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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
ダンジョンの真実

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第76話 D155①

七月三日 九時


藤吉郎の世界の大阪城には【D155】の討伐に向けて多くの人々が集まっていた。


「この世界に残されておる洞窟は後一つだけとなり申した。この藤吉郎、皆の者の活躍を大いに期待しておるぞ。これまで鍛え抜き身につけた技を、余すところ無く発揮してくだされ。この世界の神である岩崎様も共に戦ってくださる。勝利は目の前にござるぞ、よろしくお頼み申す『イエスロリータノータッチ』」


藤吉郎の言葉に、集まったこの世界のつわもの達が雄たけびを上げる。


「「イエスロリータノータッチ」」


総勢五百名を超えるレベル千以上まで鍛え上げた面々である。


向かい合うように立ち並ぶ位置には、理を始めとしたダンジョン討伐のための精鋭チームが並ぶ。

藤吉郎から「一言お言葉を頼み申す」と言われた。


「お前ら死ぬなよ、無事に帰ってきて、うまい飯とうまい酒を楽しむぞ。

俺は神様なんかじゃ無いが、みんなが俺を信じて着いて来てくれるなら、全力で期待に応える努力をする。一緒に最後のダンジョンマスターをぶっ飛ばすぞ」


 それに応えて、その場に集まった人々から再び大きな歓声が巻き起こった。


まず、討伐班の三十人だけで【D155】に向かい、ダンジョン内に転移門を設置することにした。

南極大陸なので、ダンジョンの外では身動きが取れなくなる為だ。


討伐班は全員環境適応の出来るバトルスーツを身につけているために、寒さは問題にならない。


討伐班のメンバーは、オーストラリア大陸のダンジョン跡地に転移移動した。

そこからマップに表示されている、南極点に向けてG.Oで移動をする。


一時間も掛からずに南極点に到着した。

「モンスターが見当たらないな、あいつらも寒さは苦手とかあるのかな? 」


ダンジョンの中に入っていくと、【D155】の一階層は日本の江戸時代っぽい街並みが広がっている。


「どういう事だこれは、ダンジョンの中に街が広がるとか今までになかった事だぞ」

「しかも、人らしき姿があるぞ、とりあえず聞いて見るしか無さそうだな」


達也と颯太が、侵入するといきなり広がっていた街並みを見て言葉を漏らした。


「幻影を見せられてるとかじゃないだろうな? これは大人数だと警戒をされるだけだろうし、俺と達也と颯太以外はあ【G.O】で待機をしていてくれ。何かあれば念話で連絡をしてくれ」と、伝え街に向かった。


 街に入るには、関所のような場所を通らないとならない。

 役人らしき人物が二十人程出てきた。


「お前達は外の世界からここに来たのか?」


 代表らしき人物が話しかけてきた。

 颯太が答える


「その通りですが、ここはダンジョンじゃないのでしょうか? 」


「大昔はそう呼ばれる場所で合ったらしいが、今は人々が暮らす街となっておる。貴様らはこの街を攻めに来たのであろう? そう言う言い伝えを聞いておる」


「確かに私たちの目的はダンジョンの討伐で、ここにモンスターを倒しに来たのですが、決して人と戦いに来たわけじゃありません。状況が理解できませんので話を伺う事は可能でしょうか?」


「そうか、ただ攻撃してくるだけの馬鹿じゃ無いようだな。何千年ぶりだったかなここに人がたどり着いたのは」


代表の男がそう言うと、視界が一変した。

今まで江戸時代のの町が広がって見えたような光景は、一瞬にして消え去り、草原地帯へと変貌した。


「俺が、この【D155】のマスターだ。俺も長い間この中で過ごしてたから暇でな、色々仕掛けを作ってみた。お前ら中々強そうだから楽しみにしてるぞ。一番下で待ってる。俺の名前は近藤って言う。ここのダンジョンはモンスターも居るが、今まで俺に挑んできたそれぞれの世界の強いやつらも、下のほうの階層に中ボスで過ごしてるからな、全部倒してたどり着けたら相手をしてやるよ」


「ちょっと待ってくれ、中ボスで過ごしてるのってモンスターじゃなくて人間なんだよな? 倒さなくても先には進めるのか? 無駄に人と争うつもりは無いぞ? 」


「面白いな、まぁ人間だけどみんな結構な戦闘狂だったぞ? 俺は別に関知しないから、自分たちで考えて戦うなり、仲間に加えることが出来るなら、そうするなりしてみりゃ良いんじゃねぇか? 俺に用があるなら実力を示してみろ。俺を倒せるほどの力があるなら、聞いてやる。それじゃあな」


 それだけ伝えると、近藤と名乗った男は消えていった。


「どう思う? しかし近藤か、あいつの格好そのまんま新撰組の格好だろ? 別次元で現れた幕末期の連中が出て来そうな予感がするな」と、達也が問いかけ、俺達はそれぞれの感じた事を言った。


