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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
第一章 ダンジョン黎明期

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第14話 俺の家なのに……

 無事に近所の公園の黒猫ををテイムし『TB』と名前を付けた。


 見た目は生後一か月程度の子猫なので、果たしてテイムしてもモンスターと戦う事が出来るのかは、微妙な気がするけど、モフらせてくれるだけでも全然OKだぜ。


 俺はTBに心の中で呼びかけてみる。


『TB聞こえるかい?』

『聞こえるにゃ、ご主人様』


 お!ちゃんと話せるぜ。


『もう痛かったりするところはないかい?』

『大丈夫にゃ。ありがとにゃご主人様』


『そっか良かった。これからよろしく頼むよ。まずは、カラスなんかに負けないように強くなろうな』

『はい! にゃ』


『TBってさ、姿隠したり出来るの?』

『出来ないにゃ、でも大きさは調整できるにゃ』


『すごいじゃん、どれくらいの範囲で調整できるの?』

『やって見せるにゃ』


『あ、ここじゃ困るな一回家に帰ってからにして』

『解ったにゃ』


 ◇◆◇◆ 


 家に戻ると、全身うさぎスタイルの女性二人が武器を持って庭に居た。実にシュールだ。


「ただいま。そのかっこで庭に居ると目立つからね」

「今ダンジョンから出てきたところです。魔法とか試してました。ここなら二人でも気をつけていれば何とかなりますね。レベルも一つ上がりましたよ」


「頑張ったね。でもそろそろ戻らなきゃいけないんでしょ?  そのかっこのままだと、きっと凄く変ったファンが大量に発生するから、着替えたほうがいいと思うよ」

「……やっぱり変なんですか?」と、坂内さんが少し拗ねたように言った。


「変じゃないよ……凄く似合っていますよ」

「似合いたくないです」


 東雲さんは「私は意外に動きやすいし、結構気に入ってますよ。敏捷が上がるのは大きいですね」


 と、言ってくれた。


 TBを見た坂内さんが「あら子猫。どうしたんですか?」と聞いてきた。


「飼う事にした。名前はTB。可愛いだろ」


 東雲さんが一目で気に入ってくれた見たいで、


「わー、可愛すぎます。ちっちゃいですねー。まだ産まれて、一か月くらいかな。でも世話なんて出来るんですか? 今から色々忙しくなるでしょうし」

「テイムしたから大丈夫だよ。俺と一緒にダンジョンにも潜るよ」


「岩崎さんって何でもありなんですね。どう見ても普通の子猫ですよね? 戦えるんですか?」

「うん。普通の子猫だけど、レベル上げれるし、何とかなる筈だよ」


「いいなー私も欲しいですよ」

「とりあえずちょっと【ダンジョン】入ってくる。この子の特技あるらしいから確認してくるよ。まだ秘密にしておきたいから付いて来ないでね」


「解りました。私たちは着替えて戻る準備しておきますね。またシャワーお借りします」


「どうぞ!」


 ◇◆◇◆ 


 俺はTBを連れてD1へと入っていった。


『早速大きさ変えれる所を見せてもらえるかな』

『はいにゃ。一番小さいのからニャ』


 特技を発動したようで、手のひらに乗れる程度の大きさになった。

 この大きさだとポケットやバッグに入ることも可能だから、連れ歩くのも問題なさそうだ。


 次は大きくなってもらった。

 大人の虎くらいの大きさだ。

 子猫の顔のバランスのまま大きくなってるので、怖さや威嚇した感じは無い。


『俺は特技とかステータスで確認しないと解んなかったけど、TBは何で大きさが変れる事が解ったの?』

『よくわかんにゃいにゃ。にゃんか出来ると思ったにゃ』


 うん、謎システムだし納得するしかないか。


『基本自由にしてていいけど、呼んだらすぐに来れる場所に居てね』

『はいにゃ』


 TBの特技の確認も出来たので、地上に戻ってシャワーを浴びた。

 体を拭いていると東雲さんが声をかけてきた。


「交代の人員が到着しました。一度家に入れてもらってもいいですか? 今日は泊り込むことは無いと思いますので」

「いいよー」と返事をして、着替えてリビングに向かった。


 あれ? 何か多いな。

 七人も来てるぞ。

 

