第二十四話 昔話――壱
「マ~マ、おちょと~」
「きょうもおそとがいいの?」
「あい!」
母さんは水色のワンピースに、シュシュを手に付けた涼しい恰好だ。水色のブローチを髪飾りとして、さらにデカリボンを後ろで結んでいる。
そして金色の髪を垂らしながら、綺麗な碧眼が目一杯開かれて、優しく微笑みかけてくれた。
(血が繋がっていなかったら、将来はお母さんのお嫁さんになりたいね)はぁ!? お嫁さん? おむ(お嫁さんだよね~♪ねっ? ね゛ぇぇ!!!)
ヒィィ!? 話題を変えなきゃ。困った時は天気の話だ。ボキャ貧の俺にはこれ以外のネタがない。
く、雲一つない晴天、き、季節は夏? 真夏~ふぅ~!! 異世界に来たのに気候がほとんど日本と変わんねえよな!(…………じめじめした夏、イヤになっちゃう!)――ッホ、そうだな。
「今日も、お外で絵本を聞かれるのですか?」
「あい! えにょんちゅき~!!」
蒸し暑そうなメイド服を着ている茶髪で翡翠のような瞳のエイドさん。あのメイド服は、俺が今着ている服と同じ謎生地で、風通しが良いってレベルではない(裸の王様になった気分よね)
最近俺に対する態度が時々マジ怖い! 俺の中にいる何かが警鐘を鳴らしている(背筋がこうブルブルして魂が怯える感じよね)まさにその通りだ。
なぜ、冷暖房完備の最適空間から抜け出すのか(日本が恋しいからよね~メ、ア、ちゃ、ん♪)違うから。修業のためだから。来たるべき異界の魔王を倒すのに必要なんだ。
――やめてぇぇ……! 前世の記憶を送らないでチノお姉ちゃん!? 泣いちゃう、メア泣いちゃうよ? イスナーちゃんに言い付けちゃう!
『相変わらず仲良しね~』
(イスナーちゃん!)イスナー!!『また一段と女の子らしくなったね~』
なぁ!?(そうでしょう。お母さんがツーサイドアップにしてくれたの。左はリボン、右はピンクの髪飾りでなんだよ)『少女趣味全開で~、小っちゃくてもお姫様ね~♪』(ね~♪)
やめろぉ! ついでとばかりにイスナーから過剰少女漫画風の俺が送られてきた。さすがに顔からハミ出ているほど目は大きくない。……よな? それに――、
まだスカートじゃないし!!! がんばれば可愛い男の子、ほら父さんみたいに見えるかも『可愛いかわいいお父さんだもんね~』(お父さん……)――あ!
俺の父さんは、人々を何回も救った英雄。先の災厄でみんなを守るために、名誉の戦死を遂げたらしい。詳しい事はもう少し大きくなったら、と爺ちゃん達が言っていた。チノはこの話題になると暗い感情が駄々漏れになる。
(…………)ごめん『ごめんなさい~』(ロリロリ一回)
メアねぇ~? チノお姉ちゃんにはニコニコしててほしい! きゃー、恥ずかしいー!! イスナーちゃんも、ほ~らぁ~!『チノちゃんは~、わたしの大切な人だから~、元気い~っぱいでいてほしい~!!』(ふひ、ふひひ、ぐえへへ~♪)うっわ~『うっわ~』
「準備が終わりました(ラルム様は最近ティア様に似て、よく間抜け面をするようになりましたね。それはそれでよろしいのですが。私としては以前のような、うふ、うふふ――)」
「ふぇ~~」狂気!?(カーンカーンカーン)
「マァ~ンマァ~!?」
ポスン
とっさに母さんに抱き着いた。すると、辺りに良い香りが。
しかし、その癒し効果はすぐに終わりを告げた。エイドさんが後ろに、音もなく立っているのである(抱き着く前はソコにいたのに、まるで幻覚を見てるみたい)『恐ろしい使い手ね~』何の?『教えられない~』(ブ~ブ~!!)
