第80話 D155⑤
七月七日 十九時
大阪城まで戻ってきた。
寛永オールスターズは人数が多くて、【G.O】に乗り切れない為、大阪城で生活して貰う事にした。
この大阪城にも【D154】が設置してあるために、鍛錬には困らないはずだ。
武蔵さんだけ「岩崎殿の世界を一度見せてくれ」と、言ってきたので、卑弥呼と一緒に俺達の世界に連れて行った。
そして自宅に戻ると、卑弥呼が目をランランと輝かせて、紗耶香や鹿内さんと話している。
いつの間に仲良くなったんだ鹿内さん。
信長が武蔵さんと話してる。
「どうだ? 岩崎さん達は強かっただろ?」
「信長さんも先にやられてたのかい?」
「全く手が出なかったな、俺の魔法をすべて食い尽くされた」
「東雲さんはこの中で何番目くらいなんだ?」と聞かれた。
「剣だけなら俺達の中で一番強いさ」と答えた。
「なんでもありなら?」
「どうかな? 俺からは何とも言えない」
「それは私が一番冷静に判断できると思います」と、マイケルが横から口を出した。
「理、颯太、達也、鹿内、東雲、慶次、坂内の順ですね。他は少し離れます。一対一なら東雲さんが三番目です」
「理殿。拙者と一度手合わせを頼む」と武蔵が言い出した。
「岩崎さん。最終決戦までの間に武蔵さんや十兵衛さんの武器を作ってあげる事の方が重要だと思います。武蔵さんと十兵衛さんは武器の差で勝てなかっただけだと思います」と東雲さんが言ってくれてその場は取り敢えず収まった。
「そうだな。どうせ近藤を倒すまでは、武蔵さん達は戦力としては計算出来ないから、こっちでレベル上げしながら過ごして貰うことになるし、武器は暇を見て作っておくよ」
「かたじけない」
「颯太、武蔵さんたちも来たし、今後もまだ人数増えると思うから、マンションの敷地余裕あるしさ、1LDKのマンションを横にもう一棟建てたいから、澤田さんに頼んで図面と材料揃えてもらえるかな? 二十階建てで、百部屋位のが出来るだろ?」
「解った、連絡しておく」
◇◆◇◆
七月八日 八時
今日は百二十一層からの開始となる。
十兵衛が気になることがあるから討伐を見せてくれと言って着いてきた。
他のメンバーは大阪城の【D154】で鍛錬をしている。
十兵衛だけはレベルも千五百五十に到達している。
慶次の横に並んで、TBと雪の後ろを歩いて階層を降りていく。
百二十五層に到着した。
町並みは公家屋敷が目立つな。
これは京都か? 少し時代が古く感じるな。
中央部分に存在するのは、清水寺のようだ。
門から境内に入ると十人程の人物が見える。
取り敢えず、話かける事にした。
「下の階層に向かいたいんだが、戦わないと駄目か?」
「ここまで辿り着いたんなら実力はあるんだろうから、別に戦わなくても構わんぞ」
「だが、武器を見せてもらいたいな、刀を集めておるのでな」
「武器は譲れないな、どうしてもと言うなら戦うしかなかろう」
「そうか、馬鹿な奴らだな。ここで死に急ぐことも無かろうに、武蔵坊弁慶と言う。貴様を屠る者の名だ」
「そのセリフってさぁ、絶対悪役っぽいから辞めたほうが良いと思うぞ。弁慶さんって事は、横にいるのは義経さんか、武器は俺たちの仲間になれば良いの作ってやるから一緒に行こうぜ」
「それもまた良しだが、退屈しておったから少し手合わせ願おう」
「しょうがないな、俺と前田さんだけでやろうかそっちは全員でいいよ、一応名前聞いていいかな? 俺は岩崎理、こっちの女の子は前田香織さんって言うよ」
「相当な自信だな、良かろう」
源義経
静御前
木曽義仲
巴御前
那須与一
佐藤嗣信
佐藤忠信
伊勢義盛
亀井重清
義経さんの四天王に旭日将軍と弓名人。
それと日本の歴史上じゃ一番強い女性武者か、さすがのメンバーだね。
こっちは【神龍召喚】
ヴァハムート当てないように頼む。
「御意」【波動龍砲極】
圧倒的な威力のブレスが周りをすべて更地にしていく、更に追撃で前田さんがトレースした。
この階層に広がる京都の街が消えた。
「どうかな? まだやる?」
義経が吹き出した。
「面白いなー凄いよ、岩崎さんだっけ? 街に人がいても今の攻撃使ってた?」
「いや、俺には無理だなそれは」
「そうかぁ、それが出来る人なら一番下でも勝てそうだけどねー、うちの兄貴なら全然気にしないで使うよ。でも嫌いじゃないよ、そういうの。いいよ着いて行こう」
十兵衛が慶次と話している。
「あの攻撃はなんなのだ、常識はずれにも程があるぞ」
「あー、まぁ岩崎様だからしょうが無い『イエスロリータノータッチ』って拝んでたらいいさ」
一行は下に向かって進むと、百三十層はモンスターだった。
マイケル達外国人勢がやりたがってたから任せた。
あいつらもなんだかんだで、かなり強くなってるよな。
百三十五層に到達した。
ここは中世ヨーロッパの景色が広がっている。
