↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/77

20 レプスキー=ダンプ出動

 総合ランクを上げる手段がないので早速プランBの準備に取り掛かろう。

 年齢の都合でランクを上げられないから、という理由だけではなく、本来の予定でもプランBは実行しなければならなかったのだが、それを早めただけである。

 では早速冒険者ギルドに行く、と言いたいところだが冒険者ギルドに行く服が無いので買ってからだな。



 今回行うことは冒険者ギルドへの登録、つまり新しい冒険者証を作りに来たのだ。

 もちろんフィヨルド=ボレオは冒険者ギルドにはすでに登録しており、冒険者証も所持している。

 基本的に同一人物が冒険者証を複数作るメリットは普通に生きていればほとんど無いし、そもそも規約で禁止されている。

 複数作るメリットが無いのは、もし冒険者証2枚あれば別人として取り扱われるので、依頼を達成しても片方のランクにしか影響しないからだ。

 つまりランクが上がりにくくなる、これによるメリットは俺が考えられる限り存在しない。

 強いて言うなら何かやらかして別の街で別人として再起をかけるときくらいだが、冒険者証が使えなくなるくらいのやらかしはほぼお尋ね者である。

 そんな状態で冒険者ギルドに行くのは指名手配犯が免許更新に運転免許センターに行くが如し。

 更新終了後に乗る車は自家用車じゃなくパトカーになっちゃうやつです。


 では何故俺は新しい冒険者証を作りに来たのか?

 それは俺がフィヨルド=ボレオではないからだ。

 今の俺はレプスキー=ダンプ、フィヨルド=ボレオとは似ても似つかぬ男である。

 フィヨルドがクラブで迷惑なナンパしてくる欧州系の顔立ちならば、レプスキーはストリートでヒップホップを踊っていそうなアフリカ系の顔立ち。

 これを同一人物と言うのには無理がある。

 しかし何故俺はこうなってしまったのか。


 理由は単純で、人間にも種類があるからである。

 俺は合成獣(キメラ)で、鳥になることがあるが、鳥といっても様々な種類、鷹、鷲、ハチクマの他多数の鳥の姿になることができる。

 これを人間に当てはめると、ホモ・サピエンスという一種類ではなく、ネアンデルタール人やらデニソワ人のように何種類かに分類されているのだ。

 俺の前世の惑星Tではホモ・サピエンスに統合されているが、この異世界は数種類の人間が現存しているようなので俺は何種類かの別人になることが可能なのだ。


 つまりレプスキー=ダンプはゲームの別垢みたいなもので、同一人物が操作していても本垢のほうには何も影響しないようなものか。

 そしてプランBとは別垢のレプスキー=ダンプも運用し、状況に応じ使い分けることである。

 このプランBは元々予定にあったのだが、総合ランクBに早く上がるために本垢のフィヨルド=ボレオを優先してランクを上げる計画だったためまだ実行されていなかった。

 しかしその計画が頓挫してしまったのでプランBを早期実行することで無駄な時間を省くのだ。

 将来的には最低でももう1個は別垢を作る予定だ、使い道は色々。



 では早速俺のホームであるアズールの冒険者ギルドに登録に行くぜ、それと俺のことは気楽にレピィと呼んでくれよな。

 冒険者ギルドで新規登録は簡単だ、窓口に行く、必要なことを書いて出したらカードをくれるからそれで終わりさ。

 初めての窓口だから少し迷ったが新規登録に来たんだよ、と窓口のレディにご挨拶。

 レディは慣れた様子で机から紙を出して俺の個人情報を記載しろとさ、そんなに俺の個人情報が知りたいのかい?

 仕方ねえな、部屋には何時でも歓迎するぜ。

 とはいっても俺の個人情報なんて正しいかわかったもんじゃないんだがな、名前も年齢も家族も全部。

 正しいのは性別だけなのが悲しいところだな。

 とはいっても目の前にいるのが男と女、それだけ正しければ他はどうでもいいと思わないか?


 俺の小粋なトークも目の前のレディは何の反応もねぇ、そんなことよりも保証人だって?

 そんなもんいやしねぇ、家族とケンカして今はただのロンリーウルフさ。

 師匠もいねぇよ、あぁ、目指す男ならいるぜ、この街の英雄のビルコットだよ。

 アイツの銅像の横に更にデカい俺の銅像を立てるのが夢だね。

 それだとFランクでしか登録できないけどいいのかって?

 俺はやっちまったことと仕事以外の依頼主の話には振り返らないって決めてんだ、それで頼むぜ。

 聞くことはそれだけかい? もっと聞いてくれてもいいんだがな。

 個人識別用の指紋を押印したらそこの椅子に座って待ってろか。

 いい席だ、こんな美人さんを見ていられるなんてここはとんだVIP席だな。


 おっ、出来たのかい?

 いやいや全然待っていないぜ。

 目の前にステーキがあったらまだホカホカのまんまさ。

 総合ランクF、依頼のランクもオールF、こいつはどこかで見たことがあるな、そうだ、俺の学校の通知表もこんな最低ランクばっかりだったぜ。

 じゃあこいつはもらっていく、ありがとな、できればこの後一緒にお茶でも飲めれば最高なんだがどうだい?

 茶を飲む前に水を浴びろだって?

