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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
第一章 ダンジョン黎明期

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第22話 DITのお仕事

九月一日 九時


 昨日までにダンジョン特区を囲む外壁もほぼ完成していた。

 東西一キロメートル南北三キロメートルを、海のある南側を除く三方向を高さ十メートルの白い壁が囲む形だ。


 よくこの短期間でここまでの物が作れるもんだと感心しながら、TBと一緒に歩きながら眺めていた。


 今日は【DIT】に所属する全メンバーと、住民の中からこの地域に残留する事を決め、ダンジョン属になる方々百二十名が全員集まり、IDカードの配布と、この地域の正式な発足を発表する式典が行われる。


 報道関係も来ていて、かなりざわついている。

 定刻を迎え、まず颯太がが壇上に立ち挨拶をする。


「本日からこの地域は、正式にダンジョン特区、通称【D特区】としてのスタートをきりました。【D特区】はこれから先、日本の医療、エネルギー、新たなるテクノロジーを支える、最重要区域として国の根幹を支えて行きます。皆さんは、その船出を共に迎える事が出来た仲間として、これから先、協力し合い、豊かな日本を作り上げて行くために力をお貸しください」


 続いて達也が壇上に上がり、


「【D特区】を正式にスタートするに当たり、今後の予定を発表させて頂きます。まず本部庁舎の建設。この地域の海側に、東西五百メートル、南北一キロメートルの敷地を使い、地上二十階層、地下五階層の本部施設を建設します。完成時には総勢三千人を超える人員が活動し、世界の最先端の技術を産み出し、管理する為の施設となります。来年三月の竣工予定で既に整地に入っております。


次に、ダンジョンの一般開放に向けての支援組織、ダンジョンギルド通称【DG】の創設に関して説目させて頂きます。

ダンジョンで活動する事により、人は超常の力を手に入れます。

法治国家であるわが国は、野放しに超常の力を手に入れる事の許可を出しません。

登録と試験制度により、ダンジョン内の探索許可を出します。


ただし、ダンジョン内での活動を行う事により、一般社会での活動制限などが課される事も、十分に理解して頂くことになります。

すべてのスポーツ競技会への参加の禁止などがこれに当たります。

一例を挙げますと、ダンジョン内ではレベルと言う概念が存在し、それによる大きな身体能力の増加が起こります。


先日こちらで参考データを取った結果を報告します。


LV1で100mを15秒で走れた方の場合のデータです。

LV2で10秒台

LV3で9秒台

LV4で8秒台

LV5で7秒台


と言う数字を出しております。

当然既存のスポーツは成り立ちません。


プロスポーツ選手に置いても、ダンジョン内での活動が確認された時点で、所属団体との契約の強制解除となります。

正式な【DG】の発足は一月後十月一日からになります」


 ここまでで一度休憩に入り十五分後に再び式典は再開した。


 ◇◆◇◆ 


 颯太が前方に立ち会場全体に聞こえるように話し始める。


「ただいま、内閣総理大臣、大泉洋二郎が式典に参加する為に駆けつけましたので、紹介させていただきます」

「ご紹介に与りました内閣総理大臣、大泉です。皆さんの新たなる一歩のお祝いに参りました。皆さん。この場に参加してくれてありがとう。そしてこれからの日本の未来を、皆さんが大きく担うと私は信じています。よろしくお願いします」


 大泉は、続けて喋り始めた。


「この場に、せっかく報道の人もたくさん来ているから、私から少しだけお知らせをさせて下さい。

【DIT】は機関として単独で省庁扱いになり、職務の【DIT長官】は国務大臣となります。


もう一点。

ダンジョンギルドも単独で省庁となり、職務の【ギルドマスター】も国務大臣となります。


【DG】に直属機関として(Special Dungeon zone Police Department)ダンジョン特区警察局 通称【DPD】を創設します。


関連の主要人事を発令します。

 

