第三十五話 誕生日会
1月1日――。
新しい誕生日――。
今日の俺はハッピーバースデーという気持ちとは裏腹に、状態は最悪だ!!!
「そのまま動かないでください。あ~、逃げてもムダですよ」
「おも~い~~!?」
今日開かれる誕生日会が、ラブピース王国での初お披露目となる。そのせいでエイドさんに重武装させられ、まったく、たまったもんじゃない(かわいいよメアちゃん)自分をかわいいと言うのはどうかと思う……。
でも、鏡に映る俺の姿はいつものかわいい二次元キャラクターだ。……三次元だけど。
(ふっふっふ、ツーサイドアップのテールはお母さん達と同じデカリボン――ちっちゃなピンクハートの魔法石付き――で結って、お父さんのブローチもちっちゃなお胸に付けて完璧よ。まったく将来が楽しみね)五年後の姿は知ってるクセに……。
「腰のリボンはコレにしましょう」
俺の背の半分を優に超える、妖精みたいなリボンを婆ちゃんがほくほく顔で持っている。このままでは動けなくなる!(この程度軽いものでしょ? 5kg以上の箱を片手で持って驚かれたじゃない)俺の心が重いと泣いているのだ!
「くつはこれがイイーーッ!!」
両端に羽が付いている靴を、母さんが頭上に掲げながら走って来た。俺はそれを受け取ってイスの上で履く(それはイイの?)こんな中二心を擽るのはドンと来いだ。
……
……ん? 母さん達が内緒話をしている。何の話をしているのだろう?(もう着替え終わった~?)
「ごめんなさいね」「大変申し訳ございません」
へぇ!? 婆ちゃん達によって、急に宙吊りにされた。
「くまさん~♪」
母さんがくまさんパンツを広げて手に持っている。
「やめちぇぇ、ば~ちゃ、エイド、ママ!?」
「もう粗相もしないですし、そろそろ頃合いだと思うのです。未来の女王がおむつなんておかしいでしょう?」
今日で一歳なんだからむしろパンツの方がおかしいよ!!
「最高級の肌触りで一度穿けばもう戻れません。きっとお気に召されると思います」
そんなもの一度穿いたら、違う意味でもう戻れないじゃないか!!!
「じ~ちゃ、ジエン! たちゅけてぇ~~!!」
爺ちゃんが後ろを振り向いて、我関せずを貫く。ジエンさんは頭を下げてから俺を背にした。
クッソオオオォォォーーーッッ!!!
「ぬぎぬぎ~♪」
紙おむつを母さんに脱がされた!?
無我夢中で暴れるも脱出敵わず、まったくビクともしない(これでまた一歩女の子になるね)冗談じゃない! スカートだけでも俺の心はズタズタなのに、これ以上は人格が増えるぞ!!
(今度は中性? どんな子かな~♪)ちょっとは手伝ってくれよ(穿くのを?)ちっが~う~! おい、やめろ主導権を取ろうとするな。裏でおとなしくしていろ。やめて、おねがいします。ほんとうにぃぃ!!!
「チノ様がメア様を封じておられます。今がチャンスです」
「はきはき~♪」
あ~あ゛~!! なんだろうこのフィット感。収まるとこに収まったこの感じ。悔しいがたしかに戻れない……。
はっ!(乙女の~階段~の~ぼ~る~♪)歌うなぁぁぁ!!
「さあさあ、主役が出ないと始まりませんよ」
意気消沈している俺とは裏腹に、女性陣は意気揚々。恨みの込もった声を出しても、事態は変わらない。むしろみんなおかしさを堪えている。
そんな中、俺は謁見の間で開かれる誕生日会に連行された。
…………
……
「ラ~ラ~ラ~♪」
高らかにエイドさんが歌い始めると、オーケストラが楽器のハーモニーを奏で、幕が上がる。
「「「今日は~我が王国~姫二人の~♯」」」
小人メイドのナリーさん率いるメイド隊が、照明を浴びながら来賓近くで楽しそうに踊りを披露。
「「「一歳の~お誕生日~♭」」」
蟲人執事のオーディさんを中心とした執事達が、暗闇の中で魔法の花々を咲かせ、謁見の間を色鮮やかに彩る。
「「「さあ~みんなで~祝いましょう~♯」」」
メイドさん全員が謁見の間の真ん中に居る、鼠獣人メイドのアーディさんに集まる。そして、火魔法を放つと燭台に火が灯され、虹色の輝きを見せる。
「高らかに~♯」「煌びやかに~♯」
「誇らしげに~♭」「勇ましげに~♭」
謁見の間を全従者で等間隔に配置、エイドさんの合図でいっせいに床へ魔導具を落とす。すると、幻影の光る植物が辺り一帯に出現。
「「「祝福しよう~♪」」」
掛け声とともにテーブルのグラスに飲み物が注がれ、来賓の人達に配られた。
「「「ユナ様は~総長と~師匠の娘~♭」」」
兵士達の低音の効いた声が響き渡る中、イラ叔母さんに抱かれたユナちゃんがライトアップされる。その後で兵士達が武器で床を鳴らし、まるで軍歌のような勇ましい曲が場を包み込んだ。
「「「赤い髪に~紅の瞳~♯」」」
なおも照らされ続けながら、ゆっくりとイラ叔母さんが玉座に移動している。
おお、ユナちゃんは天使のようだ(白と青のちょっと騎士然としたドレス姿もかわいい!)同じ《運命の子》だからか、俺が隠れている場所をすぐ見つけて、目を細めている。
笑顔で両手を振ると恥ずかし気にそっぽを向いた(きゃー! か・わ・い・い・!!!)
