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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
ダンジョンの真実

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第86話 三者三様

 コンちゃんに竜馬が世界を統べる者である事実を告げられ驚愕した俺は、更に詳しい情報を引きだすことにした。


『竜馬が、世界を統べる者だと?』

『間違いございません。最終世界から訪れる理様たちを待ち受けておりました』


『何が目的なんだ?』 

『断られた場合、また世界の作り直しを行うしか、彼に選択肢が残りませんので、理様に協力を得るための、外堀を整えていたんだと思います』


『それなら同じ目的だし別に断る理由もないが、コンちゃんは納得行かないのか?』

『私は長い時を眺めて参りました実に六億年に渡る時間です。消えて行った多くの世界の事を考えると、素直に納得することも出来ないのです。知的生命体が現れるまでの世界は、私達コアと呼ばれる存在も、始まりの世界を再び取り戻すことを夢見てそれぞれに。世界を必死で育成しました』


『しかし、知的生命体が現れると感情の部分で納得行かなくなってしまいました。私達も元は同じ人類でございます。何億、何十億と増えた人類を、自の意思で融合、消滅させる判断を下すなど、納得出来る筈もございません』

『でも、結局は侵略者達を、撃退できないと又やり直しになるだけなんでしょ? だったら、前に進むしか選択肢は無いと思うぞ』

 

『理様は強い人なのですね。解りました。私は理様の意思に従いお手伝いをさせて頂きながら見守ります。良き未来を作り上げて下さい』

『俺は自分の手の届く範囲のものは、守れるなら守りたいと思ってるだけだ。コンちゃんももっと素直に楽しめよ。明日には始まりの世界に行ってナビちゃんとも話したいと思うから、よろしくね』


『かしこまりました』


 ◇◆◇◆ 


 次は近藤と話すかと思い姿を探すと、近藤の周りには三つの世界から集まった新撰組のメンバーが揃っていた。


「喧嘩なんてしてねぇだろうな?」と思いながら声をかける。

「みんな、この世界はどうだい?」


「文化水準の高い世界だな、建物も機能的だし快適に過ごさせてもらってる。あの動く絵の映る器具が凄いな」


 きっとテレビの事を言ってるんだろうな、と思いながら他のメンバーを見る。


「芹沢さん達は、近藤に聞きたい事は聞けたのか?」

「全くわだかまりが無いと言えば嘘になるが、世界が違うから直接文句を言ってもしょうが無い。それよりも、一度は同じ志で集まった筈の仲間が、再び一緒に行動できる事に価値が在る。この近藤の実力だけは認めざるを得ぬしな」


土方が新選組のメンバーで話して決まった事を伝えてくれた。


「新たな新撰組は近藤さんを中心に、来るべき戦いに向け鍛錬を始める事としました。戦力として扱って頂きたいと思います」

「取り敢えず話が付いたなら良かった。ちょっと近藤と話がしたいから借りるぞ」


 近藤と二人で俺の書斎で話をする事にした。

 桃子さんにお茶を頼み部屋へ入った。


「近藤、これからは勇と呼ばせてもらって良いか? 俺の事も理と呼んでくれ」

「構わない、今回は色々と世話になった」


「まず聞きたいのは、何故【D155】に拘り続けたんだ? お前の力なら自分の世界を救えたんじゃ無いのか?」

「俺は自分の世界の中でダンジョンの攻略を進めて行ったが、自力で何とかなったのは精々三十五番目位までだった。

それ以降のダンジョンが、氾濫を始め世界が終焉を迎え始めた時に、コアが俺との融合を求めて来た。

今、理が従えた【D155】コアは、本来俺の世界では、D2のコアだったんだが、あいつが俺に話しかけて来た。

『私に主導権を渡して融合するなら、今の苦境は跳ね返す事ができる』と、その時には既に新撰組の隊士達も誰一人残っていなくてな、藁にもすがる思いで融合をした。

それ以降はコアの言う通りに行動しながら、徐々にダンジョンを討伐して行き、歳達を呼び出すスキルを獲得してからは、攻略のペースを上げて行くことも出来、世界崩壊の前には全てのコアを融合させることも出来た。


只な主導権はコアにあったから、俺の意思での行動はずっと出来なかったんだ。

俺が自分の意志で行動出来るようになったのは、全てのダンジョンを討伐し終えて、世界を統べる者と名乗る存在が話しかけて来てからだ。


そいつは俺に、侵略者が再度攻め込んで来るときに備えて、戦力を育てろと言ってきた。

その為に意識を覚醒させたともな。


ただし、俺の世界では既に目ぼしい奴らが誰もいなかったから、次の世界での話だったんだ。

俺は、歳達と一緒に行けない世界に、興味を持つことが出来なかったから、取り敢えず断ったんだ。


だが、長い時を過ごしながら、ダンジョンマスターとして最終ダンジョンに居続ける事で、ここに辿り着けるほどの実力を持つ奴らは、全て囲い込んだ。

世界を統べる者が思う通りの展開だな。


これが偶然なのか、結局は思惑通りに導かれただけなのかは解らぬ。

俺なんかじゃ比べ物にならぬほどの戦力を整えて、自分の意志を持ったまま乗り込んで来た理を見た時は、びっくりしたがな。


恐らく今回の様にコアを使えば歳達の復活は出来るのではないかと予測をしていたが、コアの融合を解除させる手段も無くて、行き詰まっていたから、俺を倒す奴が善意の意思を持ったやつなら、可能性があるんじゃないかと思っててな、それが理だったって訳だ」


