第21話 魔道具作ってみよー
美味しそうな料理が並んで、みんなでビールを飲み始めると、颯太がスキルの使用感を語りだした。
「やっぱりスキル凄いな。レベル1の状態でさえ経験値の獲得が倍の効率だった。これだとポイントを取り敢えずスキルに全部振ったほうがいいな」
「そうだな。成長できる速度が上がるのは凄い効果だと思うぞ。取り敢えずカンストさせるが正解だろう。恐らくスキルレベルがそのまま倍率だと思う」
「理は何で取らなかったんだ? このスキル」
「あーそれはな、俺は颯太と違ってニートだから時間あるじゃん。今のペースだと各ダンジョンで上げれる上限レベルに普通についていけるから後回しにした。上限レベルに達するとドロップも出なくなるからな」
「そうなのか……俺は時間が限られてるから正解って事でいいよな?」
颯太のトーンが少し下がった、言わない方が良かったのか?
「神スキルなのは、間違いないさ。JOBレベルなんてすげぇ上げにくいからな」
「俺がぶっちぎりのTOPレベルに行けるとか、思ってたのは内緒だ」
そんな感じで話してると、真壁さんが颯太たちのフランクさに驚いていた。
「話には聞いていましたが、本当に普段の閣僚のイメージと違うんですね。ビックリです。今日は折角だから色々お話を聞かせて下さいね」
「一緒に飯を食って、美味い酒を飲んで、夢を語る時間は大事だから、真壁さんも遠慮せずに話に加わってね」
「はい」
東雲さんが、俺に話しかけて来た。
「そう言えば聞きましたよ岩崎さん。坂内さんとドライブデートしたらしいですね」
「デートではないぞ」
「本当ですかぁ? まあそう言う事にしておきましょう。明日は私と真壁さんお休みだから、どっか連れてって下さいよ」
「夕方からならいいぞ。この間のさ、野口さんが退院したから挨拶に来たいって言うから、十五時に約束しててな、その後ならいいぞ」
「環ちゃん私も会いたいです。十五時ですね。その時間からお邪魔します」
「午前中はダンジョンに潜るからな。颯太に抜かれるとなんか嫌だし」
真壁さんは俺と話すのは初めてだけど中々の美人さんで、俺にも好意的に話しかけてくれる。
「岩崎さんが凄いお金持ちになったから、美味しい物食べさせて貰えるはずって、女性陣みんなで噂してるんですよ!」
「食事くらいなら、別にいいぞ」
「太っ腹ですね」
「腹はダンジョン潜りだしてから随分すっきりしたと思うけど?」
「意味が違いますよ!」
「そう言えばさダンジョンドロップで今日肉が出ただろ。あれ美味いのかな?」と、颯太が話題を変えてきた。
「俺も思った。ラノベで定番のボア肉だよな。ちょっと食ってみようぜ」
「あー確かに興味深いな。焼いて見よう」
「私が焼きますよー」と、東雲さんが早速キッチンに行ってボア肉を焼き始めた。
結果は……
「美味いな。凄い高級な豚肉みたいな感じだ」
味は確かに豚肉なんだけど、とってもしっとりしてて、噛むと肉汁があふれ出てくる感じだった。
「これは売れるな」
「ダンジョンで世界の食料事情も改善される可能性ですね、私はそう言う分野を専門にやっていきたいんですよ。世界中で飲み水すら、満足に手に入れる事が出来ない地域がたくさんあるので、そういう地域を無くして行きたいです」と、真壁さんが真面目モードに入った。
「東雲さんは、何がしたいとかあるの?」と聞いてみた。
「みんな目標がはっきり見えてますね。私はまだ決まらないです。島さん、斎藤さん、岩崎さんが、これから作って行く未来を、一番近くで見ていたい。と言うのが今の希望ですね」
「俺を大臣さんと一緒の扱いにするなよ、普通のおっさんだ」
「見た目は精々お兄さんだから、大丈夫です!」
◇◆◇◆
八月三十一日 九時
【D3】三層で素材集めをしている。
昨日の真壁さんの話を聞いて、ちょっと作ってみたい魔道具を思いついたからだ。
【DIT】に卸す装備も作らないといけないしね。
お昼前にダンジョンから戻ってきた。
さて、魔道具か……どんなスキルがあったかな?
