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33 モンスターハンター2nd 後編

この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。

 これら以外にも様々なモンスターを倒し捕食しながら各所を回った。

 積極的にモンスターを探す生活を長期間続けたことはこれまで無かったのだが、そんな生活をしていればたまに強敵に出会うこともある。

 油断していたわけではないのだが、逃げられる状況でも無かったので戦わざるを得ない、そんな事態に陥ることが先日あった。


 山芋を掘っていたところ、上からバサバサという音がするので何事かと思ったら空からモンスターが現れたのだ。

 そのモンスターは人のような形をしているが、頭と耳はピンと尖っていて、顔の醜悪さは人の誰よりもおぞましく、皮膚は血のように真っ赤に染まっている。

 全身は筋骨隆々、背中には蝙蝠(コウモリ)のような立派な羽が生えていて、両手両足には鋭利な爪が伸びていた。

 魔法も得意だが肉弾戦も得意であり、自慢の筋肉と両手の爪を武器とし、足の爪は移動の邪魔になるどころか絶壁であろうと垂直に立つフックになる魔族型モンスター。

 かの高名な騎士アーサーが攫われた姫を助けんと魔の領域にある魔族の城向かう途中に立ちはだかり、アーサー唯一無二の友である騎士アリーノが命を落とした最強の敵、その名をレッドアリマーという。


 かつてフィヨルドはこのレッドアリマーと一度出会いそうになったことがある。

 数年前にエリアンテとムンクと一緒にモンスターハントをしていた際、女性の悲鳴が聞こえたので向かってみれば男の遺体があった。

 男の状況を確認していたところ、不自然なはばたき音が聞こえたことからその場を離れたため出会うことはなかったが、あの時近づいてきていたのはレッドアリマーだったのだ。

 レッドアリマーも女性を攫う習性があり、悲鳴をあげた女性を巣へと持ち帰った後、男の装備を奪うために再度現場へ戻ってきたのである。

 滅多に人の街に近い場所に来ないため、女性を攫ったのがレッドアリマーだと俺も冒険者ギルドもすぐに分からず、その後もかなりの被害を出してしまった。

 以降出会うことも目撃したという話もなかったのだが、まさかこのような偶然に近い状況で対峙する羽目になるとは思いもよらなかった。


 幸い防具は装備しており、武器も近くに置いてあったことからレッドアリマーに奇襲される前に迎撃の態勢をとることが出来た。

 レッドアリマーは武器を構えた俺を見て奇襲を取りやめ、その場でホバリングしながらこちらを観察する。

 レッドアリマーは知能が高いためかなりの固体差があり、1匹1匹性格や攻撃の好みが違う。

 故に必勝法はもちろん安定する倒し方というものは存在しないため、こちらもかなり慎重にならざるを得ない。


 レッドアリマーはこちらを見てニヤニヤ笑みを浮かべている。

 その思惑は計れないが先に攻撃の機会を与えてやろうという強者の余裕のように俺は感じ取った。

 こちらから仕掛けるしかない、万が一レッドアリマーが仲間を呼んだり別の魔物が乱入すればそれこそ勝ち目がなくなってしまう。


「氷塊よここに、無数の氷柱(つらら)となり我が前の敵を貫け!アイスニードル!」


 俺の眼前は氷の塊に覆われた、しかし1個の塊ではなく無数の氷柱の集まりである。

 一気にレッドアリマーに射出された氷柱だが、レッドアリマーは口から一気に6つの炎の塊を吹き出し、俺の撃ち出した氷柱をものともせずこちらに炎の塊が飛んでくる。

 炎の塊は避ける事は難しくは無い、しかし俺の撃ち出した氷柱が前面の視界を遮り、レッドアリマーが炎の後ろから俺に急接近していることに気付くのが遅れてしまった。

 それでもなんとか槍を横に薙ぎ払ったことで、レッドアリマーは攻撃を中止し急上昇して俺の槍を回避し、またこちらを見て嗤っている。


 まともに戦うと勝ち目は薄いな。

 距離を離された状態で魔法を命中させて倒すのはあの素早さを見るに回避されるだけで無理だ。

 接近してきたとしても一撃で致命傷を与えられなければそのまま逃げられるだろう。

 それでも全く構わないのだが、致命傷どころか傷つけることすら難しいのがな。

 変化して逃げることは困難だ、隙を見て逃げることは出来るだろうがその隙が無ければ全く意味が無い。

 絶対に当たる攻撃魔法でもあれば、と思うがレッドアリマー相手にそんなものは存在しない。

 存在しない、存在しないのだが……実は絶対に当たる攻撃なら存在する。

 近距離で食らわすことが出来れば必ず致命的な一撃になり隙も生まれる。

 俺は小声である風魔法を自分に唱える。

 レッドアリマーがこの魔法に気付いているか不明だが関係ない、近づいたときが貴様の最後だ。


 わざと隙を見せても近づいてこないだろう、幾度か魔法の応酬を仕掛けるがなかなかこちらに接近せず一定の距離を保ちながら俺の周りを円を画くように回っている。

 そしてついにその瞬間が来た、俺の土魔法とレッドアリマーの土魔法がぶつかり周囲に砂が撒き散らされ、俺に砂が降り注ぐ。

 その砂に紛れてレッドアリマーが俺に致命傷を与えようと急降下し俺に接近してくる、距離を詰めた、今だ、全力で行くぞ!


 ウォオオオッオオッ!

 俺は力の限り最も声の大きな動物、ホエザルの力で限界まで大声を出してレッドアリマーにぶつける。

 その音量は140デシベル相当と言われ、飛行機のプロペラエンジンの近くで120デシベル、ジェットエンジンの近くでやっと140デシベルなのだからその大きさが分かる。

 集団で鳴けば5キロ以上遠くに届くと言われる叫び声を直近で受けたレッドアリマーは反射的に手で耳を塞ぎ、上方向へ飛び俺から離れようとする。

 しかし攻撃態勢から急に手で耳を塞ぎ、人間から出るはずのない大きな音に驚いて思わず体を縮ませてしまったため、バランスは崩れ飛行速度は落ちて急な浮上や移動が出来ない、ここだ!


 俺の槍は隙を見せたレッドアリマーの胸を完全に貫き、致命傷となった。

 レッドアリマーは胸から槍を抜こうと槍に手をかけたが、間もなく絶命した。

 コイツの魔石は深い赤色をしており、宝石と同等の価値があると言われ、馬車を馬セットで買えるくらい高値で取引されるのだが俺はスライムとなって捕食することにした。

 手足が人間のように器用に動き、鳥のように空も飛べるとか、完全に人間や鳥の上位互換である。

 ここで逃せば次にいつ出会えるか分からない激レアモンスター、しかもとても便利なので取り込まない手は存在しない。

 この遺伝子はこれから重宝させてもらうよ。

 まずは自分にかけた風魔法、騒音から耳を守る魔法ミミフタを解除してからいただきまーす。

 

 こんな風に色々あるけれど、想像よりは順調にモンスターハントは進んでいるのだが、いずれは頭打ちになるだろう。

 今後の目標は、モンスターの領域である通称魔界に侵入してモンスターを倒してバリエーションを増やすことである。

 装備品を購入する金も手に入るし、魔物を捕食できるし一石二鳥。

 と言いたいところだが、魔の領域で戦うには良い装備が必要なのに購入する金が無いのが玉にキズ。

 だからまだまだ依頼もモンスターハントも続く、俺の冒険者ライフはまだまだ始まったばかりだ。

 フィヨルドの次回の活躍に御期待下さい。

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