 近藤の話を聞き、理が感じた疑問を投げかけてみた。


「って事は、勇はまだ全力を出して戦ったわけじゃない無いのか?」

「当たり前だ、あの程度で全力なら、芹沢達の世界や、十兵衛達の時代の連中に勝てるわけ無いだろ、あの連中は確かに強いが、俺に対して明確な殺意を持って向かってきたから、取り敢えず従属させる事にしたがな。理もまだ全然力を出し切ってなかっただろ? 殺意を全く感じなかったしな」


「俺は、元々のこの世界での【D1】コアと約束をしたんだ。世界は俺が救うとな。その為の戦力として勇を仲間にすることは決めていた」



「勇は生産の方はどの程度の物が作れるんだ? あの刀は自作か? 」

「あぁ、あの虎徹は自作だ、あれでも俺の最高傑作だったんだがな」


「そうか、じゃぁこいつを使え、俺の最高傑作だ『プルート改』と言う。イメージしたのは勇の虎徹なんだぞ」

「良いのか? お前の武器はどうするんだ?」


「俺は更に上を目指して作り直す。勇の折れた虎徹を譲ってくれ。素材合成で使いたい」

「そうか、では虎徹を渡そう、新たな生命を吹き込んでやってくれ」


「勇、この後もう少し付き合ってくれ、勇の疑問もきっと解消すると思うぞ」

「ほう、何処へ行くのだ」


「竜馬の所だ。コアが教えてくれたが、竜馬が世界を統べる者だそうだ」

「やはりそうか、俺には直接教えてはくれなかったが、恐らくそうだと思っていた。やつはこの世界を知りすぎていたからな」


 ◇◆◇◆ 


 勇と二人で竜馬の所へ向かう。

 幕末の連中と食事に行ったとの話を聞き、結婚式場を作った島へと向かった。


「竜馬、今時間は大丈夫か? ちょっと話がしたい」

「近藤と一緒か、コアに聞いたか?」


「あー、まぁ色々考えがあるんだろ? ちゃんと教えろ」

「ほぉ、真実を知って尚、平常心で俺と接するか、思った以上に大物だな理は」


「今更だ。どっちにしたってやる時はやらなきゃならないんだ。それならすべてを知って万全の準備がしたいだけだ」

「そうか、理には選択肢がある、まず残す世界を一つ決めてくれ。今は始まりの世界と、千百十番目、千百十一番目の三つの世界がある事は知っているな? だが地球に無理をさせすぎて、既に限界が近い。もし今回侵略者に破れたら、再度の再生も無理だ。それ程にリソースを使いすぎてしまった」


「おいおい、それじゃぁ次の侵略で撃退できなかったら、完全に地球は滅ぶのか?」

「そうだ。しかもさっき言ったように、このままでも限界が近い。三つの世界を並行して存在させる事は、もう難しい。俺としては始まりの世界を残したいが、あの世界にはダンジョン以外の生命を発生させなかったから、選択肢は消えるな。残すはここか千百十番目だが、どうしたい?」


「藤吉郎の世界は、人間の数も少ないから、全員こっちの世界に移住させたら良いんじゃないかな。こっちの世界も随分人口は減っているから土地はあるしな」

「ダンジョンはどうなる?」


「ダンジョンは、始まりの世界から移動させる、移動させる為のエネルギー源として、現在コアとして存在している以外の956の魂の中からダンジョン一つに付き一個のコアチップが消滅することになるが、みんな既に納得してくれている。南極大陸を利用して設置が可能な状態にしてある。現在のダンジョンゲートはそのまま使える」

「竜馬、お前の娘、この世界の【D1】コアとして現れてたんだが、今はルシファーのスキルオーブに力を注ぎきって消えている。今【D1】コアだけは誰も取得させずに空けている。呼び戻したいんだが出来るか?」


「理、嬉しい話だがそれには、莫大なエネルギーが必要となる。理の【D155】コアか、この俺の魂の存在との引き換えになる。理が【D1】コアを望むのであれば、俺の魂との引き換えで復活させよう。色々苦労したが、理と近藤のお陰で、俺に出来うるだけのことはやり尽くした。只のチップにはなっちまってるが、これでも一応、人の親だからな、娘の幸せを望む親の気持ちは理も解るだろ?」

「それは話が極端すぎるな。どっちも残れる選択は無いのか?」


「無いな、だが侵略者との戦いを見届けるまでは、俺のままで構わないか? ここまで来たら最後まで見たい」

「あーそれは構わない、【D155】コアはお前の嫁なんだろ? 一度ちゃんと話したほうが良いと思うぞ」


「もう六億年も一緒に過ごしたんだ、今更言葉は必要ない」

「それは違うぞ、お前メチャクチャ頭いいくせに、そんな簡単なことが解かんねえんだな。何年だろうと関係なく会話を楽しみたいもんだぞ、夫婦ならな」


「そうか…… 今度ゆっくり話しかけてみるよ、理の寝てる時にでも」

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