【スキルリストオープン】
アイテム関連に役立ちそうなのは、
【魔道具創造】
魔道具のイメージを浮かべると、素材が指定され、モンスターの魔核ポイントを消費して魔道具が作成される。
失敗すると素材は消滅する。
使用素材のランクとスキルレベルで成功率が上昇する。
【アイテム複製】
アイテムに、手を触れた状態で発動すると、魔核ポイントを消費する事で複製する事が出来る。
スキルレベルの上昇で魔核ポイント消費量が減少する。
神スキルっぽいのはこの2つかな。
取り敢えずは【魔道具創造】だな。
よし取得。
早速試してみよう。
最初は、やっぱりお約束のマジックバッグ系だな。
より具体的に【収納バッグ】の名前の方が良いかな?
【魔導具創造】
収納バッグ 素材 カエルの胃袋、魔核200ポイント
成功確率
UR 0.00000001%
SR 0.1%
R 10%
HQ 20%
N 38.89999999%
ロスト 30%
いいのか悪いのか解らないが、ランクは容量の違いだろうな。
UR10億分の1って凄い確率だけど、どんだけ入るんだろ?
俺が読んでるラノベだと容量無制限ってよく見かけるけど、無制限だといきなり世界丸事収納なんて事もあり得るから、それは絶対無いよね?
一回作ってみよう。
【作成】をイメージした。
収納バッグHQ
容量千リットル又は一トンのどちらかを超える事が出来ない。
魔核は在庫が五千ポイント分くらいあるから何個か作るかな。
十個作ってロストが三回。
N 四個 百リットル又は百キログラム
HQ一個 千リットル又は一トン
R 一個 一万リットル又は十トン
これは結構な価値があると思うが、基準が解らないな。
颯太に確認してみるか。
カエルの胃袋は伸縮自在だから、好みのバッグの内側に貼り付ける感じで使えるし、使い勝手もいいよな。
でもスキル使用時には運が影響しない感じかな? それとも俺の明らかに高いであろう運が影響した上でこの確率なのかな? もし、そうだとしたら他の人が魔道具を成功させるのは、凄くハードルが高いかもしれない。
気になった時には確認することが大事だよね!
『ナビちゃん。ちょっといいかな』
『いかがなさいましたか? 理様』
『魔道具とか、武器やポーションの作成ってさぁ運の数値は影響があるのかな?』
『素晴らしい質問でございます理様。おっしゃる通りに運の要素が大きく影響しております。数値がそのまま成功率へ影響しますので、現状理様以外の方ではポーション作成でさえ大変厳しい確率かと思われます』
『そうなんだね、ナビちゃんありがとう』
これは、俺のポーション販売って結構ずっと稼げるかもね?
達也が言ってたギルドカードは、欲しい機能を達也に確認してからにしよう。
次は昨日、真壁さんが言ってた、生活魔法の水分補給みたいな機能のアイテムにチャレンジしてみよう。
うまくいけば井戸が掘れないような地域でも生活用水の問題が無くなるし、凄いアイテムになるかもしれないよね。
名前は【魔導ウオータータンク】
機能は、蛇口をひねれば水が出続ける。
水温調節も欲しいな。
形はステンレスタンクに蛇口が付いてる感じのイメージ。
【魔導具創造】
魔導ウオータータンク
素材 魔鋼10、魔核500ポイント
成功確率
UR 0.00000001%
SR 0.1%
R 10%
HQ 20%
N 38.89999999%
ロスト 30%
確率は同じか、今度はレア度で何が変わるのかな?
【作成】
魔導ウオータータンクN
魔核1ポイント当たり10Lの水生成
温度調節機能5℃から90℃の間で調整可能
上部に魔核を入れれるようなケースが付いており、ここに魔核を収納して使う感じか。
消費と機能のバランスが微妙だな。
ランクが上がれば実用性もあるかも。
◇◆◇◆
後は【D3】で欲しいと思ったダンジョン内でも使えるような通信機能だな。
ラノベで定番の念話機能が使えるような感じかな。
【念話機】
ダンジョン内でも使えテレパシーで意思疎通の出来る道具。
【魔導具創造】
念話機 素材 ウサギの耳、魔核100ポイント
成功確率
UR 0.00000001%
SR 0.1%
R 10%
HQ 20%
N 38.89999999%
ロスト 30%
これも確率は同じだな、レア度は通話範囲なのかな?
二個以上ないと使えないけど、どうなるんだろ?
【作成】
【念話機R】
対になる指輪を嵌めた物同士で会話が出来る。
地上、ダンジョン内で利用可能。
フロア制限、上下五層迄。
指輪が二個出てきた。1セットで出来るんだな。
これは俺と颯太と達也で相互連絡可能にするために後2セット作ろう。
【作成】
念話機HQ 地上、ダンジョン内利用可能 フロア制限上下一層
念話機N 地上、ダンジョン内利用可能 フロア制限同一フロア
指輪だけど指に嵌めなくても使えるのかな?
『ナビちゃんちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか理様』
『魔導具創造でさ指定されるアイテムって持ってるものの中から選ばれてるの?』
『素晴らしい質問でございます理様。仰るとおりに持ち物の中から、関係性の高い物が選ばれております。選ばれるアイテムにより、魔核ポイントの使用量が変わります。関係性がより高いほど、魔核ポイントは低くなります』
『そうなんだねぇ後もう一個いいかな? 念話の指輪ってさ、指にはめてないと使えないのかな?』
『身につける形であれば利用できます。また複数の指輪を持っている場合は統合して一つに統合出来ます』
『ぉ、纏めれるのか、一個だけなら別に指でもいいな』
◇◆◇◆
八月三十一日 十五時
十分ほど前に東雲さんと真壁さんが来た。
二人も午前中はダンジョンに潜っていたらしい。
魔導ウオータータンクを見せて感想を聞かせてもらう。
「もう作っていただけたんですね、凄いです! でもすごく便利ですけど魔核ポイントの消費量が気になりますね、これはもっと節約できるようになりませんか?」
「やっぱりそうだよね、HQまでなら何回か作れば成功すると思うから、後で作って見とくね」
現状ではここ以外では、魔核の入手方法が無いから、供給が追いつかないだろうな。
『ピンポーン』と玄関の呼び鈴が鳴ったので、出てみると山野さんと野口さんだった。
「環ちゃんお久しぶり。元気だった?」と、東雲さんが駆け寄って手を握っていた。
「お久しぶりです。おかげ様で元気すぎて困っちゃうくらいです」
山野さんが「東雲さんと真壁さんも来てたんですね」と声を掛けると、真壁さんが「今日この後ご飯に連れて行ってもらう約束したんですよ」と嬉しそうに報告してた。
「いいですねー。今度私の休みの時にもお願いしますね。岩崎さん」
「前もって言ってくれてたらいいよー」
「魔法使いさんって、めちゃもてるんですね……」
「これは、もててるんじゃなくて、たかられてるって言うんだよ」
「楽しそうで羨ましいです。それよりも、この間は本当にありがとうございました。私、意識が戻ったときに自分の姿見て、生きる希望も失って一晩中死ぬ事、考えてました。まさかあんなお薬があるなんて信じられなかったです。後でお医者さんにあのお薬のお値段聞いたら、十億円で買えるなら奪い合いになるでしょうね。と言われて青褪めました。何故そんなに高くても売れる物を無料で譲っていただけたんですか?」
「んー野口さんが気になったから、じゃ駄目かな?」
「駄目じゃないです。気になったついでに貰って頂いてもいいですよ」
「四十過ぎのおっさん、からかってないで折角元気になったんだから、人生をちゃんと楽しまなきゃだめだよ」
「年齢とか関係ないんだけどな? でも私ここで【DIT】でお仕事させてもらうことにしました。ダンジョンで怪我をしたり心に傷を負った方のフォローを出来るお仕事をしたいって、山野さんに相談したら、今、人を募集し始めた所だと言われて頼み込みました」
「そっか、頑張れよ」
「あんまりお邪魔しても悪いから、今日はこれで帰りますね。今度お食事楽しみにしておきますね」
「本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。魔法使いさん」
と言って二人は帰って行った。
「魔法使いさんって、何でその呼び名なんですか?」と、真壁さんが聞いてきたけど何でなのかは俺も知らないしな?
「ほら、本人も言ってたけど、治療とか普通に受け入れてくれる様子が、まったく無かったから魔法使いさんが治すって言って、興味を持ってもらったの」と、東雲さんがフォローを入れてくれた。
そうだったんだ。
◇◆◇◆
その後三人で車に乗って、高速で名古屋郊外にある遊園地まで行って遊び、高級ホテルのフレンチを食べてみた。
折角だから高級なワインも頼んでみたが、高級さは俺には良く解らなかった……
アルコールが入ったので、帰りは車をアイテムボックスにしまい転移で戻った。
便利だよな。
名古屋から一瞬で豊橋に戻って来た事に、東雲さんと真壁さんは今日一番の感動をしていた。
あと遊園地のジェットコースターに連続で乗ると、乗り物酔いの状態になったので薬の検証をした。
予想通り乗り物酔いにはポーションが効いた。
二十時前に颯太から連絡があったが、二十一時過ぎじゃないと戻らないと伝えて今日は諦めて貰ったぜ。




