↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/77

19 冒険者ギルドのオアシス?

この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。

 金策とはいっても地道なことをコツコツする時も必要。

 依頼の豊富なアズールに戻ったのだが、今日は俺の琴線に触れる依頼は無い。

 俺の冒険者の総合ランクはDだが受けられる依頼のランクにEが多いのは見栄えがちょっと気になるところ。

 たまには別の種類の依頼でも受けようかなと思い、調査依頼を受けることにした。

 今回の調査依頼はチェックポイントを通りながらモンスターが生息していないか、異変の兆候はないか等を探索調査する依頼だ。

 それだけだと行ってないけど行きましたと嘘の報告をする事案が多発するので、冒険者ギルド職員やギルド付きの指定冒険者が同行するのがネックなところ。

 依頼は明日の朝からなので今日はこのまま宿を取る、路地裏にも顔を出して交流を深めた。



 翌朝、冒険者ギルドで今回の調査依頼に同行する職員を待つ。

 冒険者ギルド職員が調査依頼に同行するのは街の外の状況を知ることだけでなく、冒険者がどのような活動をしているのか、ということを実際に見るために来るのだが予想外な人選であった。

 今回同行する人は事前に知らされていなかったのだが、意外なことに事務を担当する女性らしい。

 男性と女性が一緒に行動すると男女特有の問題が起こったりすることがあるので、男性が来るものだと思っていたが……今回の調査箇所は日帰りコースだからOKなのかな。

 ちなみに男性職員限定で2泊3日コースもある、手厚く守られるとはいえ大変だ。


 冒険者は男性の割合が高く、女性と知り合う機会の少ない冒険者としては冒険者ギルドで会話できる女性職員はまさにオアシスのような存在と言われている。

 俺の目の前に現れたのもまさにその存在の一人であるが、若干の訂正がある。

 冒険者ギルドには様々な受付があるのでオアシスは一箇所でなく複数ある、英語っぽく言うとオアシズである。

 そんな冒険者ギルドのオアシズの一人、ライトウラさんが今回の同行者だ。

 準備万端で来てもらったのはいいけれど、とりあえずその赤い眼鏡外してもらえませんか?

 前世を思い出して集中できないです。



 ちょっとー歩くの早いってー、待ってー、と後ろから声がする。

 俺は本来護衛すべき対象であるライトウラさんの近くにいるべきなのだが、調査コースが街からとても近いのでモンスターや危険な野生動物と出会う可能性は極めて低い。

 とはいえ後ろでぜーぜー息を切らしているライトウラさんを見ると、色々な意味で笑ってしまいそうになり、笑うと怒られそうなので歩くペースを落とすことにした。


 ライトウラさんと同じペースで歩くことにしたのだが、そうなると隣にいるのに何も話さず歩くのは微妙に気まずい。

 仕方なくこちらから、ライトウラさんっていつから冒険者ギルドで働いているんですかー? とか当たり障りのない話を振る。

 フィヨルド君13歳なの? 見えなーい、私もう22歳でさー、とか友達のカヨーコが転職してさー、とかいらない話をしながら会話を進めていくと、ライトウラさんは冒険者の管理に関する職務に就いていることが判明した。

 コイツは好都合だな、冒険者ギルドで中々仕入れることができない情報をふんだんに所持している可能性が高い。

 適当に相槌を打つ作業を止めてライトウラさんをちょっと褒めたり持ち上げたりして、機嫌を取って口を滑りやすくしてもらおう。

 なんか私全然もてなくてさー、と言うライトウラさんに、そんなことないっすよ、めちゃめちゃイケてますよ~などとご機嫌を取る。

 すると、えぇーそう? と言いながらも笑みは隠せず、驚くほど簡単に機嫌が取れた。

 これはいけると思い、前々から聞きたかったことがあったんですけどいい? と尋ねると聞きたいことー? 何でも聞いていいよーと言ってくれたので遠慮なく聞きましょう。



 現在最も重要な情報は冒険者ランクに関してである。

 依頼で金を稼ぐためには冒険者のランク上げはとても重要なのは言うまでもないだろう。

 それ以外にも総合冒険者ランクが上がれば合法的に他国に行くことができるほか、上流階級しか知ることの出来ない情報を入手したり、一般人が入れない場所に合法的に侵入することが可能になる。

 なので冒険者ランクは総合も依頼もさっさと上げるのがお得、だからさっさとランクを上げる方法を知りたかったんですね。


 とはいってもまだまだ時間もあるので、質問攻めにするわけではなく雑談を交えながら必要な情報を入手していきましょう。

 自分Bランクになって他の国や大陸に行ってみたいんですけど、行ったことあります?

 今Dランクなんですけど早くBランクに上がりたいんですよね~。

 とはいってもまずCランクにならないと駄目なんですけど、どうやったら早くCランクになれるか知ってます?

