第二十九話 大バカ者でも風邪はひく
「――へぷちゅ!」
「……こりゃぁ、風邪だな」
「う゛わ゛あ゛~ん゛!! メ゛ア゛ぢゃんがちんじゃう゛~!!!」
う~さぶい、息がしずらい、目がパシパシする(メアちゃんのせいで風邪ひいたじゃない! この大バカ者!! 罰として、治るまではずっと表にでていなさい!!! あと、ちゃんと症状の共有は切っといて)
わかっております。そして大変反省もしております。
でも風邪のおかげでまたスウェットを着れるのはありがたい『バカは風邪なんてひかないと思ってた~』ヒドイなイスナー! だいたいアレは風邪をひいても、バカで気づけないだけだからな(――諸説あります)
(……イスナーちゃん今日は忙しいって送ってなかった?)『え~!? あ~、まあ~、明日でもいいかな~って~』……心配してくれているのか?
『なぁ~ッ!!』へへっ、ありがとうな『だいたいメアちゃんが~、裸で逃げ回るのが悪いんだよ~!!』
イスナーのこどじから照れが伝わってくる。こどじ検定があれば俺はなかなか上位にいくんじゃないかな『ちゃんと反省してるの~』強く反省しております。
「へぷちゅ!」
「死にはしないけど。安静にしてないと…………、ゆっくり静かにさせてあげないと悪化するぜ」
トセトラさんがゆっくりと手を戻している。その横で顔面崩壊している我が母が何かを考えて込んでいるようだ。
「……そうだ! トセトラまほうでなおしてよ」
「ダメですよティア様! むやみやたらに魔法で治すと、病気に弱くなってしまいます。私も常にお傍に居ますから、ここは我慢してください」
「そうだなあー、ティア様が、はやく治るようにしっかり看病してあげれば、メア様もすぐに元気になって、病気にも強い子に育つはずだぜ」
母さんはいつものわかった!!顔で俺が寝ているベビーベッドによじ登ってきた。
バタンッッ!!!
「メアちゃんが病気だとーー!!」
「ばーちゃが来ましたよ!!」
大声が頭に響く。爺ちゃん達が勢いよく部屋になだれ込んできた。その後ろから、部屋の前で警備をしていたジエンさんが追いかけるように入ってくる。
「陛下方メア殿は病気でござる。お部屋ではお静かに!!」
「すまぬ」「申し訳ございません」
しょぼくれてしまった。しかし、俺が笑ってあげると安心した表情にすぐ変わる(でもお爺ちゃんの顔はやっぱり怖い)『あの表情が安心しているように見えるの~!?』見えるぞ! ちなみにこれが嬉しい時の顔で――(これが悲しい時の顔で――)
『ちょっと~!! 凶器を送ってこないでぇ~!!!』
「陛下方? 執務は終わりになられたのですか」
「執務など、どうでもよい」
「そうです! 今はメアちゃんが心配です!」
「トセトラ! ジエン! 陛下方を執務室にお連れしてさしあげなさい」
「「ハッ!」」
爺ちゃん達が何をするー!!など叫びながらドナドナされて行く。ゆっくりバイバイしてあげると喜びながら扉まで引きずられていった。
「執務なんぞすぐに終わらせて来るからの~」
「あなた久しぶりに本気を出しましょう」
「城が揺れるのでお控えてほしいかなあ」
「拙者が大臣殿に口添えするのでやめてほしいでござる」
(本気を出したら城が揺れるって!? ……本当なの?)『それで済んだらマシじゃないかな~』やべぇ(ヤバイ)
嵐が一気に過ぎ去って行ったな。何もしていなけど疲れた。
| 《「アラ!? ごめんなさ》
「メアちゃんさむくない?」
「へぷちゅ、ちょっちょちゃむい」
タオルケットをきれいに被せ直してくれた後に、もう一枚被せてくれた。さらに被せようとしてエイドさんに止められている(二枚で十分だから)さすがに三枚は暑いと思う。
手足が冷えていけるど体は燃えるように熱いからな。そして、涙を貯めて心配そうに顔を覗き込んでくる。
だいじょうぶだから。
「ねむくない?」
「ちょっちょにぇむい、へぷちゅ!」
