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複数回転生した生きのいい魔王は、今回百合百合しい女学園を作りたいと思っていたとか?  作者: くるま
であいのおはなし

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14/28

かくして

「大事にする!ずっと大事にするね!トキトちゃん!」


 飛び跳ねながら、トキトが作った宝石のお守りをヒメが受け取ったのが、数日前。

 家の財政からして、高い宝石を使っているはずはないが、それはもう、すごい喜びようだった。


 そこから。


「…こんなの、トキトちゃんに似合う場所じゃない…」


 この今の顔は、おらく誰も想像できはすまい。

 たいそうな不満である。


「私としちゃあ、完璧な立地でガッツポーズまで出たんだけどなぁ…」


 トキトが、意見の違いを完全に解消不能とみて、早々に匙を投げる。

 どっちかが妥協するまで、話し合いをするべきなのか、どうか。

 関係に亀裂が入らない程度に、ごり押しはしたい。


 睨みあう両者。




 ここに至った理由を、まずは追いかけたい。





 ユウリと対面したその翌日。

 トキトはマホの職場を急襲した。


「まぁ、近くおいでになるかなと思ってはいました」


「こっちだと、あのクソふざけた態度じゃないのね?」


「使い分けはできる女ですので」


 さっそく自慢げなマホ。

 社会人的には当然なのではと言ってはいけない、たぶん。


「ま、いいや…でも、とりあえず本の話じゃないんだ今回」


「あら意外」


 はっきり、秘密のものとわかるよう手渡したものの感想が来る。

 それを確信していた予想は、むしろ普通なのかもしれない。


「あれの話は一日二日じゃ終わらないからな!」


 色々と、国をあちこち回る機会も増えたトキト。

 誘拐関係のバイトで手に入れたリストの誘拐されそうな子女をいちいち追いかけると、割と全国の景色を見る羽目となったのである。

 地図も、勉強の成果で多少は読めるようになった。

 そこで。


 もっと精密な地図。

 クアヤ侯の詳しい情報。

 みんなの引っ越し先として自分なりの候補。

 不満しかない食べ物の充実化。

 魔法のテストに使える場所はあるか。

 国の呪病に心当たりはあるか。

 魔力補給に時間をかけない手段はほかにないか。

 などなど。


 知らないと人生やってけないことが、どんどん増えてくる。


 急務はユウリの漏らした誘拐事件の本丸だが。

 それだけで頭をいっぱいにするのは宜しくない。


 トキト的に。


 職業じゃないんだから。


「で、こういった話のほうを、私は最近欲しいなってなってるわけ」


「お仲間からでも知れる話では?」


 そうだよ。

 でも、メインはクアヤ侯の動向探って何とかしてやろうって情報集めなので、そんなのは聞けないんだ。


「食事に関しちゃ、みんな無頓着で、ほしい食材の話を誰もできなくて困っちゃってさぁ…」


「なるほど」


 無邪気に納得してくれて助かる。


「あと、クアヤ侯の領地の話も」


「皆様が捕まっていた収容所の周囲の話などが聞きたいのですか?確かにあの時の話はしにくいでしょうね」


「…ま、まぁね…」


 忘れてた。

 そういえば、思いっきりあの暴れた場所、クアヤ領だわ。

 よく馬車で一気に脱出するのに、みんな止められなかったねえ。


 トキトは思ってもいない情報が即座に出てきて早くも動揺。

 やはり情報の多いところは引き出しも多い。


 しかし、クアヤ侯の犯罪についてまで、マホに話す理由はない。

 むしろ、話しちゃいかんだろ。

 適度にオブラートに包み、聞きたいところは聞く。


 とりあえず現状の建前として、引っ越し先としての候補に、クアヤ領が有力としておく。

 そして色々、領主の動向も聞いていくのだ。


「…と、そんな感じで」


「いっぱい聞けたよ、あんがと」


