激派は、なくならないものですので…」


「大変なわけか…」


 同情するよ、ヒメ。


「言われてみれば、ここが王国の直轄地なら自由にできる手配できることがおかしかったよなぁ…てことは、マホもグルか」


 図書館のおっぱいを、さすがに思い出す。


「あの方は、国体維持の議論のあった時期に、各国が用意した調整員のお一人でしたねぇ、好き勝手に財源を調べまわったり、ヒメさまとは仲良くは、できないようで」


「確かにどっちが上みたいな反応はしてなかったな」


 あと、たぶん王都の家を探り当てられた時の悲鳴みたいなやつ。

 すごいのもついでに見つけちゃった、みたいなニュアンスの結果だったのかな…。

 私と敵対しないのを、あれからも続けてるってことは、ヒメの関係者を軒並み悪いようにする考えじゃ、たぶん、ないだろうけど。


「…ま、ですので、手が回らず各地を変わらず治める領主の大半に手がついていない以外、国の要職は利益吸い取りを主な目的とする国外の派遣人員であるとも言えます」


「大事だな」


「今までなかった利益を作る目的も一部にあるでしょうし、変革の意味では、そう悪く言ったものではないかもしれませんけどね」


 ナインがやけに詳しいのが、また、何とも言えない。

 高校レベルで理解が難しい話なのか、単にトキトの頭が悪いのか。


 せめて、ヒメの周囲と味方は権力に全く関係ないよと間接的に言ってると思いたいな。

 て、あ…ダメだ、こいつの内通相手にユウリがいたんだった。


「…そんな目をしても、私は特殊な生い立ちだのないですよ?」


「いや、私たちが関わった裏切りだなんだって話、広い意味でシャレが通じないんだなって…な」


「最初から大なり小なり、洒落にはならないですが…ヒメさまはちゃんと守りますから、安心していいですよトキト様」


「そういうことにしとくか…」


「……ナイン様は、あの時からみんなを大事にしておられますから、そうご心配されなくてもいいと思いますトキト様」


 カナが明るいことを言った。

 明日は雪でもあるかな。


「引っ張る話でもないし、この話はこれで終わって、炭酸詰める瓶でも探しに行こうかぁ」


「いい機会ですし、もうちゃんとおうちに戻りましょう、トキト様」


「だな…」




 用事も増えたし、やることも増えたので、家出終了。




 慣れた感で、また転移のホールを開きなおし。

 帰り着いたトキトが少し懐かしく、特に長くは住んでいないマイホームを眺める。


「その!簡単に私がモノで言いなりになるなんて思うんじゃないわよ!できてもお友達からなんだから!わかった!?」


「まだおったのお!意思疎通が必要な奴が!」


 ウブちゃん、ずっと悶々としておりました。




 次の日。




「雪は降らなかったな」


「何のお話でしょう?」


 空瓶とロウを箱に詰め、カナとウブとトキトが微妙にかみ合わない会話を繰り返す。


「なんか、いやらしい話しようとしたんでしょ!」


「もうそこから抜け出して私たちの世界に戻ってきなさい!」


 バレンタインの余韻はいまだ消えず。


「だって、こんなに甘いものまた集めて、意味わからないことするようにしか見えないもの!」


「意味わからないことは、まあ、するさ」


 実験だからなぁ。

 一応、隙間も出ないように密閉したはずの箱に炭酸詰めて、水に沈めて一日持つかがもう実験すぎる。

 そこを潜り抜けて成功した場合、あとから糖分を大量にぶちまけて瓶に詰め、鉄とロウでふたをする。

 そういった予定だ。

 売る予定その他がなくても、密封容器がないと数時間の保存すらできない。

 我ながら随分と厄介な嗜好品に目をつけてしまったものである。

 とはいえ、思い出と爽快感には代えがたい。

 みんなにも中毒になってもらうため、存分にハマってもらうに限る。

 実に悪い考えで、今回も巻き込む気満々のトキトである。


「用意した分全部詰めたら、移動するから箱積んでね」


「「はーい」」


 もう毎日の巡回路かという感覚で、気楽に森に行くみなさん。