「どうしたの、そんなにくっついて? あっ、メアちゃんはあまえんぼうさんだもんね♪」
「今日は私と一緒にお庭に行く約束でしたよねメア様?(感情が溢れ出たようです。反省!! しかし、私には――)」
……普通のエイドさんに戻ったみたいだ?
俺の中の警鐘はもう鳴っていない(だいじょうぶ? ほんとうに?)……たぶんきっとおそらくおおかた八割位は安心できるかもしれますん(ダメじゃん!!)でもエイドさんが危害を加えるような事はしないはずだ(それもそっかぁー……)
「はやくはやくーー!!」
母さんがいつの間にか扉を開けて、跳び暴れながら呼んでいる(よーしー、それじゃあお庭にGOーー!!)『しゅ~っぱ~つ~!!』
エイドさんは右手をふらふらさせ、コチラをチラチラしている。
ニギ
「エイド~、いこ~?」
「はい!!! メア様~♪」
…………
……
誰かに見られている?(気のせいじゃない?)
「いち~、に~、いち~、に~(し・あ・わ・せ・♪)」
エイドさんの異常に温い手を掴んで、俺はがんばっている。その光景をしゃがんで母さんは横から見ているようだ。
(エイドさん病気じゃないよね)『病気じゃないよ~(体の方はね~)』良かったー。
「メアちゃんがんばれー」
「あい、い~ち~、に~に~、い~ち~、に~に~」
ちょっとフラつくがチノとのコンビネーションがあればいけるぜ(メアチノならやれる!)母さんが横にぴょんと飛び跳ね、視線を変えずにニコニコしている。
やっぱり誰かに見られているような(気のせいでしょ?)『(あれは~、四人組の兵士~?)』
「いち~、に~、いち~、に~」
「い~ち~、に~に~、い~ち~、に~に~」
「いち~、に~、いち~、に~」
「い~ち~、に~に~、い~ち~、に~に~ふぅ~」
やっと着いたぁー『お疲れ様~!』(良い修業になったぜ! キリッ)俺のセリフを取るな!
「えらいーえらいー!」
母さんがなでなでしてくれる(ロリコンゲージが回復する~)このためにがんばったようなものだからな(メアちゃん嬉しさが漏れてるよ)いいんだよ!『メアちゃんよく頑張ったね~』あ、ありがと(メアちゃん嬉しさが駄々漏れだよ?)うるさい!
今日は城に何箇所か在る庭、その内の一つである裏森近くに来た。
虹のアーチが微かに聞こえる水精の音を鳴らし、緑の絨毯が風精にさざめく、花々に色とりどりの妖精が舞い踊り、木精が俺達を木々の間からお出迎えしてくれる。ここは人類が忘れた太古の楽園だ。
(虹のアーチ? 噴水だよね。妖精? 虫だよね。木精? 小動物達だよね)う゛ぅ~『十点~!!』
イスナーからたいへんよくできましたのはなまるマークが送られてきた。ありがとう♪俺これからもがんばるよ(イスナーちゃんは甘いなぁー?)
エイドさんがレジャーシートを敷いてくれる(早く寝っ転がりた~い~)
「うんちょっうんちょっ」
四苦八苦して片方の靴を脱ごうとしている間に、母さん達はもう脱ぎ終わっている。どこか得意げな母さんが近づいて靴を脱がしてくれた。
「ありがちょ!」
「どういたしまして」
飛び込むぞ~(ふぅ~)レジャーシートの上をコロコロ転がる。すると下から潰れた草の匂いが、俺を外に出たって気分にさせてくれる。
『コロコロ~? シュンシュン風切り音鳴っているのに~!?』コロコロだ(クルクルよ!)『シュンシュンだよ~!!』
「メ~ア~ちゃ~ん~、こっちーー!」
母さんがレジャーシートの真ん中で、絵本をブンブン振っておいでおいでしている。
「マ~マ~♪」
ポスン
スカートの上に着地した(前過ぎない?)お尻を動かしてぴったりもたれ掛かる。木陰なので外とは思えないくらいに涼しいし、じめじめも心地の良い感じだ。それに、母さんの体温は不思議と俺に安らぎを与えてくれる。まさに特等席だ。
エイドさんが真正面に居る!? でもずっと後ろに居るよな?(え、右に居なかった?)
