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62 モンスターハンター3rd

 兄やギルドからの情報収集も終わったので早速モンスターを狩っていこう。

 ソヤパン周辺では見知ったモンスターが多いので魔の領域の奥深くを目指していく方針だ。

 移動方法は定番の空路を使っていくが普通の鷹や鷲では有事の際に対応しづらいので、空を飛ぶモンスターで魔の領域へ飛んで行くぞ、チェンジグリフォン!


 グリフォンは鷹や鷲などの猛禽類の顔と巨大な翼を持つが胴体はライオン系でどっしりとしているモンスターである。

 主に山の中で生活しているが、国内では数が少なくなかなかお目にかかれないので割とレア。

 オークと同じように人を攫うが繁殖目的で生かしてもらえることはなく、雛のエサになるので攫われたら生還は絶望的。

 トラブルの際に鳥のエサにしてやろうか、という脅し文句はグリフォン由来と言う噂、真偽は不明。

 そんなグリフォンに姿を変えて魔の領域へ進出だ、飛行速度は並みの猛禽類より劣っているが戦闘能力は比べものにならないので襲われても安心。

 そんなグリフォンで飛行中、魔の領域にて発見した森の中にある湖の付近に着陸した。

 水場には動物もモンスターも集まるのでひとまずここを拠点にしてモンスターハントをしていこいう。



 まず湖を覗きこんで発見したのが緑色の丸いゲル状のモンスター。

 グリーンスライムかと思ったが、そのスライムっぽいのが何匹かがくっついて人型のような塊となっている。

 何だアレは、と思っていたらその塊が浮上してきて俺に襲い掛かってきた。

 スライムとは思えないくらい好戦的な奴で、陸上で向かい合ってようやく全体の形が分かった。

 頭、胴、両手、両足の6匹が固まることで1体の群体となって人型を形成しており、1つのモンスターとなっているのだ。


 コイツの名前はもっこりまりもん。

 名前だけ見ればゆるキャラのような印象を受けるが非常に攻撃的な性格をした立派なモンスターだ。

 ただ戦闘力はお世辞にも高いとは言えず、普通のスライムより強い程度で見た目以外特に語るべきことは無い。

 何のために合体しているのだろうか?

 それと気になったのが魔石は何故か胴体の下のほう、人間でいうと股間部の辺りに膨らむように魔石が付いている件だ。

 何かのこだわりなのだろうか、魔石が取りやすくて助かるけど。

 ちなみに食べてみたら滑らかな羊羹みたいな食感だったが甘さは無く藻のような青臭さがある。

 実際にはスライムじゃなくて藻なのかもしれない。



 次に森の中で出会ったのはクマさん、とはいえやっぱり普通のクマではない。

 毛皮の毛が短く黒い素肌が見えているのだが、その素肌には血管かと思われる筋が浮き出ており、全身にびっしりと筋が張っている。

 このクマモンスターの名前はメロンベアモン。

 全身黒色だが顔だけ緑色であり、顔の血管の筋がメロンの皮のように見え、繁殖期にはメロンのような体臭を出して異性にアピールするモンスターだ。

 顔は凶悪なクマそのものだが戦闘力は他のクマ系モンスターと大差無い。

 食べてみても味も一般的なクマと大差ないのだが、肉からほのかにメロンの香りがする。

 このクマ肉もしかして食用として売れるのでは?

 と思ったが鍋に入れると食欲が沸かない臭いになってしまうし、ステーキにしても肉質は硬め。

 持ち帰るにしてもアイテムボックスに入れるにはデカすぎるので採用見送り。

 いちいち持ち帰っていたら財政破綻してしまうわ。



 続けて散策していると風を切る音がしたので周囲を警戒すると、上の方で何かが飛んでいる。

 捉えた姿は空を飛ぶ猫のようであるが、兜のようなヘルメットを被り、剣というよりは刀のような刃物を懐に携帯しているのが分かった。

 あの空飛ぶ猫の名前はひこうにゃん。

 素行が悪く戦いの最中唾を相手に吐いたり、夜中に集団で大声を出しながら刀を振り回して飛ぶ迷惑なモンスターだ。

 集団でいると予測のつかない動きをするので厄介なのだが、一匹ならば大したことはない。

 魔法で撃ち落としてボコボコ(フクロ)にすると土下座して財布を差し出してくるところに愛嬌があるが今日は許しません。

 この世からジャンプしてもらって落とし前をつけてもらおう。



 などなど不思議な懐かしさを若干感じる気がするモンスターを倒していると、一際目を引くモンスターと遭遇した。

 崖の上に佇んでいたのは全身が熱された鉄のような輝く赤色、羽の先からは太陽のコロナのように火が飛びだす一匹の鳳(おおとり)。

 そのモンスターの名前はホークインフェルノ。

 火の鳥とも呼ばれるあの鳥はどんな熱い場所でも自由に飛び回ることができるといわれている。

 実に俺好みの能力だ、対となる氷の鳥ホークブリザードも手に入れれば世界で飛べない場所は無くなるに等しい。

 ホークインフェルノもこちらに気付き、おびただしい熱量を有しながら俺の方に向かってくる。

 俺とホークインフェルノの熱き戦いの火蓋が、今切って下ろされた。




~ヒーローインタビュー会場~


 放送席、放送席、こちらはヒーローインタビュー会場です。

 本日のヒーローは、強敵ホークインフェルノに10-0で華麗に勝利を収めましたフィヨルド=ボレオ選手です。

 フィヨルド選手、ナイスファイトでした。


 ありがとうございます。


 戦う前は激しい熱戦になると思われましたが、終わってみれば完封勝利でした、本戦の勝因は何でしょうか?