 だが。



「いぃぃぃやぁああああああああ!!!」


 ついたとたん悲鳴である。


「聞き覚えがたくさんあるような…」


「…はい…」


 いや、させた本人が何の躊躇もなく答えるの、どうなんだカナ。

 つまり、例のお嬢様だ。

 たしか、昨日は最終的に、ヒメを経由したトキトの命令で…。


「川に浸した炭酸入れた箱に縄付けて、流れないようにお嬢様にその紐付けて帰ったんだったっけかなあ…昨日確か」


「鬼なんですか?」


「食べ物はちゃんと与えてるもん!」


 かろうじて程度の人権は意識してるアピール。

 そして確実に人を人とも思っていない所業。

 そんな矛盾を堂々かまして、声の元に行ってみると。


「なんじゃいな…あれは…」


 人影は、一つじゃなかった。

【登場人物紹介】


トキト


異世界から転生して、その名で呼ばれている女の子

だいたい二歳か三歳と思われるが、魔法により基本は年頃の女性に変化をしている

前世は「近藤 まる」、さらにその前は「ナノ」という名であった



ヒメ


かわいいものとトキトを何より愛すると言ってはばからない、誰もが笑った顔以外ほぼ見たことがない程にポジティブを凝縮したような女性

ただ、トキトに手を出したり傷つけるものは何人たりとも許さない。

大人のトキトと同じか少し上くらいの年齢のようだ

交渉上手だったり多彩な才能をのぞかせるが、自分語りは基本避ける傾向がある

トキトと何気なくかわした「約束」がヒメにもトキトにも大きな転機を生む

刷り込みのようにトキトが懐くのは、トキトの肉体の記憶にはヒメに育てられた記憶が大半のためらしい

なお、ヒメはヒメです?



ナイン


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

ヒメより見た目は少し年上

ヒメのサポートをよく行っていて「ですので」が専らの口癖

警戒心が強く、よく他人を怪しんでいるが、怪しいのは常にお前だ



カナ・シーナ


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

安易な鬱設定!の宝庫

当人の性格そのものはさほど暗い性格ではないが、トキトによく殴られる

ただ、常に控えめで、下手に出る性格ではある

妹がいて、名前はタノ



ウブ・キツカ


貴族令嬢誘拐の一連の事件以降トキト、そしてヒメに同行するようになる女性

正義感が強いが粗暴で、さらにそれを表にはあまり出さないのが持ち味

いわゆるツンデレ

傭兵家業の血筋を自称していて、武器の扱いにたけている



レイ・イバヤク・クアヤ


誘拐事件の実質首謀者とされクアヤ侯の元から拉致された一人娘

上流階級のプライドと作法、顔の広さでは誰にも負けない自信を持っているらしい

数々の恨みとばかりに人災天災を問わず襲い掛かる苦難の果てに彼女の明日はあるのか



マホ


国営大図書館の司書

趣味は防犯トラップである疑似空間の静かな環境で本を読むこと

トキトやヒメと出会ったことで自堕落なお役所仕事を改める気になっていくらしい



ユウリ


貴族令嬢誘拐の一連の事件で最初にトキトに魔力を吸われたのが彼女である

それによって何かに目覚めた

らしい



ヴェルグル


謎の多い小人の種族

繁殖期になるとおおよそどんな動物とでも繁殖できるが女性のヴェルグルしか子供は生まれないという

その一代だけ強く親の能力の影響を受ける特性と生物としての特殊さからお互い人と距離を置くことが多いようだ

トキトたちのそばには十二人の集団が一緒に生活している

全員が同じ集落から人間にさらわれ、トキトとヒメに助けられたことで、それなりの恩を感じているようだ

食べ物の誘惑(とくに呪霊樹の実)にはとにかく弱い


リーダーの名前はシタニ


以下 ノマニ タコビ テイ イツ ワレ チデ ラハ カテ トタ ナッ スヨ の順に群れの地位が高い

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