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複数回転生した生きのいい魔王は、今回百合百合しい女学園を作りたいと思っていたとか?  作者: くるま
であいのおはなし

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すたあと!

 狂気の地下室を後にして。


 ナイン、そしてトキトが外の空気を大きく一息。

 その場所はどこかと、言う話が今になってされるわけだが。


   ―――――――――――――――――――


「魔力の補給ねえ…そういえば魔力だけで言えば、王の自治領と名前だけ付けた立ち入り禁止の場所が山脈近くにありますよ?自殺の名所になって、そんなことしなくても誰も近寄らないんですけどね、あそこなら怨念というか土地に置き去りになった精神の漏れ出しに関しては、国で一番なんじゃないでしょうか?」


「そんな場所があるんか!」


「元々いろんな話が多すぎる土地ですから、通うのであれば私から話は通せますが…」


「なら、実質私がもらう方向で行くわ、そんないい土地!」


「トキト様は物好きですねぇ…行ってみるだけなら害はないと思いますけど、むしろあの毒気にやられないでくださいね?」


「ありがとうな、マホ」


「そんな笑顔で言われても、むしろ、心苦しいかと…」


   ―――――――――――――――――――


 先日のマホとした話の中で、そんな話をしていた土地。

 まさかマホも、住もうとしているとはかけらも思ってはいまい。


「どうよ、私にふさわしい所だと、思わない?」


「…言葉では、私は表現しにくい感じで」


「魔力の補給もできて、自由にできる広めのところで、実験しても誰にも迷惑かけなさそうで、監禁しても見つからないくらい誰も来なくて、何より魔王って感じで私に似合うと思うのよ!」


 胸を張って、どうだ見てみろと自慢げなほどのトキト。


「少なくとも、ヒメさんが楽しい所という気は…」


「なんだよぉ、じゃあヒメ呼んで引っ越し先ここでいいよねって聞くよ!」


 不満げな、いや、引いている風のナインが大層にご不満のトキト。

 それならと本当に、ヒメを呼ぶことにした。



 そんなかんじで。




「…こんなの、トキトちゃんに似合う場所じゃない…」


「私としちゃあ、完璧な立地でガッツポーズまで出たんだけどなぁ」


 睨みあう両者。


 数話前に触れられたところへ、やっと立ち戻る。


 目の前には。

 ウネウネ動く呪われた樹木。

 呪いや魔力によって歪んだ、空気の質すら変わり果てるほどの闇の土地。

 瘴気というべきものに包まれ、魔力が世界に満ちて力の入手が極めてたやすい、まさに魔界。


 前の前。


 女子高生の穏やかさの生活を知る前のトキト。

 その時の生活と世界を思い出す、トキトによっては、まさに、自分らしい世界。

 それを知っているのなら、ギリギリそうだねと言えると思うが…。


「だめです、おねーさんトキトちゃんがこれが好きなんて言うのは認めません!」


「なんでぇ!私にこれ以上しっくりくるところないじゃないさぁ!」


「違うの!トキトちゃんに似合うのはお菓子の家にゆったりソファーと、こう、布いっぱい上についた広いベッドとかのなの!ソコに私が作ったおいしい料理並べるの!」


 君の料理、それ、やばいよ?

 はっきり言うと。

 トキト、言わないけどね。


「それに変な植物だけじゃなく、なんかずっと人の悲鳴みたいの聞こえるし!」


 話の主役になろうかという貴族の令嬢が、すでに環境音を発するオブジェである。

 違和感がない、それが意味するものだけでも、十分にこの場所は人間に適する場所とは違う。

 それは確かに言い切れる。


「そうだけど!言いたいことはいろいろわかるけど!」


「私はトキトちゃんに、もうずっと嘗め回したくなるくらいかわいくいてほしいんだよ!」


「そこまで行くとどうかな!?」


 用法用量を守って、ただしく愛でてあげてください。


「でも私、どうしても自分の好きな世界が諦められないの!ごめんヒメ!」


「…トキトちゃん?」


「女子みんなで中庭でたむろって、わかんない勉強で補習して、くたくたになる部活して、学園祭して、アイドルの動画に目を輝かせて…!」


 好き放題に吠えた。


「買えない服をいっぱい眺めて、ダイエットする覚悟決めながらスイーツを一口だけって言いながら食べて、雑誌の撮影見にサイト調べまくって…そして、そして…」


 言いたいことが終わらない。

 思い出すだけで、諦められない気持ちだけが大きくなっていく。


 もっと長くあそこにいて、いっぱい楽しんで、一緒に変わっていきたかった。


 そんな気持ちを。


「…わかったよ、負けちゃったよ」


 ヒメが、抱きしめて受け止めた。

 泣いていたのだろうか。

 いつのまにか。


「いっぱい、できないことがあったんだね…気が付かなくて、ごめん」


「誰にもわからないから、それでも、思い出しちゃうから…楽しかったから…」


「わかったわかった」


 わかってはいないと思う。

 知らないものだもの。


 でも、ヒメに見せてあげたいし、一緒に楽しい気分でいたい。


 それは嘘じゃないんだよ。


「なら、どうしたい?」


 家族のような、むしろ親のような、そんな温かさでヒメがトキトに語り掛けてくる。


「高校行きたい、新宿行きたい、旅行もしたい、あと…」


「そのために、何してほしい?」


「一緒にいてほしい…」


「大丈夫だよ?」


 自分の望みはかなわない、叶っても何かが矛盾する。

 なら、何がしたいんだろう。


「ヒメに見せたい、私の知ってる…あのビルや中庭や…」


「見せてくれるんだ?」


「うん」


「楽しみだよ…」


 にじんで、あまりはっきりは見えなかった。



 でも、笑っていた。


 笑っているヒメが好きだ。


 どうしたら、私の望みは叶うだろう?ヒメ。


「私が、なら、作るよ」


「作るの?」


「覚えてるみんな、私がきれいに思ったもの、美味しかったもの、私とヒメのために、行けないなら、作るよ、みんな…」


「じゃ、協力する!」


「ありがとう…!」


 いつの間にか、かわいいこの子も大きくなっているんだなあ。

 多分その程度なのではないだろうか、認識は。

 でも、うれしいのと、気持ちが誰かに聞き届けられた満足感は覚悟するのに十分だった。

 トキトは、何より自分のため、ヒメにも見せるため。


 この呪いしかない森の前で、日本の学校を作ると誓ったのだ。


「でも、どこで何を作るの?」


「場所は、ここ使っていいって言われたから、ここで作るよ」


「…ここなのは変わらないのね」


 見せたいものって、この景色から作れるのかな?

 ヒメはちょっと不安だった。

 あと、幼い子のようにじゃれているのを、ずっとナインが凝視しているのを、トキトはもう気分で忘れているが、ヒメは少し気にしていたりもした。


 それともうひとつ。


 助けて!もう何でもするから助けて!という声がずっとしていた。

 どこからか。


 しかし、その声が、助けられる人に届いたのはおおよそ夜が三回ほど来る頃だったのだとか。

あらすじに行きつくところにまで、動機まで作ろうとしたらこんなことに

なぜか始まったとたんにやり尽くして終わった気持ちでいっぱいです

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