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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
ダンジョンの真実

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第77話 D155②

七月四日 二十時


「で、永倉さんか。新八でいいな? 新八は何番目の世界から来たんだ?」


「俺が元々いた世界は、コアが言うには八百五番目の世界らしいな」

「新八の世界では、ほかに生き残った連中はいるのか? 」


「ああ、俺の世界からは三人、近藤さんのとこにたどり着いたな」

「世界の消滅の時の話を聞かせてもらえるか?」

 

「ちょっと長くなるがいいか?」

「全然構わないぞ、じっくり聞かせてくれ」


 それから、新八の話をみんなで聞く事にした。


「まず、俺も今だから解る事として、偶然最初のダンジョン討伐者になったやつが、やる気を出さなかった世界では、最終ダンジョンが出現する頃には、とっくに滅んでた。


例外は今【D155】がある千百十番目の世界だけだ。


 それ位に最初のダンジョンを討伐すると言う事が重要なんだ。

 偶然に見せかけた必然で、最初のダンジョンは出現してるらしい。


 そして二番目のダンジョンが現れるまでの一週間で、大まかなシステムを理解できてない世界も、その後のダンジョン出現ペースに負けて、崩壊してるな。


【D155】まで辿り着けた世界が俺を含めて八組居るが、結局は近藤さんに全て阻まれて【D155】の中で生きながらえているだけの存在となり果てている。


 俺達の世界ではダンジョンが発生して三年を過ぎた頃には、世界中がモンスターだらけになって、人間は唯の餌だったな。


 喰われるか、モンスターの苗床にされて、新種のモンスターを産み出す存在になるかの地獄絵図だった。


 新撰組は結構頑張ったが、それでも段々とやられちまって、俺が最後に討伐しに行った【D102】で全滅しちまったよ、俺とその世界でそれなりに頑張ってた残りの二人が、複数コアのマスターだったから、ダンジョン内で復活したが、三人じゃどうにも成らなかったな。


それからはコアに話を聞いて、生き残れる可能性は【D155】に辿り着いてマスターを倒す事だけだと言われたから、必死で南極大陸に辿り着いたさ。


 一緒に居た武器商人が結構便利な道具を開発してくれたから、移動なんかはすべてそいつに任せた。

 もう一人はそいつの連れで、剣の腕だけは俺以上だったが、性格が良くなかったから、あまり親しくはしてない。


 俺たちも近藤さんのダンジョンに行ってから知った情報が多くて、その知識があったらきっと最悪の事態は回避できたのかも知れないが後の祭りだ。


 だが、俺が知っている限り岩崎さんの世界と、藤吉郎さんの世界みたいに人が生き残ってた事は、今まで一度も無いから、何かが変わるのかも知れないな。


 実際、近藤さんの強さは底が知れない。俺より強かったって言ったやつ、岡田以蔵って言うんだが、俺と岩崎さんがやった時と変わらない負けっぷりだったからな。


 あいつは強いやつに対しての忠誠心が凄いから、それ以来は近藤さんにべったりだ。


 もう一人の武器商人は、坂本竜馬って言うんだが、こいつは解らん。

 強いのかどうかもはっきりせんが、いつの間にか人を集めて纏め上げる。

 坂本はとにかく発想が変わってる。


 誰も信じないような大法螺を吹いたかと思うと、次の日にはそれを形にしてしまうような、不思議なやつだ。

 こいつは岡田が負けたのを見て一言『降参ぜよ』といって何もせずに終わった。


 で、結局その世界を救えることも無く、それから数多くの世界を【D155】の中で渡り歩いてきたわけだ。

 色々な世界があったぞ、ダンジョン発生前から魔法の存在する世界もあれば、人類が獣人や魔人と呼ばれる複数種族で構成された世界、科学が恐ろしく発達した世界なんかもあったな。


 それでも結果として、【D155】まで辿り着けたのは、俺以来になったのが岩崎さんだ。


 俺は、近藤さんのことは好きだが、俺の好きな近藤さんと今の【D155】マスターはやっぱり別人なんだよな、倒された場合の世界がどうなるのかに興味がある。俺に見せてくれ世界を救う姿を」


「壮絶な体験をしたんだな。結局世界が崩壊すると、その地球そのものが物理的に崩壊するって言う認識なのか? 」


「俺が聞いた情報では崩壊というよりは、還元されるって言う表現の方が当てはまるのかもな。それまでの世界で形になったJOBやスキルが最初から用意された状態でのスタートが、その次の世界らしいからな、近藤さんが融合しているコアの娘が準備したらしいから、最初からこの最終世界以外は只の実験場だったのかもしれない」


「新八が見る今の【D155】マスターはどうなんだ? 倒したら協力してくれるような奴なのか?」


「何とも言えない、今までの世界でも一貫して、誰も人がいるわけのない南極に【D155】を出現させ続けてるような人だから、只の引き篭もりかも知れないし、何か考えがあるのかもしれない。近藤さんなりの考えがあると思っては居たいがな」