リズムよく胸をポンポンと触れて、俺を眠りへと導こうとしている。そして自分も横になり子守歌を歌い始めた。何だか昔を思いだすな――――。
…………
……
「――へぷちゅ!」
「風邪をひいちゃったのかしら。昨日お布団を蹴飛ばして寝たでしょ?」
「うん、へぷちゅ、お母さん寒いー!!」
「はいはい、お布団をちゃんと掛けて寝てなさい」
お布団をきっちり掛けてくれて、ベッドで寝ているぼくに体温計を渡してきた。
「おにいちゃん、びょうきなのかな」
「▲▲▲ちゃんも病気がうつるから、お兄ちゃんにはあまり近づいちゃダメよ」
「イヤかな! ねえねえ~、おにいちゃんあそんでほしいかなー。きょうあそんでくれるってやくそくしたかなー!」
幼稚園の制服に着替えた▲▲▲がぼくの手を引っ張ってぶーぶー言っている。それに対してダ~メ~と叱るエプロン姿のお母さん。そんなやり取りが続くなか、ピーピーっと体温計が鳴った。
お母さんがそれを確認すると、少し頭を押さえて唸りだす。
「37.8℃か……。熱があるじゃない。今日はお仕事、休まないと――」
「なんだ●●●風邪か?」
ぼくの部屋にネクタイをまだ締めていないスーツ姿のお父さんが入ってきた。
「あなた、●●●ちゃんが熱を出しちゃって、病院が開いたら行こうと思うの」
「別にこっちが代わりに休んでもいいぞ?」
お母さん達が話している間に、▲▲▲が布団に入ってきた。風邪がうつるぞ? 次にシーッと指を口につけて、黙っているようにお願いしている。バレバレだと思うけど、本人は完璧に隠れているつもりらしい。
「あなたにはもしかしたら、明日休んでもらうかもしれないから」
「そうか、ちゃんと家でゆっくりしているんだぞ」
▲▲▲がお父さんに捕まえられて宙ぶらりん。やだやだおにいちゃんとあそびたいと喚き散らして暴れている。
「へぷちゅ、お母さん今日お仕事休むの?」
「そうよ」
「今日は一日一緒に居てくれるの?」
何だろうちょっと病気だから、お母さんに甘えたくなっちゃう。
「おにいちゃんだけズルいかなー!!」
「●●●だけズルいぞー!!」
「あなたも▲▲▲ちゃんも何を言っているの! はやくご飯を食べなさい!!!」
はーいと二人はハモってぼくの部屋から出て行く。ふっふ~ん♪今日のお母さんは、ぼくが独り占め。
「お母さんも色々連絡しないといけないから、おとなしく寝てなさい。わかった?」
「わかった!!」
「うん、良い子ね♪」
そう言うとお母さんがやさしく頭を撫でてくれて、部屋から出て行った。
……
ガチャリ
「おにいちゃん? げんきかな?」
ご飯を食べ終わった▲▲▲がこっそりと部屋に入って来た。
「お母さん達に怒られちゃうよ? ヘぷちゅ」
「今はだいじょうぶかな」
「そうなんだ?」
何でだいじょうぶなんだろう? それにお姉ちゃんぶっている感じだ。
「お兄ちゃんデコだしてほしいかな?」
「こう?」
ぼくのおデコに手をかざしている。
「だだの風邪みたいかな。……よかった!! お兄ちゃん体は大切にしないとダメかな。▲▲▲との約束かな」
指切りげんまんをしようと手をだしてきた。わかったよと手をだすと指切りさせられる。
「やくそくちゃんとまもってかな!!」
トタトタと走って部屋を出て行った。そんなに急ぐと転んで――。
「かなぁ~!!」
けっこう痛そうな音が家中に鳴り響いた。……お母さん達にバレただろうなー。
……
ピンポーン
「はーい! ちょっと待ってねー」
インターホンが鳴っている。集団登校の時間になったようだ。
「ごめんねーみんなー。●●●ちゃんが熱を出しちゃって、今日はお休みするの」
「ええーー。●●●お兄ちゃん今日休みなのー」
「やだーー! お兄ちゃんと一緒に行きたいー」
「●●●ちゃん病気なんですか?」
「コラおまえ達うるさくするな! ●●●のお母さんごめんなさい」
