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転生したら修道院送りになってました  作者: 桐浜このみ


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 この一週間で、修道女としての一日の過ごし方がなんとなく分かってきた。


 朝起きて顔を洗い身支度を整え、渡り廊下を通って教会に行き、三時半からお祈りの時間。三十分ほど教会でお祈りを捧げて、それぞれの持ち場へ行く。洗濯をする者、朝食を作る者、掃除をする者。大体一つの組に五人程が振り分けられる。

 アーデルハイトは、掃除組に分けられた。教会、中庭、修道院内を五人で手分けして掃除していくのだが、まずは地下にある掃除用具置き場に、必要な道具を取りに行く。


「アーデルはもうこの生活に慣れてきた?」


 黙々と喋らずに静かに行うものだと思っていたので、初日に向かう道中で話しかけられた時はびっくりした。


「はい、だいぶ慣れてきたと思います。一日の流れも分かってきましたし」


 よく親しくしてくれるのは、アメリアという同じく孤児院の子供たちの世話を担当している溌剌とした女性だ。

 孤児院の中でも二歳から五歳位までの幼児の面倒を見ていて、よくよく話を聞いてみると、最初に訪れた遊戯室にもう一人いた女性だった。

 アーデルの前にいた修道女は二週間程前に、この修道院を離れたそうだ。そのためアメリアが、二歳以上の全ての子供たちの面倒をみていたらしい。


「…それにしても、ずっと思っていたのだけど、綺麗な発音よね。いい所の育ちかしら?」


 その質問に対してアーデルハイトは言い淀む。公爵家出身ということは隠そうと院長たちと話していたが、代替案を考えてはいなかった。


「こらアメリア。そういうことは聞かないの。御法度よ」


 後ろから声が飛んでくる。孤児院の部署を管轄しているテレーゼだ。正直助かった、と思った。


「色んな理由でここに来てるんだから。言いたくない人もいるでしょ」


 はーい、とアメリアは返事をして、ごめんねとアーデルハイトに謝る。これならば、言いたくない、でなんとか凌げそうだと思った。


 掃除の時間も手を動かしながら、口も動かす修道女たち。アーデルハイトは、考えているよりも戒律は厳しくないのかも、と思えてきていた。


 掃除を終えると、次は朝ごはんの時間だ。修道女たちが食堂で一堂に会し食事を共にする。総勢十五人。食べ終わった者たちから、順に台所に行き洗い物を済ませる。

 アーデルハイトは食べ終わるのが一番遅かった。多くの者は朝食の後、次の仕事までの時間がちょっとした休憩時間になるので、早く食べ終えようとしていた。アーデルハイトは、早く食べ終えようという気がそもそもなかったし、口に運ぶ一口が、小さい頃から躾されている成果で、小鳥の一口並に少ないのだ。咀嚼回数も多くなるので、自然と食事に時間がかかった。


 七時から十一時までが、次の仕事だ。アーデルハイトは孤児院に行き、孤児院の子供たちと共に過ごす。それぞれ自立しているので、起床や食事を手伝うことはなかった。子供たちと使う部屋を共に掃除し、三階にある男子部屋と女子部屋をそれぞれ掃除する。

 掃除が終わったら、字を教えたり、本を読んだり、共に遊んだりする。

 アーデルハイトは合間をぬって、別室で一人ずつ腰を据えて話す時間を大切にした。悩んでること、気になってること、好きなこと、将来のこと。子供たちのことを少しずつ知っていく機会を作った。

 そうしていると、お昼のお祈りの時間になるので、子供たちも一緒に教会に行く。その後、修道院の食堂で子供たちと一緒に食事をする。

 食事の後は、一時間の自由時間。そして次に手仕事に入る。刺繍、薬草作り、写本、それぞれ担当が分けられ約二時間、ここでは流石に黙々と作業をする。

 アーデルは写本の仕事を与えられた。この修道院で働いている者でも、字を読み書きできる者は限られている。そういった人が、写本の仕事や寄付の管理をする会計などに割り当てられる。

 字を間違えずに書き写すのは、高い集中力が必要だ。書き損じは許されない。この仕事は肩と首が凝る。


 それが終わると、16時半までまた子供たちと過ごす。

 庭で遊ぶこともあるし、刺繍を教えることもある。

 そして、夜のお祈りをして、子供たちと共に食堂で夜ご飯を食べる。17時半には食べ終わるので、そこから湯浴みをして、身支度を整え就寝という一日だ。


 ただ、アーデルハイトは就寝の前に、いつも次の日の勉強の計画をしていた。何を教えるのか、どう教えるのか、事前に思考して準備があるものは、この時間にしていた。夜寝る時間は自ずと遅くなり、睡眠時間はどんどんと削られていった。


 前世は夜が遅い仕事だったため、家に帰ってくるのは24時を回っていた。そこから夜ご飯を食べ、次の日の授業準備。朝方4時に寝て、9時に起き寝覚めのシャワーを浴び、日によっては研修に出てから、校舎に行く。特に一年目は始業前の研修も多く、短い睡眠時間には慣れていた。

 ショートスリーパーというわけでは決してなかったが、いつの間にかこういった生活が当たり前になっていた。

 短い睡眠での修道院の生活も、苦労することなく慣れていった。


 修道院での生活は一日の流れが規則正しく全て決まっている。ただ、自由時間も多い。修道院送りになると、残りの人生はもう監禁生活のようになるものだと思っていたが、公爵家の生活よりも、アーデルハイトにはやりがいのある生活に感じていた。




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