「「「まるで~伝説の勇者~ブレイブ様~♭」」」
……
海人のトセトラさんと鳥獣人のソノタオさん、ロリコンエルフのオゼイエが、神竜ファフニールと勇者ブレイブの寸劇を煌めく舞台で演じている。
「フッハッハッ~トドメだバード~♭」
「きゃあ~誰か助けて~ ♭」
「そこまでだ~≪神々の黄昏≫~♯」
……オゼイエ、お前がファフニール姫役なのか(顔だけは美形だから、適役じゃない)
「必殺~≪勇気の証≫~♯」
「や~ら~れ~たチキ「必殺~≪勇気の証≫~♯」」
「や~ら~れ「≪勇気の証≫~♯」」
「や「≪勇気の証≫ ≪勇気の証≫~♯」」
ブレイブ役のトセトラさんがやけっぱちに、異界の魔王役のソノタオさんを滅多切りにしている(目に生気を感じないね)その気持ち、わかるよトセトラさん!!
あれ、あの場面ではまだファフニールは竜じゃなかったっけ?(こまけえぇ事はいいんだよ!!)それもそっか。あっ! ソノタオさんが退場した。
「オオーウツクシキヒメヨーアナタノナマエハー♯」
「ファフニール~貴方のお名前は~♭」
「ブレイブー♯」
「ファフニールー♯」「ブレイブ~♭」
二人が抱き合っている。トセトラさんの目が酷く濁っているような(てめえ男のクセに姫役してんじゃねえぜ。こっちは、何が悲しくて勇者役なんだ。普通逆だろうがあ!!)
急にどうした?(トセトラさんの心を代弁したの)……オゼイエが青ざめるほど抱き死められてしまい、スポットライトが徐々に暗くなって誤魔化している。
何か要らない言葉を口走ったのか、トドメを刺された(アーメン~)
……
「「「ア~ア~ユナ様は~♯」」」
「「「未来を~照らす~希望の花~♪」」」
人源のモブがガーベラの花束をユナちゃんに捧げている(赤いガーベラかあ。ガーベラの花言葉は希望、前進。赤色だと神秘に、燃える神秘の愛だっけ?)前世の記憶ではそうだな。よく探せたな?(まあねぇ♪)
「「「そして~♪」」」
スポットライトを浴びているジエンさんとエイドさんが、俺の両脇に来て跪ずく。う~緊張してきた(今までの練習を信じるのよ)
「「未来の王~メア様~♪」」
日魔法による陽光が集まりみんなの視線が集中する。人、多すぎ!(ど、どうしよう、体が動かない)
……
ほんのひと時の静寂が、謁見の間を支配した。
『も~今日のために~、頑張ってきたんでしょ~』イ、イスナー(イスナーちゃん!)
俺達を応援してくれている幼女姿のイスナーの絵といっしょに、こどじが届いた。
『ほ~ら~、城のみんなも応援してるよ~。それに~メアちゃんは男なんでしょ~。ここでビビッちゃったら~、ほんとうに女の子になっちゃうよ~♪』
俺は男だッ!!!
見てろよなー!『(チョロ~)』
「わにゃちはメア~ラブピースおうこくにょ~♪」
エイドさん直伝の歌声のお披露目だ!!(お婆ちゃんとの訓練の成果お見せしちゃう!!)
「おひめちゃま~♪」
ちっちゃな台座から飛び降りて、足で弧を描く『(えぇ~!! 自分でお姫様って~!? 男は~?)』
魔法使いの部屋でも練習したんだ。絶対に上手くいく!!(がんばるんだからー!!)
玉座にいる母さんが土魔法を唱えると、透明の階段が練習通りに出来上がる。
それをスキップで駆け上がり、母さんがとってもかわいいと言ってくれたポーズを決めた(城のみんなも褒めてくれたもんね)
「きょうにぇ~メアと~ユナは~♪」
来賓の上に浮遊している虹色の台にジャンプ(ツーサイドアップのテールがぴょこぴょこ)スカートを翻しステップを刻む。そうしてまたジャンプ。
虹色の台は着地するたびに鈴の音が鳴り、鱗粉のように光る結晶が周囲に散らばり流れる『(女の子らしさを~、バラ撒いている。~)』
「いっさい~ふぅぅ、です~♪」
息を整え、焦らず、確実に一個ずつ、台に飛び乗っていく。あと三つで玉座(あとちょっと!)
カチャン
うわっ!(きゃっ!)
誰かが食器を落としたのか、反応して下を向いてしまった。
た、高いーーッ!!!