みんなの声が廊下まで聞こえてくる。ゆっくりとぼくは玄関に向かって歩いて行く。
「いいのよ。そうそう、連絡ノートを先生に渡してくれるかな、お願いできる?」
「わかりました●●●ちゃんのお母さん! 俺がちゃんと渡しておきます!!」
「へぷちゅ、ごめんねみんな。ぼく、今日は学校に行けないんだ」
お母さんの後ろから、みんなに見えるように前へでた。
「●●●お兄ちゃん!」
「お兄ちゃん!」
「●●●ちゃん!」
「●●●!」
みんなワーワーギャーギャー大声で騒ぎ始める。おかげで頭が痛いよ。
「コラ! ゆっくりしてなさいって言ったじゃない!!」
「●●●!? おまえその格好?」
お母さんが怒っているので、お話をかえなきゃ。
「あ~パジャマ? おかしいところあるかな~?」
ちょっとお子ちゃま向けかな? 気に入っているんだけど。
「い、いや別にないけど、……さ~?」
ね~!っとみんな、なぜだか頷いている。
「おにいちゃん!!! おへやでねてないといけないかなー!!」
後ろから▲▲▲がドタドタと走って来てる。また転ぶぞ? パジャマを全身で引っ張って部屋に戻そうとする。すごい力だ!! パジャマが延びちゃう。
「ごめんごめん。そうそう! みんなに迷惑かけちゃうから。お母さん? ほら、この前作ったクッキーをみんなにあげてほしい!! へぷちゅ」
ぼくが趣味で作ったクッキーを持って来てもらい。そして、お母さんがみんなに手渡していった。
受け取ったみんなは大喜びして小学校に向かって行く。
「「「いってらっしゃい!!」」かな!!」
「「「「はやく病気治せよー!」」てねー!」」
「●●●お兄ちゃんの妹も可愛いかったなー」
「お兄ちゃんのクッキー、めっちゃ美味しい!」
「●●●ちゃんのお母さんも可愛いからな」
「●●●のパジャマ姿、すごく似合ってた……」
……
みんなを見送り終わったので部屋に戻ろうとしたら――、
「●●●寝てないといけないんじゃないのか」
「ごめんお父さん。みんなにお菓子をあげたくて」
ちょっと怒り声。お父さんが自分と▲▲▲の鞄を持って玄関まで来ていた。
「幼稚園の時間だ。用意はできているかな?」
「できてるかなー! おにいちゃんーーっ!!」
▲▲▲がいつものように抱っこをお願いしてきた。そしていつも通り、お父さんが代わりにしてあげると言って、断られ落ち込んでいる。
「▲▲▲はお兄ちゃんの事が本当に大スキなのね」
「だいスキーッッ!!」
ぼくに笑顔を向ける。
「お父さんは?」
「フツウゥー!!」
お父さんに笑いながら、ぼくにしがみついてきた。毎度の事ながら残念そうに自分と▲▲▲の靴を履かせている。
「病気がうつるから、その辺にして出発しようか」
▲▲▲が悲しそうに取り外された。
「いってきますかなー!!」
「じゃあ、いってくるよ」
お父さんのネクタイをお母さんが整えて、お互いの頬にキスをしている。近所でもラブラブだと噂されて、恥ずかしいからやめてほしい。
「「いってらっしゃい」」
二人で手を振ってお見送りした。
二人とも居なくなると家の中が少し寂しいな。
…………
……
病院で風邪だと診断された。
そして甘いお薬を貰い、お家に帰ってきた。
「はやくパジャマに着替えて寝なさい!」
「まだ眠くないよ?」
ゆっくりと着替えていると、お母さんが手伝ってくれる。
「眠くなくても、ほらお母さんが傍に居てあげるから」
ベッドに無理やり入れられた。
そして、
リズムよく胸をポンポンと触れて、ぼくを眠りへと導こうとしている。そして子守歌を歌い始めてくれた。
「お母さん? へぷちゅ」
「~~♪な~に~?」
「んん~何でもない!」
お母さんってこんなに優しかったんだ。
「どうしたの急に?」
「えへへ、何でもな~い~! へぷちゅ」
優しく紡がれるメロディに釣られてぼくも歌い始めたら、病人はおとなしく寝てなさいと怒られた。
……お母さんはやっぱり怒りん坊だ!