「土方や沖田とかもいるのかな? 会ってみたいぜ」


「どっちにしても進むしか無いな、上手く行けば戦力を増やしながら進めそうだしな」


転移門の設置を行い、大阪城で待機していたメンバーも呼び寄せて、ダンジョンの探索を始める事にした。


「【D155】マスターがいきなり姿を現したんですか?」と、俺達の話を聞いた鹿内さんが聞いて来た。


「本人がそう名乗っただけだから、本当はどうなのかは、行って見ないと解らないけどな。でも嘘をつく必要も無さそうだしそうなんだろうな」


「理性はちゃんとあるみたいですね。でも中ボスが、別次元の世界で【D155】に挑もうとする位の実力があるんなら、簡単では無さそうですね」


「仲間に出来る可能性があるなら、悪い事ばかりじゃ無いさ」


「どっちにしても低階層の中ボスで出る可能性は低いと思うぞ、本番は百層くらいからだろうな」


その日は、順調に五十層まで進み初日の討伐を終えた。


 ◇◆◇◆ 


七月三日 二十時


「明日は八十層くらいまでは行きたいな、戦力的には余裕だがこの【D155】はワンフロアの広さが半端無いよな」

「階層毎にどんどん広くなっていますから大変ですよね」と、東雲さんが同意する。


 その会話を聞いた真壁さんが問いかけて来た。


「それってですね、既存のダンジョンももしかしてフロアの拡張が出来る方法が存在したりするんですか? 」


「今のところ方法は聞けてないし、出来るかどうかも、はっきりしないな」


「理が言ってた【D1】コアの話に、ダンジョンは始まりの世界に存在していると言う内容があっただろ? そこにダンジョンがあると言うことは、始まりの世界は崩壊する事無く残っていると言うことだ。そこに行けば、ダンジョンを拡張する事も出来るんじゃないかな?」


「始まりの世界か、区切りが付いたら行ってみてぇな」


 と、颯太と達也も始まりの世界に興味津々のようだ。


「歴史大好き女子だった私としては、幕末の英雄たちに会えるとか羨ましいです。新撰組があるなら、竜馬さんや高杉さん達も居る可能性ありますよね? 」


 そう言ったのは文部科学省出身の今井さんだ。

 確かに日本史が好きな人達には、たまらない環境なのかもね?


「可能性で言えば誰だって可能性はある。イエス・キリストやシャカやアラーが現れる可能性だって無いとは言えないぞ」


「神様系は理だけで十分だぞ」と、颯太が言ったけど、マジで神様とかは勘弁して欲しいな。


「でもあの人数で『イエスロリータノータッチ』って叫ばれると、段々有難い言葉に思えてきましたよ」


「それは……」


「どういうシチュエーションで藤吉郎さんに岩崎さんが伝えたのかは解らないけど、心に刺さる言葉だったんでしょうね」


 前田さん東雲さん鹿内さんが、今日の出発前の藤吉郎の行った壮行会で叫ばれた言葉に、それぞれの思いを語ったが、実際俺もあの経文だけは、ちょっとどうかと思うぞ確かに……


 ◇◆◇◆ 


「夢さんに子供の面倒を見てもらえるのは本当に助かるわ、でも八人も面倒見るの大変でしょ? 私の両親も、マンションに住み着いちゃったから手伝わせるわね、ダンジョンで若返りしながら、孫と遊ぶ時間を作りたいんだって」


「そんな、鹿内さんのご両親にお手伝いなんて頼めませんよー、遊びに来てもらうだけで十分です」


「悪いわね、邪魔なようだったら遠慮せずに言ってきてね」


「最近は萌と桜ちゃんも手伝ってくれるから、結構余裕あるんですよ」


 ◇◆◇◆ 


七月四日 八時


 今日は五十一層からのスタートだ。

 圧倒的な人数でどんどんと探索を進めて、今日の予定の八十層まで到達する。


 そこには最初に一階層に突入したときと同じような、江戸時代っぽい町が広がっていた。


「これは、達也と理と三人だけで行こう。指示は念話で伝えるから、転移門を用意して直ぐ脱出も出来るようにしておいてくれ」と、颯太が指示を出した。


 三人で町の中に向かって歩みを進める。

 関所のような門に着き問いかける「近藤さんは居るのか?」


 関所に居た新撰組の隊士の様な格好をした人物が返事をする。


「ここにはいらっしゃらない。俺は局長に伝言を頼まれてきただけだ。ここから下の階層は局長を慕って集まってきた者達が侵入者を迎え撃つための階層が五層毎に用意されている。『俺を楽しませろ』と伝えるように言われた」


「一階層で近藤さんに会った時には俺に挑んできた奴等が中ボスで居ると言ってたが、今の話だと慕って集まってきた者達になってるが何故だ? 」


「局長の強さに心酔して自ら残る道を選んだ物たちだ。俺もそうだがな。この下の階層に向かうにはまず俺を倒してみろ、三人がかりでも五百人全員でも良いぜ、楽しませるんならな」


「俺は永倉新八だ。この先の階層でも新撰組の連中は何人も居るが、みんな出身世界は違う。近藤さんも俺の知ってる近藤さんとは違うが、強さがすべての世界だからな」


「そうか、俺が相手してやるよ。一人で十分だ。但し俺が勝ったら俺たちについて来い、話し相手になってくれりゃ良いぞ。色々聞いておきたい」


「えらい自信だな、それじゃぁいくぞ」


 ◇◆◇◆ 


『永倉新八』一説によると、新撰組最強の剣客である。後年隊士の一人が語った話では一に永倉、二に沖田、三に斉藤と言うのが、隊の中では通説であったらしい。


 だがそれは、今回の討伐ではまったく当てはまらない。

 レベルや所持スキルで強さはまったく変わるからだ。


 ◇◆◇◆ 


 理は身体強化をかけ、ルシファーのスキルを発動させた。

 精霊憑依をした状態の理の動きを、永倉は捉えることができずに、一瞬で首筋にプルート改を突きつけられた。


「まだやるかい? 手加減が難しいから次は首落としちゃうかもしれないが」


「早いな、ふむ解った俺の負けだ。取り敢えずは付いて行こう。どうせもっと面白い技いっぱい隠してんだろ? 今ので付いていけないんじゃ俺には無理だ」


永倉を仲間に加えた所で、二日目の探索を終了した。


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