「うふふ♪(ラルム様はどこから見ても可愛いですね~)」
「おはなしするよ! い~い~?」
「……あい?」
……
昔々あるところに、
とてもとても怖い竜がいました。
その怖い竜は人々の村にきては、
おそろしいことをしていました。
かちくのエサをかってにたべ。
おはかのおそなえをたべ。
子どものおとしたおかしをたべ。
むしにやられたやさいたちを一日でたべ。
それはそれはたいへんおそろしい怖い竜でした。
――――マ~マ、おろろちい?」
「おそろしいは、こわいとおなじだよ」
違う! そんな意味で聞いたんじゃない!?(恐ろしいって言うより食いしん坊なだけじゃない)『本当に恐ろしいわね~。この竜~』へ?(え?)
……
あるとき、
村の人々はあつまって、
怖い竜についてはなしあいました。
「村長、
俺はあの竜をおいだすべきだとおもう。」
酪農家の男がいいました。
「かわいそうよ。
私はいっしょに村でくらしてもらって、
はたらいてもらえばいいとおもうわ。」
「オレもそのいけんにさんせいだ。」
「わたしも。」「某も。」「麻呂も。」
酪農家の家族いがいはそのいけんにさんせいです。
じつは酪農家の家族は怖い竜からおれいとして、
ウロコや牙や爪をもらいそれをうっていました。
ですが、
それをヒミツにしていたのです。
そして、
怖い竜のためにせっせとかってあげていた、
いっぱいの竜のエサがムダになるとなやみました。
しばらくするといいほうほうをおもいつきます。
「ねるところやエサがいるだろう。
俺がぜんぶだしてやるよ。」
こうして村人ぜんいんがさんせいとなり、
怖い竜は村ではたらいてもらうことになりました。
――――み~な、やちゃちい」
「そうだね」
呑気な世界だな(平和な世界だね)
……
怖い竜は村一ばんのはたらきものになりました。
一ぴきで村のぜんぶのはたけをたがやし、
魔法でいっぱいの水をだしました。
もう村にはいなくてはならない、
たいせつな竜になっていたのです。
そんな怖い竜のために、
村の人々はおれいをいっぱいしました。
おとなたちはからだをキレイにあらい、
こどもたちは怖い竜とあそびました。
そして、
村の人々でとってもりっぱな家をつくりました。
「竜さんごはんができましたよ。」
酪農家の女の子が、
いっぱいのりょうりをはこんできます。
「わらわはこのおおきいからだゆえに、
汝らのようにりょうりはできぬからな。」
そういって怖い竜は一つめのりょうりを、
ペロリとたいらげました。
「わらわもおいしいりょうりをつくりたいものよ。」
怖い竜は二つめのりょうりを、
パクリとたべました。
「でも竜さんはこの村一ばんのはたらきもの。
みんな竜さんがだいスキですよ。」
酪農家の女の子が三つめのりょうりをさしだすと、
ガツガツと 怖い竜は口にいれます。
「そ、
そうか。」
怖い竜は四つめのりょうりを、
ズルズルとくいました。
そして、
はずかしながらおかわりをおねがいします。
「竜さんはくいしんぼうですね。」
酪農家の女の子は家に、
りょうりをとりにもどりました。
怖い竜が村ではたらくようになったある日のこと。
「わらわにかかればこのようなこと、
あさめしまえだ。」
いつものようにはたけをたがやしていました。
すると、
とおくのほうがさわがしくなります。
「ワオーン。」「キシャー。」「ピィー。」「グオー。」
異界の魔物≪神々の黄昏≫がせめてきたのです。
――――らうなおく?」
「このえのあかいめと、ひたいにほうせきがあるまじゅうのことだよ」
魔物とか、魔獣とか、動物とか種類多すぎない?(動物は地球に居るような生き物で、魔獣はそれ以外の生き物、魔物はこの世界に居ない生き物だったかしら)『正解だよ~』
……
村の人々と怖い竜はたたかいました。
しかし、
あいては異界の魔物、
ただの村人にはどうすることもできません。
村の人々は村をすて、
たすけをよぶことにしました。
「わらわはこの村にのこる。」
なんと、
怖い竜はこの村にのこるというのです。
村の人々は、
はんたいしました。
しかし、
怖い竜のこころはかわりません。
みんなでてわけをして、
おおいそぎでたすけをよびにいくことにしました。
「竜さんぜったいにしなないでね。」
酪農家の女の子は怖い竜にいのりました。
「ふっはっはっ、
わらわは竜、
汝らがかえってくるころには、
すべておいはらっておるわ。」
怖い竜はおおわらいしています。
――――マ~マ~! おちっこぉ~!!!」
「え!?」
母さんから降り、気休めだが紙おむつを手で抑える(ヤバイ~!)
