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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
第一章 ダンジョン黎明期

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第28話 引っ越し前夜

九月九日 九時


「おはようございます。岩崎さん」

「あーおはよう。今日は今から本部に行くよ。ちょっと生産頑張っていっぱい作ったから念話機一つ渡しとくね。指輪型だけど決して告白してる訳じゃないからな」


「告白でも全然OKなんですけどね…… 私は少しインフラ系の手配をしてから向かいますね。今なら【D特区】内に業者さん揃ってるから、優先でやってもらいます」

「じゃぁ頼むね」


 【DIT】本部に着いてすぐ、颯太に念話で確認する。


『もう本部に来てるけど、どこ行ったらいいかな?』

『早かったな、執務室に頼む。』


 颯太の執務室をノックして入る。

 今井さん、森さん、織田さんの三人が居た。


「おはようございます岩崎さん。昨日はご馳走様でした。今、昨日森さんに渡した翻訳機の価値を相談していたんです。未知の言語ですら対応出来るので、価値が高すぎて値段が決められなくて困っていますよ」

「値段は任せるよ。そこまで気に入ってくれたんなら何よりだ。颯太。転移門はここで作るでいいのかい?」


「すぐ魔核持ってこさせるな、一回一万ポイントで成功確率10%だったな。十万ポイント分持ってきてもらおう」

「結構ためてるんだな、どれくらいあるんだ?」


「五十万ポイント分くらいあるはずだ。【PU】が頑張ってくれてるからな。今日から増員分の百八十名が着任したから、今からは、もっと獲得ペースが上がるぞ。明後日には【DPD】の二百名も着任する。理、ダンジョンの探索をフリーに設定しておいてくれないか? 一々許可出すの大変だろ」


「OK。それなら気兼ねなくチャレンジできるぜ。ダンジョンの許可の事は了解した。やっておくな」


 転移門は、七回目で成功した。

 出来上がったのは透明なビニールシートで、そのまま広げただけでもちゃんと直立する不思議アイテムだった。


 二枚を部屋の端と端に設置して、俺がビニールシートに向かって歩くと、抵抗無くすり抜けて、もう一方のシートから出てこれた。


「成功だな」

「すげえな! ちょっと頼みがある。東京まで一往復頼んでいいか?」


「言うと思ったぜ。しょうがないなタクシー代高いぞ」


 転移で東京駅に飛ぶと、颯太はタクシーで国会議事堂に向かったので俺はそのまま戻った。


 俺が【D特区】の颯太の執務室に戻って、二十分後にこの部屋の転移門から颯太が現れた。

 何故か総理も一緒に……


「凄いね、これで俺も飲み会に参加しやすくなったな」

「総理、普通に緊張するから遠慮します」と俺は思わず言うと……


「たまには、混ぜろよ」と笑顔で言って再び転移門で戻っていった。

「悪い、少しびっくりさせたな。戻ったらちょうど総理と会って、勝手についてきた。執務室の横のウオークインクローゼットに張ってきた。鍵がないとこはちょっと不安だしな。さて、理は商売の時間だな。他にも今日は持ってきてるんだろ? ちょっと澤藤さんと遠藤さん呼ぶな」


 二人が来たので、商品を広めのテーブルの上に出していく。


 ◇◆◇◆ 


翻訳機   五個


念話機   R    五個

      HQ   十個

      N  二十五個


収納バッグ SR   一個

      R   五個

      HQ 十五個

      N  三十個

エリクサー     一個

エクスポーション  三個

ハイポーション  十五個

ミドルポーション 三十個

ポーション  二百五十個



万能薬       二個

カースキュア   十五個

ストーンキュア  三十個

ポイズンキュア 百五十個


カンガルーバトルスーツR  二十着

カンガルーバトルスーツHQ 八十着


「取り敢えずこれだけだけど後は特別欲しいのがあったら、東雲さんに言っておいてもらえれば気が向いたときに作るから」


流石に今回の納品の量には驚いたようだ。


「エリクサーも作れたのか! 翻訳機と転移門も値段決めてないから後でいいか?」

「おういつでもいいぞ。それじゃぁ俺は帰るな」


 執務室を出ると、ちょうど東雲さんが来たところだった。


「もう終わったんですか? 早かったですね」

「まぁ作ったのは転移門一つだけだし後は納品だけだからね」


「インフラの接続はお昼の十二時からしてもらえます。建物の外の接続だけだから比較的簡単らしいですけど上下水道とガス管が地下から繋ぐので穴掘りだけしてほしいそうですよ。


後は電気やガスの工事で、許認可が必要な内容があるので、一応有資格者の検査確認をしてから、使用してくれと法務関係の大島さんが、言っていたからその手配も済ませました」


そんな話をしてると達也がやって来た。


「理。昨日言ってた発電機の件は藤崎が詳しいらしいぞ。話を聞いておいてくれ」

「俺だけじゃ理解出来ないかもしれないから、東雲さんも一緒に聞いておいてね」


「了解です」


 藤崎さんに連絡を取って話しを聞いた。

 要は、火力発電と同じ様な水蒸気を発生をさせる施設を作れば、何とかなりそうだな。


 ん? 水蒸気もタービンを回すために存在してるんなら、魔核エネルギーで直接タービンを回せばもっと効率が上がるよね? 発熱も少ないだろうしきっと最近よく言われてるクリーンエネルギーな筈だ。


 魔導具の錬成で作れば強度も桁違いだし、かなり小型化しても十分な発電量が確保できると思う。


 火力発電所で一基、毎時百万kwくらいの性能らしいから、試しに一基作ってみようかな。


 ◇◆◇◆ 


九月九日 十二時


 上下水道とガスの接続は建物の外までは出来上がっていて、引き込みから繋ぐだけなので、庭の部分をスキルで掘り下げ繋いでもらった。電気と電話回線は電柱からの引き込みなのでそんなに時間は掛からなかった。