 ああ何時でも浴びるさ、寝室の横に用意しておくからよ。



 どうやらあのレディは温浴場と寝室は分けるタイプらしい、ずいぶんと不機嫌に追い出されちまった。

 じゃあ次は依頼を見に行くが今は見るだけだ、受けるつもりは全く無い。

 何故なら今の俺が受けられる依頼は労働の中でも最低ランクの依頼しか受けられねえからな。

 あんな依頼受けても宿代とハンバーガーくらいしか食えねぇ金しかもらえねえんだ。

 1ヶ月くらい真面目に働きゃEランクには上がるがそれでもハンバーガーにポテトが付くくらいだ。

 そんなんじゃ俺のボディが財布と同じくらいスリムになっちまう。


 だから依頼は受けずに採取や納品の依頼品を持ち込んで達成するか、モンスターを討伐してランクを上げるんだ。

 それで依頼ランクも総合ランクも上がるのはライトウラから調査済みさ。

 アイツの口はヘリウムガスのように軽かったからな、感謝するぜ。

 総合ランクがDに上がれば依頼は一個下のランクのEまで受けることができる。

 そこまで行けばフィヨルドの奴と同じようにランクを上げれるのさ。

 しかもレプスキーは18歳で登録してある、これならいつでもCランクになれるんだ。

 地元補正がどんなもんか知らないが関係ねぇ。

 依頼をこなせばランクが上がる、シンプルでいいじゃないか。


 冒険者ギルドでの登録が終わったから次はランク上げだが、報酬の安いものは俺が、高いものはフィヨルドが達成したことにするつもりだ。

 フィヨルドもあまりサボっていればランクに影響があるし、高ランクの依頼を達成したところですぐにランクが上がるわけじゃねえからな。

 高ランクの依頼をたまに達成するよりは低ランクの依頼を地道に継続して達成するほうが大事なんだ、偶に成功してデカい顔できるのは預言者くらいなもんさ。

 冒険者ってのは他に仕事が無いやつがなることが多いからな。

 コネや伝手がなかったやつは仕方ねえが、サボったり手癖が悪くてクビになったやつもいる。

 どれだけ良い仕事ができるかはもっと上になってからの話さ。

 低ランクで大事なのは真面目に仕事をするかどうかが重視されるんだ、遅刻や欠勤の常習犯のバイトが店長になれるわけないだろう?



 じゃあ今日はウサギ狩りでもやろうじゃないか。

 とはいってもケージの中に飼われているような可愛いウサちゃんじゃねえ。

 額にツノが生えたホーンラビットっていう立派なモンスターさ。

 魔石は安いがゴブリンと違って肉も売ることができるので、財布にもお腹にもやさしいウサギだが凶暴さは街中のウサギとはわけが違うぜ。

 牙は肉食動物のように鋭く尖っているし、集団生活をしていて襲われたら冒険者を囲んで仲間にツノが刺さるのを恐れずツノで刺そうと飛んだり突進してきやがる。

 自爆覚悟で玉砕を狙うなんて、ホーンラビットはカミカゼが転生したのかと錯覚しちまうな。

 見た目の可愛さとハンバーガーのパテになるイメージから初心者が手痛い反撃をもらうモンスターのトップだからな。

 綺麗な薔薇にはトゲがあるとはよく言ったもんだ。


 そんな凶暴なウサギの攻略法は盾と下半身の防具を調えることがまず一つさ。

 所詮はウサギだからな、奴らのツノはせいぜい腹までしか届かないからそこまでをびっしり防具を着込めばそこまで怖くねえ。

 それでも周りを囲まれるとちと不安になるからな、もう一つコツがあるぜ。

 それは今からやってみるからよく見ていてくれ。


 あそこに10匹のホーンラビットがいる。

 奴らが食事中で足元の草に夢中になっているのを確認したら中心にデカい火の魔法をぶち込んでやるのさ。

 するとホーンラビットはチェーンソーを持ったマスクマンを見つけたようにバラバラに逃げるから、あとは各個撃破していけばいい。

 何匹かに逃げられることもあるが、ホラー映画では生存者がいないと続編が作りにくいから仕方ないと諦めるのも肝心だ。

 必死になって追い掛け回している間に誰かにホーンラビットの死体を奪われちまうかもしれないからな。

 泥棒猫は何処に現れるか分かったもんじゃねえ。



 ホーンラビットを無事にゲットした帰り道、珍しい物を見つけたからこいつも頂いていこう。

 地面に生えているのはマンドラゴラ、薬草の一種だが噂では黒魔術なんかに使われているらしいぜ?

 滅多に見つからないうえ、引っこ抜くと人間に似た根っこが叫び声をあげて、まともに聞けば気が触れてしまうヤベェ草だ。

 それでも薬にすればすげえ効果があって、死神とワルツを踊っていた病人が死神の手を掴んで地中海までぶん投げるくらいの効果があるんだとさ。


 普通のマンドラゴラの採り方はまず人間でいう目のところまで土を慎重に掘って、次に草と根の間をロープでしっかり結んで樹の枝に引っ掛けて石なんかの重りを使って引っこ抜く。

 まぁ俺の場合はそんな面倒しなくても、叫び声で気が触れるのは人間だけだから適当な動物になって掘っちまえば関係ねえんだがな。

 このマンドラゴラは高値で売れるからフィヨルドで依頼を達成させよう。

 マンドラゴラは希少だから何時でもギルドから採取依頼があるんだ。

 とはいえ何時でも買い取ってくれるからといってすぐに渡す必要もねえがな。

 蛇のようにチャンスを待って民間から高額な依頼が待ってもいい。

 今回はホーンラビットの収入があるからすぐには売らないぜ。

 タイミングは大事だ、広大な砂場が黄金の水の採掘場に変わるみたいにな。



 ホーンラビットの肉と魔石は売り払ったけど、別にこれ普段レピィになる意味ないな。

 だって依頼の品を持っていくときだけレピィになれば問題ないわけだし、レピィのままじゃ良い依頼あっても受けられないし。

 と言うわけで今度またフィヨルド中心の生活になるから今後ともよろしく。

 レピィは気分変えたいときだけでいいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。