【DIT】初代長官      島 颯太

【DG】初代ギルドマスター 斉藤 達也


【DPD】初代局長      上田 泰造

【DIT】実働部隊司令     相川 拓也


 島、斉藤の両名は当面、官房長官、防衛大臣の職務を兼任となります。

 それでは私は、東京に戻ります」


 大泉総理がが帰って行き、その後IDカードの配布を行って散会となった。


 このIDカード無駄にかっこいいよな。

 黒いチタンコーティングの金属プレートにSpecial Dungeon Zoneと金色の文字で入っている。

 裏面に個人認証のICチップが嵌っていて、提携銀行の口座と連動させることが出来る。


 【DIT】との商取引は今後このカードでのやり取りとなる。


 しかし、今日の式典、まさか総理大臣来るとか思わなかったな。

 まぁ区切りとしてやらなきゃならないんだろうな。


 十二時前には式典も終わり、帰ろうとしていると「こんにちは」と声が掛かった。


 佐千原さんだった。


「岩崎さんは【DIT】でのお仕事は、決まったんですか?」

「一応決まりましたよ。区域内の環境美化をやります」


「そうなんですねぇ、私は区域内に出来るショッピングセンター内での勤務です。住民の方はIDカードを提示すると生活必需品に関しては30%OFFになるらしいですよ。オープンまでは三週間程そのショッピングセンターの系列店舗で研修になるので、ここからチャーターバスが出るそうです」

「そうなんですね。お互い頑張りましょう」


「お昼はどうされるんですか? 良かったら一緒にどうですか?」

「そうですね、ご一緒させてください」


 ダンジョンゲートの傍に出来た、ファミレスで食事をした。

 TBは横に座ってあくびをしていた。


「岩崎さん。なんだか若返っていませんか? 以前から素敵でしたけど私の認識では四十台程度の人だと思ってたんですけど、今改めてこうしてお会いしてみると私と同世代に感じるんですけど、何か秘訣みたいなのがあるんですか?」

「きっと気のせいですよ、若返る方法なんかあるなら、みんな大喜びでやるでしょ?」


「そ、そうですよね。何馬鹿な事言ってるんだろ私」


 やっぱり知らない人が見たら俺って怪しさ満載だろうね。

 今日の予定は昼はダンジョンに潜り、夕方からは生産作業だな。


 ◇◆◇◆ 


九月一日 二十時


「理、今日はボア肉で焼肉やるぞー」

「午後から狩を続けてレベル30まで上げたぞ。報道の連中の質問攻めでストレス溜まったから、それをぶつけてやったぜ」


 颯太と達也がいつもの様にやってきてボア肉で焼き肉パーティを始めた。


「やっぱりスキルの効率は凄いな」


 今日は、上田さん、音羽さん、坂内さんの三名も遊びに来ている。

 坂内さんと音羽さんが、台所で準備をしてくれている。


「理。魔道具作れるようになったんだろ? この間言ってたギルドカードの相談したいから、明日の朝からこれるか?」

「別に用事は無いからいいぞ。そう言えばさ、こんなの作ってみたから、達也と颯太で一個づつ持ってくれ」


 俺は昨日作った念話器を颯太と達也へ渡した。


「なんだ指輪みたいだが、俺に結婚とか申し込むなよ」と颯太が冗談めかして言うと、坂内さんが「私なら喜んでもらうのに」と、反応した。


 一瞬の沈黙の後、普通に颯太が話し始めると坂内さんが「華麗にスルーされたわ」と呟いてた……


「この指輪は何の効果があるんだ?」

「この指輪は念話の道具だ。声に出さなくても意思の疎通が出来るし便利だぞ。もちろんダンジョン内で使える。颯太のは上下五階層まで届くが、達也のは上下一階層だけだ。地上は無制限で届く。指にはめて無くても身につけてたらいいらしいぞ」