 という感じで会話を進めて早くランクを上げるを聞いたところ、フィヨルド君にはまだ無理かなーと言われてしまった。

 微妙に含みを持たせた言い方が気になります。

 まだって何で? 依頼の方のランクが足りないとか? と聞くとそっちも足りないけど年齢がねー、と言うので年齢関係あるの? 聞いてないんですけど。

 だってCランクは成人してないとなれないよー、依頼の方は関係ないけどさーというライトウラさんからの衝撃の発言。

 ちなみにうちの国の成人年齢は18歳、あと5年もあるって長すぎない?

 聞いてないぞそんなこと、冒険者ギルドの規約にも書いてないし、先生に聞いたって教えてくれなかったじゃん。


 どうしてこんなイカれた仕組みになっているんでしょうか、わけがわからないよ。

 Cランクは一人前の冒険者扱いだからねー、責任とか色々あるしさー、依頼した人もCランクを依頼しておいて来るのが未成年だとちょっとねー、と説明を受けるが理解できても納得できない。

 確かに例えるなら自宅の配線工事を16歳少年が一人でやりますと言われたら、仮に一人前の技術があったとしても不安になるようなものだろうけど。

 安い業者(Eランク)ならまだしも高い業者(Cランク)使ってそんな人材に来られたら依頼した人はどう思うか?

 ということで考えれば分からなくは無いけど……無いけどという感じ。


 一部の人間が知れば問題になったのかもしれないが、何故か依頼のランクはCまで上げられるから大きな問題として取り上げられなかったのかな。

 実際問題総合Cランク以上の冒険者に頼む依頼って重要度が高い依頼が多いけど、総合Dランク以下に頼むのって依頼者はともかく周囲への重要度は低い物だし。

 まぁ俺だって神様からプレッシャーをかけられていなければ大した問題ではなかったので、大半の人間には問題が無いのだろう。

 つまり俺にとっては問題大有りですがね。


 うーん、ライトウラさんに言ったってどうにもならない問題だしなぁ。

 俺も20歳になったら即タイムオーバーというわけではないからまだいいけど、時間を無駄にすることは良いこととは思えない。

 CランクからBランクになるのだって時間がかかりそうだし最悪5年ロスはちょっと見過ごせない。

 本来はこのままBランクを目指しつつ資金と装備を調達する予定だったけど、これはちょっと予定変更する必要があるな、プランBの計画は早めよう。

 それはともかく今はライトウラさんから情報は抜けるだけ抜いておこう、聞きたいことはまだまだある。



 ライトウラさんから話を聞いて未成年って不便だなーって思った。

 総合ランクはCにならないし、依頼もBランクまで上がらないし。

 とはいっても依頼Bランクは最低でも総合Cランクが条件なのでどちらにしろ受けれないけど。

 でもCランクの依頼でも総合ランク指定しないと未成年が来るのは責任問題とか大丈夫なんですかね?

 結局はケチらず金出せば信頼できる人寄越すよって方針なんだろうが。

 でも信頼の意味で言えば身元がはっきりしている俺のような冒険者と身元不明の冒険者がランク一緒なら同じように扱われるのってどうなんだ?


 その辺ってどうなの? ってライトウラさんに聞いたら、んーまあいっか、と前置きしつつ小声で話してくれた。

 身元が信頼できる人のほうがランク上昇しやすいんだよね、これは内緒だから言っちゃ駄目だからー、と話しちゃいけないことをペラペラしゃべってくれた。

 一応そういう違いはあるのね、どこまで綿密にやってるかは分からないけど。

 身元も地元ならともかく余所に行けば信頼できるか否か微妙になってくるだろうし。

 だったら地元で依頼受けたほうがランク上がりやすい? と聞くと、かもねー、私は詳しく知らないけど、と言われた、役に立たねぇ。


 そういえば俺やフェルノと一緒に冒険者見習いをやっていた女が俺と同時期くらいにDランクに上がったと帰省した時に聞いたが、もしかしてあれ地元補正入ってるんじゃないか?

 どう考えてもアイツより俺のほうが依頼成功していると思うし。

 地元補正がどれくらいあるか知らないけど、そういう話はもっと広めたほうがいいと思う。

 地元の人材流出防ぐのに役立つんじゃないかな。



 おしゃべりという名の情報流出タイムもそろそろ終わり、最後のチェックポイントも通過したので後は冒険者ギルドに戻るだけだ。

 得られる金は今日1日ギリギリ生活できる程度の小額だが、それ以上の価値のあるものを貰えたので良しとすることにした。

 街に戻って依頼完了したところでライトウラさんから暇ならこの後食事とかどう? と誘われたが丁重に断った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。