「いえいえ、あのお守りのお礼と思えば、代金としてはどれほど安いものか」


 街にかかった持続的な呪いに関する防御のお守り。

 紙で作った簡易のと合わせれば、自分で使うには過剰な数が渡されている。

 そんな、お守りたち。

 知り合いにでも渡した分を感謝されたのだろうか。


「なら、今回で支払いは終わりじゃないから、また来るぞう」


「図書館の正規公開時間でないのから、むしろいつでも」


 こいつ、そっちの仕事してないのか、むしろ。

 ともかく、いろいろ聞けた。


 特に学校の話は盛り上がった。


 この世界、市民向けと貴族向けとで学校は明確に分かれているのが常識。

 しかし小学校くらいの教育で終わるのが9割。


 なぜなのかは明確で、この世界の結婚の適齢が15前後だから。

 平均寿命の関係から言えば無理もない、そう説明はされた。

 何事もなく生きて40そこそこ、強い怪物などに襲われる災害がままあるのを考えると30台が平均かなと言われればそうもなる。


 貴族学校のほうも、必修の教育から先は、貴族の組織に関する慣習を学ぶ以外は極めて薄い。

 専門知識な政治に関しては、国立大学にあたるような教育機関で弟子入り必須の専門教育ぐらいしか知る機会がない。


 なかなかに、ヤバイ世界というよりない。


 貴族学校も、トキトの今なりである高校の年齢になると、社交界の攻略法みたいなものを教え続ける場所と化すのだとか。

 ようするに、さっさとお見合いしていい所と結婚しまくれるように閉じ込めておく場所みたいなもんだ。


「ですから、言いにくいんですが、トキトさんが街ではしゃいでるのも、はたから見るとその、既婚者が同性と何人も入れ替わりでアレな生活しているように…」


「いかがわしくわざわざ言わないように!」


 すぐマホが私の家をノーヒントで見つけたのもわかる。

 それで、そんなに目立ってたんだ、トキトって名前だけでわかるほど。

 不思議ちゃん系人妻のさらに貞操感的にアレって人扱いされてたのかね。


 …ひどい。


 これを言われたのが一番きつかった。


 かわりに。


「で、もしもですが、学校に行きたい、というのであれば、私から紹介状を書いたりなどは可能ですが」


「いらねぇ!私の行きたい、キラキラ輝いたところとは似ても似つかんの!」


「言うほどこの国の学問は悪くないと思うんですけどね…お立場の偽装もできますし…」


「偽装の時点で大概だが」


 日常的にやっているのか?

 トキトは怪しんだ。

 しかもそっちから言い出すな。

 それが正しいこと扱いの世界は、さらに嫌だぞ。


「さっきの話のクアヤ侯のご息女なんて、専門課程に行くための私の推薦署名が欲しくて、家出のお手紙までいくつも配ったりしたものですよ、懐かしい」


「……娘いるんだ」


 怪しい光が、その時トキトの目に宿る。


「確か、その手紙残ってたなぁ、いい思い出です」


 聞いてもいないうちにマホが金庫に向かい、それを取り出しているらしい。


「今はトキト様のお話が出回ってませんから、流行り病を警戒して王都の専門学位の生徒などは、逆に師匠を別荘に呼び出したり、色々大変らしいですが…」


「へぇ」


 金にものを言わせている、という愚痴だろうか。

 どのみち知ったことではないが。

 頭の中を満たしている、今の考えだけを優先しよう。

 トキトが興味なさげに言って近づく。


「…クアヤ侯のご息女のレイ様は、父上のご指示で、即、王都からお離れになりましたね…過保護といいますか…」


「ありがとう、いいアイデアを」


「これですねって…あら」


 手に取ったそれを、すかさずトキトが、するりと抜き取った。


「これ、貸してもらうよ、それとだ…」


 頭に浮かんだ計画、そのために必要なものが既に揃っている。

 トキトのやる気がぐんぐん上がっていく。


「なんです?その悪い顔……」


 利用するいいネタ見つけたので、他は今は忘れることにした。

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