 そうですね、ホークインフェルノの主要攻撃である火炎放射に対して単純な水の盾ではなく、自分を囲むドーム型の盾にすることで炎の回り込みを抑える立ち回りを出来たことが一番だったと思います。


 なるほど、防御面で優位に立てたと。攻撃面ではどうでしたでしょうか?


 そうですね、勝負の決め手となった投石(ロックショット)は強力な攻撃なのですが空を翔るホークインフェルノには簡単には当たりません。

 そのため濃い霧を出してホークインフェルノの体温を下げることで体力を奪い、飛行能力が若干衰えたところをロックショットで上手く狙えたのが良かったと思います。


 そうでしたか、今回の戦いでは嬉しい誤算もありましたね?


 そうですね、まさかホークブリザードがホークインフェルノの毛変わりしただけの同一個体だとは思ってもいませんでした。

 これで暑い場所も寒い場所も関係なく移動することができます、まさに一石二鳥でした。

 

 では最後に、これからますます厳しい戦いが続くかと思われますが、これからの戦いに対する意気込みの方をお願いします!


 今後はターゲットを攻略するための戦いになり、今までとは比べ物にならないくらい厳しい戦いとなりますが応援よろしくお願いします。


 ありがとうございました、本日のヒーローはフィヨルド=ボレオ選手でした!




 なかなかバラエティーに富んだモンスター達との戦いを終えてソヤパンに戻って休暇もしっかり取る。

 当然のことながら冒険者はギルドに登録しているが個人事業主のようなものなので、有休というものは存在しない。

 逆に言えば自由に休みを取って良いってことだ。

 というわけで色町にも行ったりして兄のおかげでモンスターとは無縁なバカンスを過ごしていたところ、ギルドの連絡員にちょっと来てくれと言われた。

 ギルドからの呼び出しとなれば厄介事や面倒事が待っていること違いないので行きたくないのだが、無視するわけにもいかない。

 今度から街の中にいるときは別の人種で過ごそうかな。

 でもBランク以上の冒険者はギルドに連絡先を教える義務があるから一工夫しておいたほうがいいな。


 そんなことを考えながらギルドに赴いた所、ギルドの応接室にソヤパンのギルド長他偉い人とソヤパンの駐留軍の偉い人が待っていた。

 応接室内は和やかなムードではなくピリピリしていた空気だったので何事かと思って話を聞いたところ、フィヨルド君、軍に来ないかというスカウトの話だった。

 俺は当然軍に入る気などない、軍に入ってしまえば自由な時間は少なくモンスターや人間に殺される前に任務不履行罪で神様に殺されること必死だからである。


 もちろん断りつつ、なんでそんな話になったのか聞いたところ、ちと複雑な事情があるようだ。

 まずギルドと軍の間では人材交流をやっているのだが、去年軍とギルドで人材をお互いに派遣したのはいいが、軍から派遣された人がそのまま軍を辞めて冒険者になってしまったらしい。

 軍としてはふざけんな何引き抜いてんだと言うが、ギルドとしては辞めた人は元々軍を辞めたがっていて軍を辞めた人間がギルドで仕事をすることは何ら不自然ではないと主張している(実際に元軍人も多い)。

 だが軍は人を派遣したらそのまま引き抜かれたことを理由に、代わりの人間を寄越さない限りギルドとの人材交流を再開する気はないという態度だ。

 しかしギルドとしては協力体制の維持がソヤパンという都市の平和に繋がるので続けたほうが良い、でも勝手に軍を辞めた人間の代わりの人を渡す気はないという姿勢である。


 で、どう考えても俺が収拾をつけるとかそんな話でも無いにも関わらず俺をギルドに呼び出した理由が滅茶苦茶。

 この件に関しては決闘で決着をつけることになって、ギルド代表は俺になったから絶対勝てよという無茶振りをするためだった。

 しかも負けたら俺が軍に派遣されてしまうらしい。

 ギルドの面子とか関係なく絶対勝つしかないじゃないか、負けたら神様の気分次第で死ぬぞ。

 コイツ等の駆除依頼とか出ないかな、無報酬でも請けて良い気分だ。

 街の外にいたモンスター達が急に可愛く思えてきた。

 俺の命を脅かす真のモンスターは街の中にいる。

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