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76 死後処理

 海の底に潜るほど永い間熟睡していたような気がする。

 目が覚めると、見覚えのある神殿のような場所だった。

 起き上がると久しぶりに見る顔があった。

 俺が死ぬ間際になってどれだけ救助要請を行っても知らぬ存ぜぬを貫き通した神様である。


「よくやったな、お前に任せたターゲット全てが死亡しその魂もまた全て回収することが出来た。上出来だ」


 と、神様は俺にお褒めの言葉をかけてくれたけど、あれで良かったのだろうか。

 何というか、結果的にとんでもないことをしてしまった気がする。

 惑星一つぶっ壊れていますけど大丈夫なんでしょうか、と聞いたところ


「全く問題がないわけではないが、お前が心配することではない」


 やっぱり問題があったんですね、人間も動物も皆死んじゃったもんね。

 そもそも俺が異世界に化物退治しに行くハメになったのって、俺の前世の世界の人間が死滅したせいだし。

 でも俺が今更心配してもどうにかなる問題じゃないしなぁ。

 生きた核兵器のようなモンスターが複数存在した時点でいつかは衝突して同じ結末を辿っていた気もするし。

 それがちょっと早くなっただけと思えば問題は無いでしょ、多分。


「さて、今後のお前の処遇についての話をしようか。お前にはしばらくの間休んでいてもらう。次に生まれる時は私が新しい惑星を作った後だな」


 えっ、長期休暇?

 でも他の世界にもまだ殺さなければいけない化物が多数残っているのでは?

 そんな大変な状況なのに、20匹以上の化物の討伐に成功した俺がお休み?

 結果を残した俺はまた新しい異世界に行って化物討伐をするものだと思っていたんだけど、いいんでしょうかと聞いてみると


「実は先の星の破壊の際にお前の魂がかなり傷ついてしまったのだ。修復に時間がかかる故、このような処置となったのだ」


 俺そんなに危ない状況だったんだ。

 俺としては何一つ違和感を感じることはないが、神様には分かるのかな。

 そんな事情であるならば仕方ない、大人しく次の生を待つことにするか。


「ではお前の魂を眠らせることにするが、そうだな。次に人として生まれるとき、全ての記憶を失って生を受けるのだが、次の人生で何か希望があれば考慮するが、何かあるか」


 次の人生での希望?

 神様にお願いできるビックチャンスだけど急に言われてもなぁ。

 普通の人なら金持ちの家に生まれて何不自由ない生活とかを望んだりするんだろうけどさ。

 思い出される最後の日、死の直前に脳裏をよぎった後悔。

 あの感情を忘れて次の人生何事もなかったかのように過ごすってのは何だかなという思いがある。

 というわけで神様、俺が次に生まれるときは、俺が動物好きだったってことは忘れたくないんだけど、できます?

 記憶は無くなってしまうかもしれないけど、その感情だけは覚えておきたいんですよね。


「なるほどな、分かったぞ。ではそろそろ」


 あ、ちょっと待って。

 一つだけ質問したかったことがあったんですけどいいですか。

 実はずっと気になっていたことがあるんだった、神様に確認したかったことが。



 神様……俺の人格というか、性格みたいの弄ってませんか?

 俺、前世で絶対にあんな性格じゃなかった気がする。

 しかも人類や世界滅ぼしても大して何も思わないだなんて、絶対に前世でこんな性格じゃなかったと思うんですけど。


「あの世界で生きやすいように多少の調整は行ったぞ。そうしないと、人を殺す忌避感や衛生面など様々な面で悩まされるだろう」


 ああ、それは確かに。

 ま、別に文句があったわけじゃないんですからいいんだけどね。

 昔の俺のまま異世界に行っていたら倫理感やトイレが耐えられたものじゃなかっただろうし。

 じゃあ疑問も解消したのでそろそろお願いします。

 2度目の人生はそうだな……色々あったけれど、悪い人生……いや、良い人生だった。

 でも3度目はもうちょっと平和な人生でお願いしますね、もう日々殺し合いの世界はきついっすわ。




~神様の最高裁判所~

「被疑神ビエル。罪名罰条太陽系間における不可侵条約第4条違反、他27件。被疑神は第八次神歴2718年から2787年にかけて、神アルバの管理する惑星BKHTを破壊する目的で正当な理由無く違法改造された人間の魂を送り込み、大規模な破壊活動を行わせ、惑星BKHTを滅したものである。間違いないか」


 面倒なことになった。

 過去に他の神が管理している惑星にこっそり魂を送り込んで色々な生物を転生させて遊んでいたことが今になってバレてしまった。

 人間なんて簡単に死ぬから問題ない、モンスター等に転生させてもすぐ死ぬだろうし大丈夫、と思っていたが想像以上に生き残ってしまったのが構想外だった。

 転生させるときに様々なチートを渡してしまったのが原因の一端かもいれない。

 それだけならば何も問題はなかったのだが、まさか他の神が管理している惑星に直接干渉することがあれほど困難だったとは。

 予想以上に楽しんで調子に乗って5万人ほど転生させるまで気づかなかった。

 こっそり魂回収要員を派遣したが生き残っていた転生者は思いのほか強く、進展はスローペースだった。

 そのため魂の人格をちょっと改造して送り込んだらまさかここまで派手にやってくれるとは。

 成果は上々だったのだが、この度不幸にも該当地域を管理している神にバレてしまった。

 あいつ等普段何もしていない癖にこんな時ばかり早く対応しやがって。

 魂の回収に忙しかった私を見習ってほしいものだ。


「被疑神、間違いないか」

「全て間違っています」


 嘘は言っていない。

 2718年よりもっと前から生命体は送り込んでいるし、惑星を破壊する目的では生命体を送り込んでいない。

 私の送り込んだ魂を回収しようとしたところ、結果的に惑星BKHTが破壊されてしまっただけだ。


「では今回の件について説明してください」


 正直に答えたら幽閉待ったなし、嘘吐いたらバレるから上手いこと誤魔化しながら答えなければならない。

 こんなつまらない裁判さっさと終わらせたいんだけど。

 まだまだ殺さなければいけない転生者が山積みなんだよなぁ、忙しいんだよこっちは。

 とりあえず今回の件における最重要証拠の魂は絶対に発見されないようにしなければならない。

 何があっても見つからないように隠匿したのでバレはしないだろうが、相当な期間外部に出すことは禁止だな。

 やれやれ、神様って大変だわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり裏がありますよね。 主人公は幸せになれるのか、ラスト一話かな?楽しみにしてます
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