(メア~ちゃ~ん~~)弱気な声を出すな、俺は男だ。やる時はやる漢だ!『フラグ~? 足がプルプルしているよ~?』フラグじゃない!
デフォルメされた俺の頭に、イスナー型のフラッグが生えた不吉な物を送ってくるんじゃない!!
「ふぅぅ~~、よち!」
俺は力強く台を蹴って、次の台に――を通り過ぎちゃったああぁぁぁ……(メア~ア゛~!!!)『フラグ回収~、ありがとうございました~』
「うわぁぁ~~~、ふみゅん!! あいちゃあぁぁ~!?」
「「「メアちゃん!!!」」」
「「「「メア様!!!」」」」
体に怪我はない。俺、頑丈だからな(失敗してんじゃないわよ!!! どうするの!)まだ挽回できるから。俺を信じてくれ!
失敗はチャンスだ。ふぅ~。
「ちっぱい~ちても~くじけにゃい~♪」
ワザと落ちた雰囲気を醸し出し、這い上がるように立とうとした。機転を利かせたエイドさんが片手を貸してくれる。続けて芝居がかった仕草でジエンさんも、もう片手を握った。
アーディさん達も俺の意を汲んでくれたみたいで、互いに頷き合っている。
「私達がぁー♯」「支えまチュ~♯」
「でございます~♭」
落ちてしまって崩れた衣装を素早く整えてくれた。そして、暗闇に何かの粉が舞うと、星々が煌めくように頭上で輝きだす(あれ!? わたし達も光ってない?)あの光る粉を俺達にもかけたのかな。
「僕達が~♭」「メア様を~♯」
「守りますバード~♭」
「なんせ~通称メア様のミュージカル隊だから~♭」
「「「そうだな~モブ~♪」」」
モブさん達が俺を守るように、周りを取り囲んだ。みんな背が高いから周囲が見えない。
女装中のオゼイエが俺の前から離れると、王様が乗るような豪華な馬車をエイドさんがだした。……物理の法則が乱れる(魔法がある時点で、物理なんてあってないようなものよ)
「「「ラ~ラ~ラブピース王国~♪」」」
馬車に入るように兵士さん達が並び、武器を掲げてトンネルを作り、従者さん達が魔法で出来た光る花道で導いてくれる。俺は案内されるがままに入っていった。
「「「愛と~平和の~♪」」」
爺ちゃん達が居る玉座まで馬車が移動している(馬が居ないけどこれも魔導具かな?)
「楽しい~王国~♪」
「ラ~ラ~ラブピース王国~♪」
「「「愛と~♯平和の~♭」」」
「「「楽しい~王国~♪」」」
玉座についたので馬車からエイドさんの手を取って降りた。母さんに飛び移り、精一杯歌う。
「きょうは~たのちんで~くにゃちゃい~♪」
持っていた魔導具の玉を、天高く投げると暗闇が一気に晴れた。
最後にキメのポーズだ。
みんな!
「「「ハッピーバースデー!」」」
決まったぜぇ!!!
……
(((なんだこの国は!?)))
来賓の方達は口を開けてポカーンとしている。
どうよ。ビビらずにやり遂げたぞ。さあ、俺を男として褒め称えたまえ。
『立派な~お姫様だったよ~』(これで、城以外の人達にもすごい女の子アピ-ルができたよ)
え? あれれ?
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【歌姫】 ⇒ 【歌姫+】
聞く人の心を揺さぶった、良い意味でも悪い意味でも
補正 MP+1 <new>魔法力+10%UP
【演技派+】 ⇒ 【演技派++】
見事に姫?を演じきりました?
補正 器用さ+10%UP クリティカル時、相手の防御力抵抗力30%無視 <new>器用さ+3
【みんなのアイドル】 ⇒ 【みんなのアイドル+】
一ヶ月に及ぶ特訓で城のアイドルに
補正 パーティのステータス+10%UP <new>TP+1
【馬鹿+】 ⇒ 【馬鹿++】
頭ラブピース
補正 攻撃力+1 抵抗力+1 <new>TP+1
【ミュージカル】
どうして人はミュージカルをするのだろう? それは楽しいから!!
補正 ステータス成長速度+10%UP
エイド ジエン 四馬鹿 三姉妹
【ミュージカル】 ⇒ 【ミュージカル+】
歌声溢れるステキな王国~♪
補正 <new>ステータス成長速度+20%UP
リザルト
ラブピース王国
あっ、この国、ヤベェ所だ
国力500,100 ⇒ 500,200
創作日記:ゲームをする。
いつの間にか1日が終わっている。
急いで書く、ふぅ~。
文字数が少なくなってる。
すまん。
未来日記:キボウノハナー、何やってんだよ作者!? 作者ッ!!! 希望の花のワ-ドを打ち込むだけで、自動再生されるからヤバイ! ミーム汚染が……。
文字数を補填。だいたい一話5000文字を目指しています。それなりに話を纏め、かつ描写を増やそうとすると簡単にオーバーするね。今回の大改稿では描写を増やす。とにかく増やす。でやったので次の大改稿では、逆に圧縮を目指す予定。でも増えるやろな~。