 内部の検査も問題ない様で、これで無事に住める状態になったぜ。


 上下水道の引き込みが終わる頃には、昨日買い物した大量の家具と家電が届いたので、各部屋に配置して貰っていたら十八時過ぎまでかかった。

 ベッドとかワイドキングサイズって、横幅のほうが縦より広いんだな。


 一人なのに余計にむなしくなるぜ。


 取り敢えず、電気、ガス、水道と電話回線

のチェックをして問題なさそうなので古いほうの家に戻った。


「土地の件ですが先日報告させてもらった部分は、無事に取得できましたので明日正式な契約になります。現在D特区から西側の方も南北三キロメートル東西二キロメートルに渡って取得予定がありますが、そちらも岩崎さん買っちゃいますか?」

「俺の持ってるお金で足りるの? そんな広いところ」


「海岸、山林、田畑が全体の90%以上ですから、十分取得可能ですね。あの土地を普通に開発すると通常の方法では、開発費の方が土地代より全然高くなりますけど、岩崎さんならその心配が要らないからお得ですよ」

「そう言えばさ、俺最初に買った土地が、いくらなのかも聞いてないや。いくらだったの?」


「最初の土地は三百万平方メートル坪数で九十一万坪程です。坪当たりの平均単価は八千円で取得しましたので、七十二億七千万円くらいですね」

「桁が多すぎて良く解らんぞ」


「このあたりの海岸線に面した土地は、東南海地震が起きた場合の被害が大きくなりそうな場所なので、土地の便利さの割には今安いですからね」

「そんなのも影響があるんだな。そろそろ達也と颯太が来るかな?」


「今日は私もご一緒させていただきますね」


 ◇◆◇◆ 


九月九日 二十時


 いつもの様に颯太と達也が現れた。


「理おつかれー。今日もいっぱい稼いだらしいな」

「今日は宮崎の焼酎だ、うまいぞ。それとな今日納品したアイテム総額が、三百四十三億八千六百五十万円だな。明日振り込んでおく」


「もう訳がわからん金額だな」


「空母一隻作ったら五千億円超えるからな、それに比べりゃ安いもんだよ。価値は空母よりよっぽど高いしな」


 今日は、大島さん、前田さん、遠藤さんが一緒に来ていたが、玄関に飾ってあったウサギさんシリーズの装備を付けた写真を見て、大島さんが赤面していた。


「本当に飾ってるんですか? 勘弁してくださいよ。今日はご一緒させていただきますね。ちょっと確認しておきたい事もあるので」


 早速、東雲さんと前田さんで、料理を始めてくれてた。


「大島さんの確認したい事って?」

「今後増えてくるであろう探索者も含めての、税金と【DIT】の手数料のお話ですね」


「あーこんなに稼いだら、当然凄い金額取られるんだろうね」


 颯太が、閣議で決定した手数料の割合を教えてくれた。


「それに関しては、今後探索者を増やしていくのに、やる気をそがないように一律金額で決定したぞ、探索者から【DIT】が買い取った金額の一律25%だな。内訳は、DITの手数料が10%、国税が10%、地方税が5%だ。ギルドカードの登録情報で処理されるから取りっぱぐれも、無くなる」


 出来上がった料理を並べながら、前田さんが計算した金額を教えてくれた。


「と、言う事で明日振込みさせていただく金額は、今日の分が二百五十七億八千九百八十七万万五千円ですね。前回までにお支払いさせていただいた分の、税金と手数料を一緒に引かせていただいて、二百三十五億三千九百八十七万二千六百十五円の振込みになります」

「まだ一般探索者が理だけ、だったからな。法の整備が先に間に合って一安心だ」


「さっき話していた土地余裕で買えますね、取得しちゃいましょう」と、東雲さんが言い出した。


「あの土地は津波対策の防壁工事とか完成したら価値が上がるぞ。普通に予算計上したら、とても折り合いがつかないけどな」

「理は土地の整備が自分で、出来るからいいな」


「俺に何をさせたいんだよ、まったく」

「そういえば、理に何かあった場合の相続とかは誰になってるんだ?」と、颯太に聞かれた。


「今まで貯金も無かったくらいだから、そんな事考えた事もねぇよ。俺が死んだら別れた嫁さんの所に居る子供に全部やるでいいよ。今は高校一年生の筈だ」


 その話を聞いていた大島さんがアドバイスをくれた。


「法的な観点から言うと、きちんと書類に残しておいた方がいいですね。額が巨大だと色々変な血縁者が沸いて出て揉めたりしますから」

「明日法律事務所に連絡して、書類作っておきますね。土地の登記とかでどうせ行きますし」


「お子さんとは、たまには顔を合わせたりしてるんですか?」

「いやぁもう七年くらい会ってないな。前の嫁さんも再婚しちゃってるから会わせるの嫌がってたしね」


「今お父さんが、こんな大富豪になってるとか聞いたら、ビックリでしょうね」

「一度会ってみたらどうだ?」


「もう連絡先すらわかんねーよ」

「そんなの調べりゃすぐ解るさ」


「まぁ考えとく」

「取得された土地の活用方法ですが、発電施設の計画もされていると伺ってますが、もし成功して稼働出来ればこちらからも色々提案させていただきたいです」と、遠藤さんが言って来た。


「まだ作っていないから、出来たらですけどね」


 ◇◆◇◆ 


 その日、寝る前に今日会話に出て来た事を思い起こし気になる事があった。


『ナビちゃん。ちょっといいかな』

『いかがなさいましたか? 理様』


『俺が死んじゃったりすると、ダンジョンはどうなるの』

『それは、お答えできません』


『えー気になるじゃん』

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