……
「●●●ちゃん起きて? ご飯の時間よ。起きて!」
あれ? ぼく寝ちゃったんだ。ゆっくりと上半身だけ起こす。ちょっとだけ節々が痛んだ。
「お粥さんを作ったから、食べれる?」
「うん、食べれる! いただきます!!」
「あ~!? 冷まさないとヤケドするわよ!」
レンゲに乗せたお粥さんにフーフーとお母さんが息を吐いてくれた。
「おいしい!! へぷちゅ」
ほぐした梅干しが少し効いていて、何杯でも食べれそうだ。
「お母さんの分は?」
「もう食べたから。ムリして全部食べなくていいからね」
ぼくがフーフーと冷ましていると一緒に手伝ってくれる。美味しくってぱくぱく食べていたら全部無くなっちゃった。
「お代わりいる?」
首を振ると、お薬を用意してくれた。そして、それを飲み干す。
甘い♪
「ごちそうさま。へぷちゅ」
「さあ、もう一度寝なさい」
ベッドに横になる。
ぼくの手を優しくて、大きくて、温かな手が包み込んでくれた。
「ツライ?」
首を振る。それを確認するとその手が離れそうになったので、強く握って離れないように繋ぎ止めた。
「もう、そんなに強く握って、お母さんはどこにも行かないから」
両手でぼくの手を握り直してくれた。お母さん――。
「うん、おやすみなさい!!」
「おやすみなさい●●●ちゃん」
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【馬鹿】 ⇒ 【馬鹿+】
風邪をひいたからってバカじゃないとは限らない
補正 攻撃力+1 <new>抵抗力+1
ティア
【我が子】
不安になると発想が飛躍してしまう 異変を感じたらすぐ診察! ちゃんとかかりつけ医を作っておこうね
補正 防御力+10%UP
トセトラ
【お医者さんのお姉さん】 ⇒ 【お医者さんのお姉さん+】
あたい医者じゃなくてただの衛生兵だから! この国で一番の医者!? エイド姐冗談が過ぎるぜ! え、マジで言ってるの?
補正 <new>治癒魔法に≪再生≫が自動付加される
ジエン
【引率のお兄さん+】 ⇒ 【引率のお兄さん++】
陛下方の引率役になった覚えはないでござる! それは大臣殿のお仕事でござる!!
補正 HP+3 <new>TP+3
ロワ
【顔面凶器++】 ⇒ 【顔面凶器SP】
表情が加わるとどうしてこんな――!? きゃぁ~! メアちゃん達送ってこないで~!!
補正 攻撃力+5 <new>クリティカル時、相手の防御力抵抗力20%無視
レーヌ
【おしどり夫婦SP】 ⇒ 【おしどり夫婦EX】
実際のオシドリと違いちゃんと仲睦まじい夫婦ですから! ねぇ、あなた♪(無言の沈黙、まだ意識が戻っていないようだ)
補正 <new>パートナーの傍に居ると能力が三倍になり、さらにパートナーの能力が二倍になる パートナーがピンチ時に攻撃力と魔法力が二倍になる
未来日記:作品ではメアが風邪をひいてますが、現実では作者も風邪をひいています。
で、風邪をひいたおかげで、病気時の心象が手に取るようにわかる。
それを生かせれば良いかな~と盛り込みました。
ちょっとは盛れたかな?




