表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
第三章 俺の守りたいもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/134

第63話 北九州再開発

十月十五日 二十時


 今日は明日からの開発に付いての打ち合わせで、澤田さん、藤崎さんも来ている。

 半兵衛さんたちもすっかりこちらの世界になじみ、ぱっと見では現代日本人そのものである。


 そろそろ肌寒くなってきて、今日は京都から甘鯛と松茸が届いている。


 真壁さんが、まず育成環境などを説明してくれた。


「既に赤松の育成は行っていますので、松茸のダンジョンでの生産も問題なく出来ます。これまで高級食材と言われてたものでも安定供給が可能になりますから、豊かな食生活と言う意味あいでは、ダンジョン発生前よりも恵まれた状況になりそうですね」


調理を担当した東雲さんが、他の女性陣と一緒に料理を運んできた。

最近の東雲さんは料理人JOBもかなりレベルが上がって、作る料理も隔絶したレベルで美味しいから毎日が楽しみだぜ。


「今日は甘鯛と松茸のシャブシャブを用意しましたよー、お出汁も昆布と甘鯛のアラで取りましたから旨みがギュッと濃縮されて凄く美味しいですよ。後は松茸ご飯と松茸のホイル焼きです。酢橘を絞って召し上がってくださいね」

「ホイルを開いた瞬間の香りの立ち上がり方が凄いな、これは食欲をそそる」


「甘鯛に火を完全に通さず半生くらいで食べるしゃぶしゃぶも絶品だ、うまいな」

「松茸ご飯にこんなに大きく切った松茸が入ってるの始めてみたぞ、味は勿論だが心が豊かになるぞ」


 今日六本木のスタンピード以来初めて西山を見た三浦が口を開いた。

 彼は西山中隊の中で唯一生き残った班長である。


「事件の以降久しぶりに西山さんと会いましたが、何処からどう見てもそのままなのに、醸し出す雰囲気が違いすぎて結局何も声を掛けることが出来ませんでした」

「彼は西山の姿をしているだけで意識は完全に【D9】コアだから別人だよ。声を掛けたとしても三浦の事に対して記憶を持ち合わせてなかったはずだ」


「俺に対しても『お初にお目に掛かります』だったからな、西山ならお久しぶりですだろ」

「そうですね、気にしないようにします」


「だが、彼は何か自分なりの答えを見つけているのだろうな」


 確かに再び姿を現した以上は、一緒に行動する事に理由を見つけたとしか思えない。

 果たしてその理由は何なんだろうか


 ◇◆◇◆ 


 藤吉郎の世界から来ている五人も随分この世界に馴染んできたようだ。


「半兵衛さんは勉強は捗ってるのかい?」

「そうですね、もう向こうの世界でどう舵取りして行けば良いのかは、自分達なりに答えは出ましたが……」


「何故そこで止まった?」

「ここの生活が快適すぎまして、帰ってから耐えられるのかに自信がありません……」


「俺もずっとここでお世話になりたいです」

「せめて今見てるアニメのシリーズが、最終回を迎えるまでは帰るのは無理です」


「向こうでも見れるならいいんですが」


 ヌルハチ、兼続、清起、四郎達もそれぞれに、口を開いたがどうやら駄目な方向に成長してるな。


「これ以上こっちにいると本当に堕落してしまうな、明日一度連れて帰るぞ。どうしても見たいのは録画して届けてやるからそれで我慢しろ」

「私が聞いておくわね、リクエスト」

 と、半兵衛たちの世話係をしていた沙耶香が言った。


「便利な生活を知ってしまうと、人間って変わってしまうものなんですね。あのカチカチだった半兵衛さんがこんな風だとは」

「こちらの世界で知りえた娯楽の文化は、あちらの世界に持って帰ればそれこそ文化大革命が起こりますよ。藤吉郎様が好きそうなちょっと薄い本などは、お土産に持って帰ってもよろしいでしょうか?」


「辞めて置いた方がいいと思うぞ、確実に引き篭もるな」

「後ですね…… 経文の本来の意味を把握してしまったのですが、これはどうしたらよろしいと思われますか?」


「俺は知らん、勝手に藤吉郎がやっちまった事だろ」

「平和な感じがするからいいんじゃねぇか?」


 達也は、他人事だと思って楽観的な意見を言った。


 ◇◆◇◆ 


「色々と問題が山積みのようですが、開発の方もお願いします。北九州の全体的な図面が完成しております。完成時には五百万人が生活する国際都市へと変貌します。今回は開発のテストパターンとして、全て岩崎さんの所有物のまま都市全体を作り上げてしまい、国に対してリースをして頂くような形でお願いしたいのですが」


 澤田さんが図面を前にして、俺に話しかけてくる。


「その辺のことは良く解らんから、澤田さんに任せるぞ。三週間あれば大抵のことは終わるだろ」

「私の方からは、市内の交通手段の事でして、元々小倉ではモノレールを活用していましたが、基本的にそれを全域で導入しようと思います。物流に関してもトラックは利用せずに、国営の物流会社を設立して収納バッグと電気自動車で行う予定ですが。既存の電気自動車より効率の良いものがないかと思いまして」


 そう言いだしたのは主に環境問題を担当している、藤崎さんだ。


「モノレールは今更無いだろ? 駅の場所に転移門置くだけで十分じゃねぇかよ」

「今ならかなり低コストで出来るぞ。たっぷりと向こうの世界でドロップ集めてるからな。必要数を出してくれ。それを設置する」


「転移門がそんなに簡単に用意できるんですか? 今世界中からの需要が殺到しておりまして、島長官に複製を頼んでいるものだけでも、到底魔核のポイントが足らない状況なのですが?」