「もれそうなの?」
「あい!! もえう~!?」
赤ちゃんの膀胱はそんなに持たないし、とても俺の足では部屋まで間に合わない。自然と内股になり、脂汗が出てきた(ひっひっふぅ~、ひっひっふぅ~)『不思議な踊り~?』
「エイドッッ!!!」
「――お任せを!」
「あぅ~、みゃ~わ~!」
――ッバ!
バランスを崩して倒れそうになったのを、エイドさんが掴まえてくれる。すると、部屋のおまるに移動していた。何が起こったのか全然わからない。下のスウェットも紙おむつも脱がされている(あ!)あ~!
『ぴ~~大変不適切な音が鳴っています~ぴ~~』
漏らしてないからセーフ(わたしお漏らししてない)『エライエライ~。おトイレ記録~、これでまた更新ね~』おう(ふっふ~ん♪)
「メア様失礼します」
優しく拭いてもらい、脱がされた紙おむつを渡された。それを床の絨毯に座りながら穿こうとする。立ったままだとバランスが取れないからな。絨毯がお尻に当たってちょっと気持ちが悪い。
「う~~――コロッ――う~ん~――コロッ――できちゃ」
次は下のスウェットを渡されたのでこれも穿く。
「う~~――コロッ――う~ん~――コロッ――う~う~ん!――コロン――できちゃあ!」
シュ
これで完璧だ(わたし天才)『(前後が逆だったよ~。エイドさんが直してくれたけど~)』
「あまえんぼう~♪エイドは~♪」
「いつも~♪おせっきょうまじん~♪」
どうやら母さんが迎えに来たみたいだ。
「エイド~、いこ?」
「行きましょうか、メア様♪」
「あい!」
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【甘えん坊+】 ⇒ 【甘えん坊++】
お母さんにすぐに抱きつく
補正 TP+1 器用さ+3 <new>攻撃力+3
【ポエマー++】 ⇒ 【ポエマーSP】
お慈悲で上げてもらった
補正 詠唱速度-10% MP+3<new>MP+10%UP
【歩行・幼+】
少しは歩ける
補正 なし
【トイレ・幼SP】
ひとりでもできるもん!! おねしょはムリ!
補正 なし
secret
【キモイ++】 ⇒ 【キモイSP】
ぐえへへ~、ふひ、ふひ
補正 とんでもなくきもい
ティア
【歌が好きSP】 ⇒ 【歌が好きEX】
暇さえあれば歌っています
補正 <new>HP+10 MP+10 魔法力+10 魔法力+30%UP 詠唱時間-25%
創作日記:最近類語辞典なる物を知りました
すごく便利ですね
ルビが一杯で昔話風になる
結構いいネタなのにやっている人が少ないですね
童話のジャンルでも2人ぐらいしか見かけませんでした
まあ書くのが面倒臭いですが
こんな小手先ばっかやってるから文章が上達しないんですね
精進します
未来日記:絵本を少し読んで読点でも改行していたり、会話文でも改行していたので取り入れました。
絵本らしさが増せばいいなー。
類語辞典も良いのですが、よくお世話になっているのがネーミング辞典です。英独仏伊西ラテン希露中韓蘭アラビアと多いので便利です。ラピスちゃん――スペイン語とか、チャンちゃん――中国語とか、創作の役に立つと思うよ。