「試しに使ってみよう、心で念じるだけでいいのか?」と達也が早速使ってみる。


『理聞こえてるか』

『あー聞こえてるぞ』


「颯太今の聞こえたか?」

「いや何も聞こえてないぞ」


 どうやら伝える相手を認識で切り分ける感じだな。


『今度はどうだ?』

『お、聞こえたぞ』


「中々の謎システムだな、認識して話さないと聞こえないみたいだ」

「だが便利いいな、これなら閣議中でもやり取りできるから、総理にも持たせたいな」


「だが、これは常に一対一の魔導具だからな、今は颯太と達也の間で念話出来ないだろ?」

「あー確かに出来ないな」


「でこれだ、もう一個ずつ渡す。これは同一階層でしか会話できない。地上では使えるけどな。これをさっきの指輪に統合って念じてみな」

「お、吸い込まれたぞ」


「これで、達也と颯太も念話出来るはずだ。やってみな」

「うん、ちゃんと会話できるな」


「今日渡した分はサービスでやるけど、追加は有料だからな。値段は任す」

「結構数が欲しいな。DPDでも活用する場所が多そうだ」


 今回、初めて飲み会に参加した音羽さんがびっくりしてる。


「なんだか凄いですね。最先端の技術が簡単に産み出されるなんて」

「理といると飽きないぞ。毎日がびっくり箱覗くような気持ちで遊びに来れる」


「しかも、世界最強の男だしな」

「おだてても何もでんぞ」


「DITの女性陣がみんな岩崎さんに惹かれていくのが理解できました。私も今の間だけで岩崎さんの事を凄く知りたくなっちゃいました」


 音羽さんが俺に投げかける視線が少し熱いな……


「あらあら、又ライバルが増えちゃったみたいですね」と坂内さんが少しほっぺたを膨らませた。

「そういやこれもあったな」と、デイパックの内側に収納バッグを貼り付けた物を出す。


「普通のデイバッグだな。しかもくたびれてる」

「手持ちのバッグがこれしかなかったからな。これでなんと容量一万リットルか十トンだ」


「「何だと……」」

 

「いくらだす?」

「こんなの、世に出せば密輸組織が大変な事になるじゃないか。便利だが世にだせんな。折角結構な額使って作った入場ゲートのシステムが一瞬で無意味になるだろ。しかし【DIT】内部では活用させてもらいたいな」


「そうか、犯罪に使われる可能性は確かに高いな」

「まず使用者の厳正な審査。収納バッグを使った犯罪行為が発覚した場合の罰則の厳罰化を徹底出来てからになるな」


 いくら便利でも、扱いづらいものってあるんだな……


「話は変わりますが、私は今日、今までの人生の中で一番の感動をしました。総理から直接任命された職務に私の生涯を捧げます」と、上田さんがいきなり人生を語り始めた。


 酔ったのかな?


「上田さん真面目すぎると疲れるよ、そういう部分は達也を見習ってもっと肩の力抜いていこうぜ」と、颯太がたしなめたが、達也は違う見方だった。


「だがそれがいい!上田さんのそういう所に俺は惚れ込んだ」

「精進します」と、感動していた。


 女性陣は、その間も黙々とお肉を食べてた。


「お肉美味しいね音羽さん。皆さんも早く食べないと無くなっちゃいますよー」

「美味しいです。幸せです」


 俺は坂内さんに質問をしてみた。


「坂内さんは目標ってあるの?」


「ありますよ。一つは東雲さんと同じです。三人をずっと見て居たいです。もう一つはまだ内緒です」

「ふーんそうなんだね、音羽さんはどうなのかな?」


「私は今の仕事が凄く大変で楽しくて。こんな満足感を得られる環境に感謝しています。今までは無駄に毎日疲れて、現実逃避で異世界物の小説読むくらいしか楽しみが無かったのに、そのまんまの世界になるとかもうびっくりですよ。私は【DIT】の組織運営を円滑に行うシステム造りに生甲斐を見出しました。鹿内さんじゃないけど、ダンジョンに入ると老化って、しなくなるような気がするんですよね。ずっと今の仕事を続けたいですね」


 流石にキャリア官僚だなぁと思いながら、俺は聞いていた。

 【DIT】の女性達ってそれぞれに仕事に誇りを持って取り組んでるよな。


 派遣時代の俺とは根本的に違うぜ。


 ◇◆◇◆ 


 テレビのニュースで今日の式典が放映されていた。


 その中でコメンテーター達が好き勝手な意見を言う。

 一番盛り上がりを見せたのは、達也の言ってた百メートル走の話だった。

 そりゃ確かにそうだな。


 式典後の囲み取材の時に、一例を直接見たいと言われて、鹿内さんと東雲さんがキャッチボールをする姿が映されていた。


 なんと二百メートルの距離から山なりでなく一直線に投げてた。

 二人ともだ。


 そして更に衝撃を与えたのは鹿内さん。


 もう二十台半ばの容貌に見えるんだけど、臆する事無く自分の実年齢とダンジョンに入る前の写真を公開して【ダンジョンエステサロンシステム】を堂々と宣伝した。


 世の女性の活力にしたいと。

 これは、応募殺到するだろうな。

 国営事業で行うと言うのも凄い。

 ダンジョンの有益性を世に広めると言う点ではありなのかな?

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