「颯太、転移門の複製っていくらかかるんだっけ?」


「今は一千万ポイントだな一個当り二十億円だ」

「俺が作ったら今は一万ポイントとモンスター素材だから原価はせいぜい三百万円だな。だが世界の需要を俺が間に合わせるような事はしたくないし出来ないから、北九州の内部のみだ。乗り物って言うか車はちょっと庭に出てもらえるか? 暇つぶしに造った改造車だが」


 庭で理のハイエースを出す。


「これな、ディーゼルエンジンだったんだが、向こうの世界にいるときどうせ軽油手に入らないからちょっと改造したんだ。魔核で直接発電させて魔核1ポイント当り五百キロメートルは走る。

パワーなんかは殆どそのままか、少し性能がいいくらいで、音も静かだしな。


この性能で改造費用的には魔核五百ポイントとミスリル銀1個だけだ。

ミスリル銀の価格がわからないが、俺は錬金で出来るから殆どただみたいなもんだ。

新車で一台作って颯太の複製で価格決めるか?」


「本当に何でもありだな、マイケル達ここで見たり聞いたりした事国に言うなよ。価格崩壊しちまう」

「国に言ったとしてもOSAMUしか造れないんじゃ何も変わらないですYO。OSAMUは【DIT】以外に直接売ったりしないしNE」


「それならいいか」

「ネックはどっちにしても量産する事にあるのか。何かいい手はないかな」

 と、達也が言うと、前田さんが手を上げて話し始めた。


「あのですね私今日レベル500を越えて、覚醒JOBでものまね師って出たんですが、同じ作業の繰り返しであれば、例えば直前に岩崎さんが何か作ると、それまねしたら同じ事がずっと出来るみたいなんです」

「それある意味凄くないか? 理の攻撃とかも真似できるのか?」


「それは、装備もステータスも全く違うから、役に立たないと思います。あ、召還魔法はいいかも」

「今度それ試してみよう。ヴァハムート一日一回しか呼べないけど、二人で使えれば凄いぞ……あれ? 何度も繰り返せるって言ったよね、召還もそうなのかな? もしそうなら俺よりも強いかもしれないぞ。一回だけなら俺とヴァハムートで戦っても何とかなるが、連発されたらとてもじゃないが自信ない」


それを聞いていた颯太が早速指示を出した。


「今鹿内が妊娠してるから討伐参加してないし、前田は今度の討伐から参加してくれ」

「了解しました」


「前田さん、今岩崎さんに転移門一つだけ作ってもらったら、連続でその後作れるって事?」

「まだやってないから絶対とは言えませんが、恐らく大丈夫かも?」


 その後理が一個作って、材料だけ用意してやって貰うと、無事に連続で作れた。


「前田さん明日はここに篭って一日転移門作ってください。材料だけ用意します」

「一日中とか嫌ですよ、それに途中でトイレとか行ったら途切れちゃうし」


「一緒に北九州に着いて来てやればいいじゃねぇか、途切れたら又俺が一個作ればいいだけだし」

「それならいいですよ」


 ◇◆◇◆ 


「明日は一日中一緒に居られますね」

「おう、そうだな正確には今晩からか?」


「私も早く赤ちゃん欲しいから、今日はいっぱい頑張りましょうね」

「明日、色々いそがしいだろ、早く寝ないと辛いぞ?」


「ポーションいっぱい用意してるから大丈夫ですよ! いただきます」

「おわふ」


 ◇◆◇◆ 


十月十六日 八時


 朝一番から澤田さん、藤崎さん、前田さんと共に理は北九州を訪れていた。

 見渡す限りが荒野で、所々に瓦礫の小山と、新しく運び込まれている建設資材の小山があるだけである。


「【DPD】と【PU】が頑張ってくれたので、北九州防壁内部には既にモンスターは全く存在しません。岩崎さんが、斉藤ギルマスに預けていただいたURのバッグが大活躍でした。現在は同じ手段で東京を含む関東一帯を開発中です。まだ外堀も満足に出来上がっていないですけどね」


【G.O】の中でPTを組んだ状態で理が転移門を一つ作り、素材を大量に取り出した。


「前田さんはここで頑張って転移門造っててね、途切れたら呼んでくれればいいから」と伝える。


 澤田さん、藤崎さんと共に船外へ降り立つ。

 澤田が大量の設計図の束を収納バッグから取り出し、


「お渡しする順番に建造物をお願いします」と言ってきた。


 藤崎さんが区画を指定する中に大量の瓦礫を再利用し建築物を建てる。

 最初に造ったのは、総合庁舎となる高さ80メートル幅80メートル奥行き80メートルの円柱形のビルだ。

 

 図面をスキルに認識させ素材を指定し、実行をする。

 五分ほどで設計図どおりの巨大なビルが建設された。

 地下の基礎部分が必要なため、建造物の高さは、この80メートルと言う高さが精一杯に成る。

 縦横に関しては、隣接して建てていけば、問題なく繋げられるので実質制限は無い。


「知ってはいましたが、凄いもんですねぇ。瓦礫の山が新築ビルになるなんて」


「やりましたね。これで建設が可能な事は確認できましたから、初日の今日はこの中央部分から20㎞範囲ごとで区切り、地下にインフラ用の電気、通信、上下水道管の設置をしていきます。出来ればこれを本日中に終了させたいと思います。深さは地下15メートルの位置でお願いします」


 そして、初日の工事を終えた。

 前田さんも今日は凄く頑張って転移門を一日で500セットも生産してくれた。

 明日は地下インフラの点検を入れる予定になり、関東の外壁を頼まれた。


 ◇◆◇◆ 


十月十六日 十八時


 一度自宅に戻り、半兵衛さんたち一行を藤吉郎のところへ連れて帰った。

 みんな名残惜しそうに目に涙を浮かべていた。

 その涙はきっと……アニメへの未練だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