「色々話してくれてありがとうな、一緒に着いて来たら、俺たちが新しい世界を見せてやるから、楽しみにしとけ」


 ◇◆◇◆ 


七月五日 八時


 今日は八十一層からのスタートだ。


 新八に八十五層の中ボスが誰かを聞いてみたが、別に決まった人間がやってる訳じゃなく、その日の気分で居るので、誰かはわからないらしい。

 ただ近藤さんに負けた後で、中ボスになる事を選択したやつらは、自分の好きな街環境を作り上げる魔導具がもらえるらしく、新八が居た江戸の町もそれで作ってたって事だ。


「新八の街には、人の姿もあったじゃないか、あの人達は幻影か?」


「あの人達は元々の近藤さんの世界から連れてきた人達の子孫だな。俺たち以外は普通に寿命もあるし、代替わりもする。ダンジョン内限定だけど、転移門で結構自由に移動してるな」


「それって新八達には、寿命は無いのか?」


「ダンジョンマスターに寿命は存在しないぞ、聞いてなかったのか?」


「まじかよ、思いもしなかったから聞いてなかったぞ」


 その言葉に鹿内さんが激しく反応した。


「それは素晴らしい事だわ、色々な計画が立てられるわね、討伐が終わったら楽しみが増えるわ」


「新八は何年くらいこのダンジョンで過ごしてるんだ?」


「俺は、もう二千五百年位かな近藤さんなんか八千年位だった筈だぞ」


「悪いが鑑定してみたんだが、その間レベルは上がってないのか?」


「このダンジョンは同士討ちが出来ない設定だからな、だから俺は近藤さん達に攻撃できないしレベルを上げることも出来ない」


 そして八十五層に下りると、平安時代の様な世界が広がっている。

 建物は基本的に貧相だが寺社と公家屋敷らしい建物のみは、立派な建物が建っている。


 人の姿は無い。

 中央部分まで進み一際大きな大仏殿の扉を開くと、一人の男が居た。

 黙って通してくれると助かるが、無理なんだろうな?


「下に行きたいんだが、通っていいか?」


「私も長い時を過ごして少々退屈しておりましたので、一手お手合わせを願います。私は安倍清明と申します」


「俺が相手をしてやるよ、陰陽師。かかってきな」と、颯太が立ち向かった。


「一人で大丈夫なのですか? 随分甘く見られましたね、では参ります」


 陰陽術の符術を発動させた清明の横に、巨大な大仏が立ち上がって颯太を踏み潰しに来た。

 颯太は間一髪で避ける。


「すげぇ迫力だな。まぁそれくらいじゃ無きゃ、こっちも燃えないがな」


 構えた大剣が一際赤く燃え上がるような輝きを発し、一気に大仏に斬りかかった。

 立ち上がった大仏の高さは、30mにも及ぶが、颯太はヴォルカノ改から斬撃を飛ばし、あっという間に大仏を、元の形が解らないほどに切り刻んだ。


「まだやるかい?」


 と、言葉を発した颯太が、次の瞬間いきなり空中に吊り上げられた。

 気付かぬうちに全身を念力で作り上げられた糸で拘束されていた。


「注意力が散漫ですね、攻める事に必死で自分の周りが見えてないからそうなるんですよ」と清明に言われ、そのまま呪文を紡ぎながら手を振りかざすと、颯太が手の動きに合わせて振り回され地面に叩きつけられた。


「颯太。大丈夫か? 手伝った方が良いか?」


「ちょっと油断しちまっただけだ。問題ない」


 颯太が立ち上がり、スーパーヒーローの能力を全開にして、念糸を振りほどき、清明に向かった。

 更にレヴィアタンとの精霊憑依を行い、一気に清明を拘束した。


「レヴィアタンって見た目蛇の能力なんですね、ちょっと生理的に無理です」


 と、その姿を見た前田さんが呟くと、達也がフォローを入れてた。


「颯太が落ち込むからそれは思っても口に出したら駄目だ」


 清明が「参りました」と言葉を発し勝負は決した。


「清明さんも一緒について来いよ、新しい世界を見せてやるよ」


 清明も了承し、そしてそのまま九十層を目指す。


 そして九十層。

 そこに居たのは、織田信長だった。


「随分景気良く暴れてやがるな、俺も混ぜろよ」


 と、言いながら、いきなりの大規模殲滅魔法を発動してきた。

 鹿内さんと坂内さんが一瞬で反応して、大結界を張り初撃をかろうじて防ぐ。


「今のを防ぐか、楽しいやつらだな、さぁどんどん行くぞ」


 今度は、ガトリング砲のような武器を取り出し、全方位に向かってありとあらゆる属性魔法を撃ちだしながら、間合いを詰めてきた。


「俺が行く、全力には全力で応えてやるのが礼儀だからな」


 そう言って立ちはだかったのは達也だ。


 アルティメットイージス改で前方に結界を展開しながら、信長の前に飛び出して行き、波動龍砲を曲射で乱れ討ちしながら一気に懐に飛び込むと、ベルゼブブの能力を発動して信長の攻撃をすべて飲み込んだ。


 そして鳩尾に、強烈なパンチを叩き込むと、信長の鎧は弾け飛び膝を付かせた。


 「で、あるか」と言いながら気を失った。


 明智光秀が前に出てきて「大殿ぉおお」と叫んだ。


「どう言う事だ? もしかしてこの信長さんはこの世界の信長さんか?」


「間違いなく、この方は我らの大殿でございます。安土に出来たダンジョンの十層で巨大なミミズに飲み込まれて行方不明になった大殿でございます」


「じゃぁ光秀さんに世話は任せたぞ。今日はここまでで終わる」


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