さぁ誰が出てくる。
中央部分は一帯が墓地になっており、その真中に小さな教会があった。
教会に居たのは立派な軍服に身を包んだ一人の男。
肖像画で見たことあるなこの人。
「余に何か用であるか?」
「下の階層に行きたいが通してもらえるか?」
「余の軍団を打ち倒すだけの実力を見せれば許そう。このナポレオン・ボナパルトの地獄軍団をな、出よジャンヌ」
ジャンヌと呼ばれ現れたのは美しき女性で、そしてその女性が手を掲げると、墓場から一斉に一万体を超えるスケルトンが現れた。
「あちゃぁヴァハムートこっちで呼ぶべきだったな。坂内さん頼むな」
「任されました。前田さん私の攻撃トレースして下さい」
坂内さんは聖水シャワーを全体に降らせる。
聖水がかかった敵がすごい煙を上げながらどんどん消えていく。
前田さんもその攻撃をトレースして次々に倒していく。
ジャンヌとナポレオンはどちらも指揮能力に秀でた存在だ。
攻撃にさらされながらも、部隊を巧みに編成し攻め込んでくる。
こっちのメンバー五百人での各個撃破も始まった。
乱戦だ。
鹿内さんの殲滅魔法が乱戦になると使いにくいな。
これは指揮してる人間を倒したほうが早いぞ、墓場からどんどん出てきやがる。
森本さんたちが教会の方向に突入して行った。
【D9】コアの西山も一緒だ。
西山がジャンヌと何か話してる。
何を話してるんだろうか? 他の【PU】のメンバーは全員でナポレオンを包囲した。
そしてナポレオンの拘束が完了すると、スケルトンが消えて行った。
ナポレオンが召喚したように見えたジャンヌは姿を消していない。
そして西山がジャンヌに向かって吸収を発動すると、西山の姿がジャンヌ・ダルクに変わって行った。
何が起こったんだ。
俺はジャンヌの元に向かった。
鹿内さんと坂内さんの二人も一緒だ。
「【D9】コア、何が起こったか説明してくれるか?」と、ジャンヌの姿をした【D9】コアに尋ねた。
「【D9】コアは私のもとに戻り、主導権を私に託しました」
「どう言う事なのか説明してもらえますか?」と、鹿内さんが聞いた。
「元々私が居た世界で私が獲得していたコアがこの【D9】コアでした。その後私が戦いで破れ、本来なら、ダンジョンで復活するはずだったらしいのですが、死んでから復活するまでの二十四時間の間に、ナポレオンの死者召喚スキルに拠って呼び出されてしまい、そこからずっとこの【D9】コアが私の魂の所在を探し続けて居たそうです。今まで【D9】コアが使っていた姿は主導権を所持していなかったために、私の実体化に因って消滅されました」
「そうなのね、ジャンヌはこの先協力してもらえるのかな?」
「私の思いは世界の平和です。あなた達の思いが同じであれば協力を拒みません」
ジャンヌを仲間に加え、一方のナポレオンはなんか大演説をしている。
「余の存在は大軍を指揮することにより真価を発揮する。兵を与えよ、必ず勝利をもたらす」と言ったので、この人高圧的なとこはあるけど、きっと最終決戦では必要な人だよね? と、思いフランス人のアンリに任せることにした。
先祖にナポレオンの遠征部隊の将軍を持つアンリは大喜びで、ヨーロッパの軍を纏め上げる時に、表舞台に立って貰う事を念頭に引き受けてくれた。
今日はここまでで討伐を終了した。
◇◆◇◆
七月八日 二十時
「あらあら、また綺麗な女性連れて帰ったんですね。私の時間が少なくなくなっちゃうから程々にしておいて下さいね。澤田さんが設計図すぐに用意して下さいましたよ、北九州特区で同じタイプのマンションがあったようで、その図面を用意して下さいました。資材も既に注文済みで明後日には揃うそうですよ」
と紗耶香にいきなりの先制攻撃を受けた。
「別にそういう意味で連れて帰ってるわけじゃないからな? 図面の件は了解した。明日と明後日は攻略は休みの予定だから、その間にやってしまおう」
「この世界は楽しいわね、お菓子が凄い種類が豊富で、ずっとこの世界に居たいわ。それにシャンプーや化粧品も凄いわね、お風呂も素敵だし。私を見て? ピカピカに磨き上げたわ」
とすっかりこの世界に馴染んだ卑弥呼が現れた。
「紗耶香…… 卑弥呼にあんまりお菓子を与えないようにな」
するとジャンヌもこの部屋にいる女性陣達に興味を示し「女性の方が皆さんすごくいい香りがします。私にも教えて下さい。戦い続けてきたのでそんな事には疎いので」
「ジャンヌさん何もしてないでその美貌なの? ヤバイよね、私がジャンヌさんには教えてあげるわ、元が凄いから、どんだけ綺麗になるのか楽しみー」と森さんが凄いやる気を出してきた。
「この世界の食事は大変レベルが高いな。余は、満足である。このライスで作った白ワインも、中々のものだ」と、ナポレオンもこの世界を気に入ったようだ。