 家のリビングに十人も居ると、めちゃ狭く感じるぜ。


「交代の人って二人だけじゃないの?」

「私たちの交代は二人だけですが、【DIT】の実働部隊が一班警護もかねて来ています」


「お初にお目にかかります。【DIT】の鹿内と申します。私の左手から順に大島、桑田、関口、松田、原、野沢です」

「岩崎と言います。よろしくお願いします。皆さんはどうされるのですか?」


「予定として、この後官房長官と防衛大臣がここを訪れます。その為の警護と昨日DITの方で纏めた質問事項を、岩崎さんにお聞きしたいと考えています」

「余り話せる事は多く無いですが、話せる範囲内での事なら構いません」


「私は実働部隊の六班で班長をしております桑田と申しますが、ダンジョンの活動で強くなれると言う話は本当なのでしょうか?」

「あーそれは事実ですね。少し試してみましょう。腕相撲をしてみませんか? 一番強いのはだれですか?」


 野沢と呼ばれた男性が手を上げる。


「それでは野沢さんが代表で、相手は東雲さんがします」

「東雲さんですか? なぜ」


「まぁやってみたらわかりますよ、ではどうぞ」


 野沢と東雲が手を握り構える。


「レディーゴー」


 瞬殺だった。

 野沢は勢いよくテーブルに手を叩きつけられて少し涙目だ。


「ごめんなさい。力の加減が分からなくて、怪我はされて無いですか?」


 桑田がすぐに聞いてきた。


「これはどう言う事ですか?」

「東雲さんと坂内さんには、昨日少しダンジョンに入って貰いました。今はレベルが6まで上がっています。その結果が今の強さですね」


「なるほど、私達もダンジョンで鍛えさせて貰う事は可能ですか?」

「俺一人では、どうしようも無くなるのは見えてるから、ジャンジャン鍛えてもらっていいですよ。ただし、装備なんかは自分達で用意して下さいね。注意点なんかは東雲さんと坂内さんに伝えてあるので、彼女達から聞いてください」


「それでは本日、視察が終了した後からよろしくお願いします」


 坂内さんと東雲さんはこのまま帰還するそうだ。


「私達は一度東京に戻りますので、失礼させていただきます。岩崎さん、色々ありがとうございました。またすぐに顔を出すことになると思いますので、その時はよろしくお願いします」

「こちらこそ朝ご飯ごちそう様でした」


「使わせて頂いた装備って、譲って頂く事は可能なのでしょうか?」

「あー、いいんだけど、二人だけに渡すと全員分作ってくれとか、無茶な展開になりそうだから取り敢えず保留で」


「了解しました。また近いうちにお逢いしましょう」


 二人は退出していった。


 大島さんが「私と桑田班のメンバーは官房長官が来るまでの時間、この辺りの探索をして来ますので、鹿内さんだけ連絡係として置いていきます」と言って出掛けていった。


 ◇◆◇◆ 


 俺は鹿内さんと昼ご飯を食べに出かけていた。


「岩崎さんって今四十歳なんですよね?」

「うん、そうだよ」


「とても見えないですよね。どう見ても三十歳そこそこの見た目ですよ。私と同じ歳なのに羨ましいです」

「あー、同じ歳なんですね。見た目は俺もダンジョンに入るまでは、歳相応の普通のおっさんだったよ。ダンジョン効果なのか身体がどんどん最適化されて行くって感じで、それに連れて張りが出てきた感じだね」


 鹿内の目がキラリと光った。


「それは、私もダンジョンでレベルを上げたら、どんどん身体が若返るって事で間違い無いのですか?」


 思いっきり身を乗り出してきた。

 ちょっと近いよ……


「他の人の効果を確認してないから、誰でもなのかは判んないけど、きっとそうだと思うよ」


 ◇◆◇◆ 


 鹿内 雅子 四十歳


『ダンジョンのモンスターは私が倒す。若さと美貌の為に』

 今この時、心に誓った。


 ◇◆◇◆ 


 十四時になった。

 家に戻ってTBとじゃれあっていると、鹿内さんが話しかけて来た。


「東雲さんと坂内さんは、最初から普通に戦えたのですか?」

「あ、最初は俺が倒して、ある程度強くなってから、戦って貰ったよ。流石に最初からじゃ怪我とかしちゃうしね」


「官房長官達は十六時半頃にこちらに到着予定です。少し時間がありますので私もダンジョンに連れて行っていただけませんか?」

「んーまぁ少しだけ行って見ようか。坂内さん達が使った装備を渡すから着替えて来て」


 五分後、うさ耳お姉さんが現れた。


「ちょっと恥ずかしいです」

「防御効果は間違い無いから、気にしたら負けですよ」


 TBと鹿内さんがレベル5になるまでモンスターを狩って戻って来ると、十五時三十分だった。


 大きくなったTBは結構強くて、ゴブリンを倒しまくってた。


 俺が倒すとレベルの関係でドロップ出なかったけど、TBが倒すとちゃんとドロップも出たので得した気分だ。

 鹿内さんにJOBの話をしてると、探索に出かけていたメンバーが戻って来た。


「岩崎さん。色々お願いする立場なのであまり言いたくは無いのですが、趣味のプレーに職員を使うのは辞めて頂きたいのですが?」


 と、大島さんが言ってきた。

 

 俺はコーヒーを吹き出したぜ。

 鹿内さんは赤面しながら、慌てて理由を説明した。


「大島さん、凄い勘違いです。これは魔物素材で作った装備で、今、少しダンジョン内を見せて貰って来たところです」


 一瞬の静寂が訪れた。


「取り敢えず装備外して来ます」と、鹿内さんが着替えに行った。


 大島さんが「すいません、てっきり……」と謝ってきたが、普通にまず『趣味のプレー』なんて発言が出るって、きっと彼の趣味はコスチュームプレーなんだろうな……


「まぁ良いです。そのかわり後で、大島さんも同じ装備つけてもらって記念撮影して、玄関に飾ります」と答えた。


「勘弁してください」と言ってきたが、それは無理な相談だぜ。


  ◇◆◇◆ 


 鹿内さんの電話が鳴った。

 短く応答して「官房長官達が到着されたようです」と伝えてきた。


 俺以外は、みんな出迎えに行った。

 しばらくして呼び鈴が鳴ったので玄関に向かった。


「岩崎さん今日もお邪魔させていただきます。大人数ですいません」と言いながら島官房長官が入ってきた。

「彼は、防衛大臣の斉藤です。その後ろは【DIT】の上田です。大臣二人で移動するのにSP無しだと色々うるさく言うのが出てくるので」


 と、紹介してきた。


「世界最強の男に会えると聞いて、大喜びでやって来ました。色々巻き込まれてしまわれたみたいで大変でしたね。島が世界最強はそのうち俺が奪うと言ってましたよ」


 と、斎藤防衛大臣が明るく挨拶してきた。

 同年代で好感が持てるな。


「岩崎さん。私はそんな事言ってないですからね。昨日東京に戻ってから総理と話をして方針を決めてまいりました。まず、この辺り一帯を国有化させていただき、ダンジョンを攻略出来次第、効率的に配置させてもらい、資源の有効活用をしていくという事で話はまとまりました。それともう一点、大変心苦しいのですが、岩崎さんには本日只今の時間を持ちまして【海外渡航等の自粛要請】が発令されます。今、岩崎さんが海外へ行かれるような事があると、著しく国益を損なう恐れがある。と言う判断での発令となります」

「うーん、まぁそれくらいはしょうがないのかな。この辺りに住んでる人達はどうするの?」


「この地域に重大な危険が発生したという発令を出し退去して頂きます。退去先は政府が責任を持って用意し、十分な補償もさせていただきます。この町内の一角から海に向けて三キロメートル程の区間を幅一キロメートルに渡り遮断し、ダンジョン関連設備を整えます。田園及び山林地帯が多いので、比較的避難者は、少なくなりそうです。この後十八時に総理による緊急放送が行われ、すぐに発令されます。二日後までに準備が整い次第、地域全体を囲う防壁を設置し、その後急ピッチで各種施設が作られます。現在この場所にダンジョンが存在するのは事実であり、それに対応する国の姿勢として問題ないと判断します」


 余りの事に俺は驚いた。


「俺のせいなのか?」

「違います。ダンジョンのせいです。岩崎さんが少しでも責任を感じておられるなら、これからダンジョンの討伐にお力をお貸しください。世界最強の男として」


「柄じゃないよ。『出来る事を出来る範囲でやるだけ』のスタンスは変わらないよ」

「今は、それでいいです」


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